ただし支給されるのは授業料のみで、私立校の国の支援金を合わせた助成金は東京都の平均授業料48万4千円にとどまるため、この金額を上回る場合には差額の負担が必要となる。
23年度に比べて特徴的なのは、男女ともに難関校の志望者が減っている傾向があることだ。秋の4大模試の学校別志望者数の推移を見ると、男子御三家の開成(荒川区)、麻布(港区)、武蔵(練馬区)、また神奈川御三家のうち、聖光学院(横浜市)、栄光学園(鎌倉市)が前年同時期より減少している。
「東京の男子御三家がそろって減るのはめずらしい」(安田さん)という。
中位校の志望者が増加 偏差値よりも施設の充実度
逆に増えたのが、首都圏模試センターの偏差値で50前後の中位校だ。森上さんは、次のように話す。
「23年度入試は偏差値65くらいの男子校、女子校の受験者が増えたのですが、23年の模試では偏差値65から上の学校でほぼ減っています。逆に、偏差値50前後の中位校では増えています。2008年に起きたリーマン・ショックでは世界的な不況で受験生が大幅に減少しましたが、上位校は微減にとどまり、偏差値50前後の学校が大きく減少しました。一方、今回中位校で増加したのは、難関校に行きたいというよりも、コロナ禍を経て、オンライン対応などの速さや充実度などから『偏差値にこだわらず、どうしても私立の学校に行きたい』と考える層が増えたからだと思われます」
男子御三家では志望者の減少が見込まれる一方、注目の難関校は駒場東邦(世田谷区)と早稲田(新宿区)だ。23年、駒場東邦は東大の合格者が72人、そのうち理科三類に5人も合格者を出した。早稲田は東大に39人合格し、そのうちの3人は学校推薦型選抜での合格を勝ち取った。
「学校推薦型選抜は、男女別学では1校3人までという制約がありますから、枠の上限まで合格者を出したことになります。詰め込み型の教育ではなく、しっかりとした探究型の学びを行っている証拠といえるでしょう」(安田さん)