中学受験期は「よかれと思って」という「妖怪オヤゴコロ」が出てきがち。過去に「中学受験をすれば何かいいことがあるのでは」と謎のブラックマインドに巻かれてしまった、3兄弟の母でコミックエッセイスト、tomekkoさんは、長男の苦しみに気づきながらも受験勉強生活を続けました。しかしあるママ友の発言をきっかけに、中学受験をやめることを決断。中学受験の向き・不向きや、タスクに追われた塾通い、子どもに伝えたかった中学受験より大切な人生についてなど、当時の心境を綴ります。

 子育てにも流行り廃りがあって、小学生界隈ではここ10年ほど中学受験の勢いがすごいですね。中学受験漫画のヒットやコロナによる学習環境への考え方の変化も大きなきっかけだったと思いますが、実はわが家もこの中学受験の波に飛び込むこととなった時期がありました。

 過去形でお伝えするのは、途中で身を引く決断をしたからです。家族みんなが疲弊し、リビングから笑い声が失われた約一年間でした。

 脱落? 挫折? 負け組?……途中でやめたというとネガティブなワードばかりが浮かんできますが、思い違いをしてはいけないのはこれらの主語は子どもではないってこと。

 以前書いたことのある「習い事ラビリンス」(よかれと思ってさせた「習い事」で、子どもの自尊心がガタガタに 3兄弟の母が伝えたい“習い事地獄”の教訓<2024年5月19日配信>) は、私が勝手に迷宮入りして子どもを振り回してしまった懺悔なのですが、あの時はまだ気持ちの整理ができなかったけれど、いわば中学受験がその最終章と言えるでしょう。

 今中学受験を考えている、あるいはこのまま続けるべきか悩んでいるご家庭に向けて、氾濫する情報の波に飲まれて溺れてしまう前に考えるきっかけになればと思い、わが家の体験談を書くことにしました。中学受験をすること自体が良いか悪いかという話ではないんです。確実な「正解」がないゆえについ誰かの成功体験にすがりつきたくなってしまう子育ての悩みの最たるところだと思う受験問題で、無駄に傷つく親子が少しでも減れば幸いです。

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コミックエッセイスト tomekko

中2、小4、小1の男子3兄弟に夫とほぼ男子校な日々を送っている“ポンコツ母さん”。『AERA with Kids』の「脱・カンペキ親修行」では、鋭い観察眼で子育てや家族、夫婦、教育などについて連載中。Instagramでは13万以上のフォロワーに日々育児絵日記を投稿。インスタアカウント @tomekomet

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