現代生活はマグネシウム不足を招きやすい

 マグネシウムは、エネルギー(ATP=アデノシン三リン酸。生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用にかかわる小さな分子)を作り出すために必須の栄養素です。血圧コントロール、糖尿病予防、心血管病予防、骨粗しょう症予防、片頭痛予防、PMS(月経前症候群)に伴う症状の緩和、筋肉を柔らかく保つなどさまざまな働きに関わっています。

 骨や筋肉などの細胞内に数多く存在しており、カルシウム濃度をコントロールするのもマグネシウムの重要な働きです。マグネシウムが不足するとカルシウム濃度が上昇し、代謝がうまくいかなくなるため、体のあちこちで筋肉が収縮し、痙攣を起こしやすくなります。このため「足がつる」などの現象が起こりやすくなります。

 同様の現象が血管で起これば高血圧や狭心症などの原因となりますし、消化管の細胞にマグネシウム不足が生じれば、腸管の動きが悪くなり、便秘の原因となります。

 このように重要な栄養素でありながら、そもそも食材に含まれるマグネシウム量が減っていること、ストレスがかかると、どんどん尿から体外へとマグネシウムが排出されてしまうことなどから、現代生活はマグネシウム不足を招きやすい環境といえます。加齢や薬の服用などに影響されて体内のマグネシウム量が減ってしまうこともあります。ですから、意識してマグネシウムを補充する必要があります。

 マグネシウムは、植物の葉緑素に存在していますので、抹茶、ほうれん草、小松菜、ケール、ブロッコリー、ゴーヤなど緑の濃い野菜に多く含まれています。また、海苔、昆布、ワカメなど海藻類にも豊富です。納豆などの大豆製品、ナッツ、シード類、未精製の穀類にも比較的多く含まれています。

 カカオ豆から作られるチョコレート、コーヒーもマグネシウム補給に役立つ食材ですが、同時に砂糖を過剰に摂取しないよう気をつけてください。

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