「バラ科の果物にはリンゴや梨のほか、桃やサクランボ、イチゴなどのベリー系、ビワ、プラム、ウメなど、日本人が好んで食べるものが多いのです。必ずしもこれらの果物すべてで症状が出る、というわけではないのですが、リンゴ、桃で症状が出る場合が多いですね」(今井医師)
生搾りのジュースに注意
症状としては、唇が腫れたり口の中がかゆくなったりのどがイガイガしたりといった、食べたものに触れる口の周りの症状が多く、これらの症状が出たら、それ以上は食べるのをやめることが大切です。
「一般的にはアナフィラキシーなどの強い症状は誘発されにくいですが、注意が必要なのは生搾りのジュースです。液体の場合は固形の果物より吸収が早いので、生搾りのジュースを大量に飲むと消化しきれないたんぱく質を吸収してしまい、症状が強く出ることがあります。一方、パッケージになって販売されているジュース類は加熱処理がされており、アレルギーを起こす力が弱まっているので大丈夫なことが多いです」
そう話すのは、福岡市立こども病院アレルギー・呼吸器科科長の手塚純一郎医師です。手塚医師は同院のこどもアレルギーセンター長も務め、日本小児アレルギー学会、日本小児臨床アレルギー学会などの理事としてアレルギー疾患の適切な治療のため、医療者、家族、学校、行政など多職種との連携や情報の啓蒙に尽力しています。
ゴム手袋、クラゲ、猫、鳥…
このように、アレルギーを引き起こすたんぱく質の構造が似通っていることで、アレルギーの症状が起きることを交差反応(こうさはんのう)といい、花粉以外にもいろいろなもので起きることが、近年わかってきました。
花粉以外で多いのは、ゴム手袋などに使われる天然ゴム(ラテックス)が原因で起きるラテックスアレルギーです。普段仕事などで常にゴム手袋をするなどゴム製品に触れることが多い人が、バナナやアボカド、キウイフルーツ、栗などを食べるとアレルギー症状が出るようになる、というものです。
また最近明らかになったものに、納豆アレルギーがあります。クラゲに刺されたことがある人が、納豆を食べると症状が出る、というもので、クラゲと納豆のネバネバの成分が似通っていることで起きます。