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 世界規模の飢餓が訪れる。「食料生産の国際分業と自由貿易に任せれば食料がまんべんなく世界に届けられる」という考え方は幻想だというのは、中国・アジアの食料・農業問題などを研究している愛知大学名誉教授で、同大国際中国学研究センターフェローの高橋五郎氏だ。『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。

【表】世界の穀物自給率はこちら

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市場原理のジレンマから脱却

 本書の最大にして唯一の望みは、地球上からすべての飢餓が消えることである。それが困難極まることは明らかではあるものの、せめて、いまより改善することができれば将来に向けて大きな希望を抱くことができる。

 しかし、飢餓が解消される条件である食料の生産量が消費量と同じか、あるいは上回ることは理論的にも可能なのか、という問題がある。理論的に食料の需給が均衡することは一時的に起きても、そこに至るまでには2つのケースが想定されうる。

【1】消費量が生産量を上回る現在のような状況が均衡に向かうケース、すなわち生産量が消費量に追いつくケース

【2】消費量が生産量を下回るような状況が均衡に向かうケース、すなわち多すぎる生産量が消費量に追いつくケース

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食料は供給が需要を下回る傾向がある