中でも注目されるのが、体内の炎症を防ぎ、免疫をコントロールする力です。全身の細胞に影響を与えて免疫機能をサポートするため、感染症予防や、花粉症などアレルギー疾患の予防・改善にも貢献することが期待されます。新型コロナウイルス感染症とビタミンDの関連も世界中の研究報告から示され、ビタミンDの重要性が注目されています。
ビタミンDの理想の血中濃度は40~60ng/mLとされています。しかし、重要なビタミンであるにもかかわらず、日本人の平均値は24.5ng/mLと圧倒的に不足しています。それはなぜでしょうか。
ビタミンDは日光を浴びることにより皮膚で作られるのですが、年齢を重ねると皮膚での生成量が減少するほか、若い年代でも紫外線をさけることなどさまざまな理由で作りにくくなっているといわれています。
特に出産する年代の女性のビタミンD不足は、子どものビタミンD不足にも直結します。実際に、子どものビタミンD欠乏による「くる病(小児骨軟化症)」が増えているという指摘もあり、対策が急がれています。
適度な日光浴で、体内でのビタミンDの生成量を増やすことができます。かつて、結核の特効薬が誕生するまではサナトリウムという療養施設で日光浴が療養の大事な要素でもありました。これは日光を浴びることでビタミンDが増え、マクロファージという免疫細胞を活性化し、結核菌を殺す能力が高まることが背景にあることが明らかにされています。