一般に食料の生産サイクルは長くて半年(穀物)から1年(牛肉など大型家畜)、一般の工業製品のように生産量の増減を短時間で行なえるようなものではないが、生産側が大量の備蓄を持ち、その出し入れのヘゲモニーを握っている限り、市場はそちらの方に有利に働こう。消費側に生産側に対抗できるそんな力があるとは思えないが、少なくとも理論的には国際的な消費協同組合間の連携・食料輸入国の連携による備蓄体制と機動的な運用ができる組織や公正な機関があれば大きな力となるのではないか。

市民・農家株式契約システムの導入

 現代の食料生産は地球を痛めつづけ、その限界に至る道を早めている。このような懸念は現代食料供給システムに疑問を抱く者が共有し続けてきたものである。

 ・有畜農業を軽視または攻撃し、家畜との共生を遮断した化学肥料散布。

 ・化学農薬、特にDDT・BHCなどの有機塩素系農薬や有機リン系農薬の大量散布(世界一の農業大国中国では、これら禁止農薬がなお流通している)。

 ・抗生物質依存体系の拡大。そして耐性菌の増加。

 ・土壌改良・劣化土壌の修復遅れ・地力収奪農業の横行。

 ・水汚染・水の浪費。

 ・除草剤・害虫耐性遺伝子組換え作物の世界的拡大。

 ・地球の適量を超えた畜産物生産。

 今後もなお、こうした道を突き進むのか、それとも真にSDGsを目指す道に切り替えるのか、我々は岐路に立っている。

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食料供給システムの市民化