うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。
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3人の息子と1人の娘を東京大学医学部(理三)に合格させたことで有名になった、佐藤ママ。
彼女に対して、「子ども4人全員を東大(しかも理三)に入れるなんてすごい!」という称賛の声があがっています。しかし、それと同時に、「頑張ったのは子どもたちであり、佐藤ママではないじゃないか」とか、「育て方が極端すぎる」という、やや批判的な声も出ています。
■佐藤ママの協力がなければ、東大理三に全員は受からない
そんな気になる彼女の本を「面白いよ」と編集者の方からいただき、実際に読んでみました。そして読み終わってから、「勉強を頑張ったのはもちろん子どもたちであるのは紛れもない事実」だけれど、「佐藤ママの協力なしには受からなかったであろうことも事実」だと思いました。そもそも極端な方法ではなく、周囲と同じように勉強させていたら、みんなと同程度にしか成績が伸びず、4人全員が理三なんて入れるわけがありません。
東大医学部は定員100人で、法学部の400人、経済学部の350人に比べても、人数が少ないです。さらに、東大受験生だけを集めて専門的に教えている大手予備校だって、6人に1人しか東大に合格させられていないというデータがあります(それも東大理三ではなく、東大に、です)。
佐藤パパは弁護士らしく、遺伝でもともと頭がいいんじゃないか?という声もあるようですが、パパのほうは学部も職業も文系なので、理系分野がものすごく得意というわけではないと思います。遺伝だって兄妹でバラつきは出ます。
そのうえで、各自の素質だけで果たして兄妹4人全員が合格できるものか?というと、それはかなり確率的に低いと言わざるをえません。となれば、やはり4人がもつ共通点である「佐藤ママがつくった勉強の環境」こそが合格の鍵だったと考えられます。