彼女の発言で特に「過激だ」と注目されているのは、「受験に恋愛は無駄」「直前期は友人とご飯を食べにいくのも無駄」というアドバイスです。子どもは親の所有物ではないので、「そんなことを言う権利はない」「人権侵害の範囲では」と批判する人がたくさん出てくるのもわかります。
ただ、子どもたちも、もう高校3年生だったわけです。もし佐藤ママが強引に「うちの子と遊ぶのはやめてください」と電話していたとしたら、それは過干渉すぎると言われて当然ですが、高校3年生なら、本当に嫌だったら抵抗もできます。締め付けられすぎだと思っているなら、反抗して受験勉強なんてやめて遊んでしまってもいいわけなので、そうしなかったということは、もはや彼らが同意して選択した道だといっていいのではないでしょうか?
■「受験直後に」と後回しにしても、人間関係は取り戻せる
受験までの時間は受験生に対して平等に有限です。「時間が足りない!」と思っているくせに、友人からきたメールや電話をチェックして全部返していたら、周囲と差がついて当然です。さらに、人間関係でもめることがあれば、確実に勉強方面にも影響がでるでしょう。
私も、受験のときはみんなに「受験が終わるまで携帯でメールや電話をしない」と伝えていました。もし友人と遊んでいた時間を勉強にあてていれば合格していたはずの人もいるかもしれませんが、大学は生徒側の都合を考慮してくれません。そして人間関係は、「じゃあ受験後に」と、ちょっとくらい後回しにしても取り戻せるものです。
本当にこちらのことを考えてくれる相手なら「わかった」と言ってくれるでしょう。「なんでメールくらいできないの?」と怒ってくるような相手は、こちらの人生の大切な場面で自分の感情ばかりを優先しようとしているわけで、結局は長続きしない関係になると思います。
偏差値にかかわらず、大学では専門的な勉強をするため、法学部なら弁護士、医学部なら医者と、合格した学部によって将来の職業、職種の方向性が決まる可能性が高確率であるわけですから、「受験」は自分の人生の中でかなりの重要イベントとなります。ただ、まだ高校生の時期だとなかなか俯瞰(ふかん)して自分の今後のことはみられないものですから、言い方はともかく「人間関係を一時停止しておく」のは、適切な助言だと思います。