AERA 2024年7月1日号より

「チームのトップに立って、目標の数字を獲得できるか不安はありました。複数の部署をまとめる上長が営業出身の男性だったので、上にいくためには、男性のように営業でガンガン数字を取ってこないといけないんじゃないかとも思っていました」

 でも、コンサルティングの仕事なら、常に数字に追われることはなくても成果を出すことができるとわかってきた。

「早く出世して、自分のやりたい仕事をしたかったんです。いつ子どもを産んでも、職場に帰れるように、自分の価値を高めたいと思っていました。それに、転職市場でもマネジメントの経験があった方が、自分の市場価値につながると思います」(島田さん)

レベルアップしたい

“自分の価値”を上げたいと考えているのは、管理職になりたくない若者も同じだ。

 マイナビが23年、就職を控える大学生に希望する働き方を尋ねたところ、「仕事のレベルを上げつつ、出世して管理職にもなりたい」が42.1%、「仕事のレベルは上げていきたいが、管理職にはなりたくない」が38.8%で横並びに。管理職になりたいかどうかは別にして、仕事のレベルを上げたい大学生は8割もいた。一方、仕事のレベルを上げたくない大学生は、たった8.1%だった。

 レベルアップはしたいけど、管理職になりたくない。この意識を変えることはできるのだろうか。人材会社「Waris」の共同代表、田中美和さんは、

「よりいい仕事をすることと、管理職になることが、結びついていないと思います。管理職は決裁権限が高まり、一般的には、より大きな仕事にチャレンジできる可能性があるはずですが、うまく伝わっていません」

 と指摘する。

「管理職という言葉がマイナスイメージに繋がっているのかもしれません」

 と話すのは、社外メンターの育成、マッチング、社内メンター制度支援を提供する「Mentor For」代表取締役の池原真佐子さんだ。

「『課長という役職の管理職』と言われるのと、『メンバーの能力を引き出して、みんなで大きなものを達成する旗振り役』だと言われるのとでは、魅力の伝わり方が違うと思うんです」(池原さん)

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