主代さん(右)は管理職を打診された時、「私が上司になって部下は幸せか?」と考えたが、今はマネジメントスキルは社会人の必須能力だと思っている(写真:篠塚ようこ)
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 管理職を目指したくない若者が増える一方で20代女性の管理職意欲は高まっている。その背景には、若いうちから自分の価値を上げておきたい女性特有の理由もある。AERA 2024年7月1日号より。

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6月、東京都のPR会社「プラチナム」のオフィスを訪ねた。創業20年で、女性社員の比率は6割、見渡すと20、30代の女性がほとんど。社長が女性ということもあるが、働きやすさを意識した休暇制度を作るなどして、女性を増やしてきた。

 同社に新卒で入社した主代さやさん(34)は結婚後にシニアマネジャーに昇格した。躊躇はなかったといい、

ドラマに出てくる管理職は忙しそうで、板挟みになるイメージがありましたが、この会社に入って先入観がなくなりました。みんなプライベートを充実させているので、私もこうしなくちゃと思わなくなって、自分がどうしたいかを自問しました」

 と話す。昨年出産し、産後半年で復帰した。主代さんは、

「キャリアが止まることに心配はありました。でも、それが理由で子どもを持てないのも悔しかったんです。私が休んでも大丈夫な社内の体制と後輩たちがいるからチャレンジできたと思います」

部下が輝くとうれしい

 娘との時間を確保するため、朝は保育園への登園時間を少し遅めにして、娘が寝たらもう一度PCを開くフレックスで働けることも後押しになった。

「基本的にはプレイングマネジャーなので、マネジメントのウェートが大きくなる分、プレーヤーとしての自分の働きが評価される機会は減りますし、寂しい気持ちはちょっとあります。けれど、部下が評価されて、輝いてくれる時のほうが喜びは大きいです。うちの子、すごいでしょ?みたいな感覚が近いかもしれません」

 早く出世しようと決めている人もいる。同社の島田恵実さん(27)は入社6年目の今年、5人の部下を率いるシニアマネジャーになった。入社した頃から「出世したい」とアピールしていた島田さんは、こう話す。

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