「読者の圧倒的支持を得る」。どこかで耳にしたことがある言葉だと思う方も多いだろう。しかし、実際にはそんなに当たり前のことでも、簡単なことでもない。
今年相次いでデビュー作を上梓したふたりの新人作家、潮井エムコさんとせやま南天さん。
潮井さんはエッセイストとして、せやまさんは小説家としてデビューした。ふたりの作品は多くの読者に支持され、ネット上には共感の声や応援する声が届けられている。
まずはふたりのデビュー作について紹介したい。
潮井エムコさん。初めて執筆したエッセイ数作をnoteにアップしたところSNSで拡散され、累計30万を超える「いいね」を獲得。今年1月にそれらも収録した初のエッセイ集、『置かれた場所であばれたい』(以下、『置かあば』)を刊行した。
せやま南天さん。仕事と育児を経験し、「家事」と向き合うなかで着想を得て、小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(以下、『クリキャベ』)を執筆。noteが主催する創作大賞2023で朝日新聞出版賞を受賞し、今年4月に単行本として刊行された。
新人作家ふたりが、お互いや読者からの感想を通して、作品について話し合った。
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「自由奔放でかつ繊細」という不思議な印象の作品
――おふたりはSNSではやり取りがあったようですが、お顔を見てお話しするのは今日が初めてなんですよね。お互いどんな印象を持っていましたか?
潮井エムコ(以下、潮井):せやまさんのことはネット記事の著者プロフィールでお写真を拝見していまして。その時から、作品とご本人の雰囲気がぴったりだという印象を持っていました。だからか、お会いしたことはないのに、勝手に以前から知り合いだったような気持ちになっていましたね。