
せやま:(笑)。ありがとうございます。安富さん、すごく人気なんです。
潮井:私にも安富さんがいてくれたら、と思いました(笑)。安富さんは、答えが出ていてもそれを言わずに、考えさせてくれるタイプの人。常に問いかけてくれる人の存在は大きいですよね。
たぶん安富さんは、せやまさんが一番大変な時に側にいてほしかった人なんじゃないかなって。
せやま:そうですそうです。こんな人がいてほしいなと思いながら書いたのが安富さんです。
潮井:やっぱり。
ふつうの毎日でも、ちょっとしたおもしろさを見つける楽しさ
──読者からの感想でうれしかったものはありますか。
せやま:全部うれしいんですけど、noteに投稿していただいた感想で、志麻さんという方が、「読了して感想も書けずに時間が過ぎたのに、今になってこんなふうに書いているのは、なにか本と重なるものがじわじわ湧いてきたからだ」と書いてくださったんです。
日常に戻った後に、「そういえばあの小説にこんなことが書かれていたな」と振り返りたくなるものが書けたのかなと思うと、すごくうれしかったです。
もう一人、印象的だったmayuさんという方は、「どの家にも、何かしらこぼれた水がある。そしてそれは、誰かが必死で生きていない、家族を思いやっていないことを意味しているのではなかったりする」と書いてくださって。
ほかにも、昔のつらい経験を重ねて読んでくださっている方もいて、この小説から癒やす力を受け取ってくださっているのがうれしいと感じました。