
沖縄伝統のグスクを抜け、プールサイドで夕暮れを
沖縄県中部の西海岸に面した読谷村は、琉球文化が色濃く感じられる土地だ。「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録された座喜味城跡(ざきみじょうあと)を抱え、やちむん(焼き物)や読谷山花織(ゆんたんざはなうい)といった伝統工芸ともゆかりが強い。また環境面においても海岸線のほとんどが自然海岸で、リゾート開発の進む恩納村や都市部の那覇とは一線を画している。
そんな読谷村に立つ星のや沖縄は、文化と自然へのオマージュが随所に感じられる宿である。まずゲストの目に飛び込んでくるのは、史跡から発想を得たという外壁「グスクウォール」。まるで日常と非日常を隔てるかのようにリゾートの敷地を囲んでおり、レセプションでチェックインを終えたゲストはウォールのゲートをくぐり、「グスクの居館」へと足を踏み入れる。内部の細長い敷地にはアースカラーの客室棟が連なり、遠目ではそこに建物があると気付かないほど浜辺や岩礁に溶け込んだデザインとなっている。

客室は全部屋がオーシャンフロント。2階建てという低層設計のため間近に海が感じられ、波音や海風が届く。おすすめしたい場所は、「集いの館」の目の前に広がるプールサイド。季節を問わず24時間利用可能な加温式プールで、ゲスト同士が気を使うことのないよう、適度な距離感を保ってソファが配置されている。泳いだり、寝転がったり、ラウンジのお菓子を頰張ったりと、いつまでも長居したくなる実に居心地のよい空間なのである。

なかでもこの場所が特等席と感じられるのが日没時。東シナ海に太陽が沈むころ、空と水平線、そしてインフィニティプールとの境目があいまいとなり、自分までが読谷の自然と一体になる感覚が味わえる。この多幸感は、グスクの中に泊まることを許された星のや沖縄のゲストだけの特権と言えるだろう。
読谷の文化を五感で感じるアクティビティの数々
宿泊者が味わえる読谷との邂逅(かいこう)は、それだけではない。客室のベッドルームの壁に描かれた琉球紅型(びんがた)の絵柄からは、読谷村の伝説や風習を見つけることができる。また部屋のティーセットには贅沢にもやちむんの茶器が使われ、伝統工芸に囲まれた滞在がかなう。

敷地内には、空手が沖縄発祥の武術であることから本格的な道場が設けられ、ウェルカムドリンク「ぶくぶく茶」のおもてなしのほか、実際に空手の師範から型や組手を習得する「島の手習い」プログラムも用意されている。ほかにも、琉球紅型や読谷山花織を制作したり、琉球舞踊の所作を学んだり、さらにはかつて読谷村に琉球王府が管理する広大な馬場があったことから、目の前の海岸で乗馬を体験したりと、ローカル文化に根差したアクティビティが数えきれないほど催行されている。

ダイニングでは「琉球ガストロノミア〜Bellezza〜」をテーマに、沖縄特有の食材をイタリア各地の技法で調理。「医食同源」が根付いた沖縄らしく、命草(ぬちぐさ)と呼ばれるビタミンやミネラル豊富な沖縄野菜を多用したコース料理で、健やかな美へと導いてくれる。

プールサイドでのサンセットのような圧倒的非日常体験に加えて、その土地の風土、歴史、文化に触れられるのも、星のや沖縄の醍醐味(だいごみ)。今年の7月にはいよいよ開業5周年を迎えるが、既にたくさんのゲストがここでの滞在を通じて、沖縄文化への理解を深めたことだろう。“読谷を知る”、その点においても星のや沖縄以上の特等席は、ほかに思い浮かばない。
【期間限定プランのご紹介】
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https://hoshinoresorts.com/plans/JA/0000000018/0000000113
宿泊対象期間:2025/05/05 ~ 2025/06/30