血液検査も定期的に受けるべきです(写真:Getty Images)

 健康長寿を実現するうえで、健康を過信せず自己チェックすることも大切なポイントだ。かつて大学病院の救急救命センターの救急医で、現在はアンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、「今の自己管理が10年先の健康状態を決める」と指摘する。自己管理の重要性について、朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。

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がんの検診も忘れずに

「がんの統計2023」(公益財団法人 がん研究振興財団)によれば、年間約100万人ががんに罹患し、おおよそ2人に1人ががんになる時代です(注1)。

 罹患率が高いのは1位から順に、男性では前立腺がん、大腸がん、胃がんの順。女性では乳がん、大腸がん、肺がんの順です。近年、男性では前立腺がん、食道がん、膵臓がん、悪性リンパ腫が増えており、女性では大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、食道がん、膵臓がん、悪性リンパ腫が増えています。

 一概には言えませんが、男女とも胃がんや肝臓がんは減ってきているのに対し、特に中高年の男性で大腸がんや前立腺がん、中高年の女性で大腸がんや乳がんが顕著に増えてきているのを見ると、食生活が肉食中心の欧米型に変化してきたことも決して無縁ではないように思えます。

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満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

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がんの発症率と食生活の関連