鯖にはビタミンDが多く含まれている(Getty Images)

 忙しいから、面倒だからと食事の内容をおろそかにすると、必要なビタミン・ミネラルの欠乏につながる。中でも、現代の多くの日本人に不足しているのが、ビタミンD、マグネシウム、亜鉛の3つだという。大切なのに足りていない3大栄養素の重要性について、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏の新著『ハーバードが教える 最高の長寿食』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。

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ビタミンDは免疫維持に欠かせない「スーパービタミン」

 世界で最初にビタミンDの重要性を訴えたのは、米国のマイケル・ホーリック博士です。すでに2007年の時点で、健康維持に必須のビタミンDが現代人に不足しているという警鐘を鳴らす論文を権威ある医学誌に発表していました。(注)

 一方、日本では2018年にようやく骨粗しょう症対策としてビタミンDが有効であることが認められ、その血中濃度測定が保険適用されました。

 日本では、もっぱら「ビタミンDは骨を丈夫にする栄養素」と言われてきましたが、実はそれだけではありません。ビタミンDは、免疫力をアップし、私たちをあらゆる健康被害から守ってくれる「スーパービタミン」です。ホルモンの一種とも言えるような働きをし、骨の健康を守るだけでなく、動脈硬化・糖尿病予防、筋力の維持、脳神経機能の維持、感染症予防など、その働きは実に多岐にわたります。

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満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

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日本人の多くはビタミンD不足