佐藤:はい。しかも一度なったら、犯罪で捕まるか破廉恥行為でマスコミが大騒ぎすることがない限り、クビにはならない。同志社大学にいる外務省出身の特任教授が著書に、「名誉革命の結果、マグナ=カルタができた」と平気で書いています。

伊藤:時系列がメチャクチャですね。

佐藤:「宗教改革はイタリアで始まった」とかね。

伊藤:それはすごい(笑)。

政治家になれなかった人が哲学をやる

佐藤:よく言われるようにソクラテス自身は自分の思想を文字に残していません。弟子たちがどこまで先生の言うとおりに書いていたのかは検証不能です。あくまでも弟子である「プラトンの目」を通したソクラテスですからね。イエスもそうですが、口述したものをテキストに起こしていく作業には必ず偏差が生じます。

 もう一つ、注目しないといけないのは、プラトンとアリストテレスは、なりそこないの政治家だということです。二人とも政治や、権力への意思はあったけれど、うまくいかなくて哲学者になった。これはマルクスもヘーゲルもそうですけど、政治をやりたいという意欲がみなぎっているが政治家になれなかった人が、意外と哲学をやる。こういうのも哲学史を学ぶうえで面白いところだと思います。

伊藤:倫理の教科書とか図説資料集を見ると案外わかることって多いと思うんです。資料集は中身がすごく濃い。目から入ってくる情報、特に地図は面白いですね。例えば、地中海周辺図を見ても、ここにイオニアという場所があり、あそこにアテネがありスパルタがある。

佐藤:エーゲ海のちょっと外れたところから、哲学が生まれていることもわかります。

伊藤:ギリシア哲学というと、ソフィスト、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、アレキサンダーが出てきて、ヘレニズム思想がどうだというところでつまずいてしまって、その程度でやめちゃう人が多いので、まずは佐藤先生とのこの共著で、いかにここが面白いものか知ってほしいですね。

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