このほか、を飼っている人が豚肉を食べると症状が出る(ポーク・キャット症候群)、鳥を飼っている人が卵や鶏肉を食べると症状が出る(バード・エッグ症候群)など、交差反応によるさまざまな食物アレルギーがあることがわかってきています。

「日本人の場合、花粉症の人がとても増えており、それに伴って交差反応の食物アレルギーも増えています。食物以外のアレルギーでも、タンパク質の構造が似た食べ物でアレルギーが起きることがある、ということを知り、症状が起きて怪しいなと思った食物は避ける。もし心配なら、ためらわずにアレルギーが専門の医師を受診してほしいと思います」(手塚医師)

次々にアレルギーを発症するアレルギーマーチ

 子どもの場合、0歳時のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーから始まり、2~3歳時には気管支ぜん息やアレルギー性鼻炎、学齢になると花粉症といったように、さまざまなアレルギーが起きる場合があります。アレルギーの病気が、まるで行進曲(マーチ)に乗ったように次々と発症することから、アレルギーマーチ、アトピックマーチなどと呼ばれます。

 食物アレルギーには今のところ、これといった治療方法がないのが実情ですが、アレルギーマーチになるのを防ぐことは可能なのでしょうか。

「患者にはアレルギー体質が基盤にあるので、乳児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症した子どもは、アレルギーマーチを起こしやすい傾向があります。アレルギーになりやすい、なりにくい、というのは、アレルギー体質以外に成育環境が大きな要因となります。アレルギー体質は遺伝的に決まっているので変えられませんが、環境は変えることができます。例えば生活環境中のダニやホコリの除去など、できるだけ良い環境で過ごせるよう努力することが必要です。ただ、環境を整えればアレルギーマーチを食い止めたり発症を完全に防ぐことができるかというと、なかなか難しいですね」(今井医師)

「湿疹で肌のバリアが壊れていると、食物、ペット、ダニ、花粉などアレルギーの原因となるものが肌から侵入します。すると免疫機能が働いてからだの中でIgE抗体が作られ、次に原因物質が入ってきたとき、防御反応としてアレルギー症状が出てしまいます。まずは0歳のときにしっかりスキンケアをし、湿疹を治すことが非常に重要です」(手塚医師)

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食物以外のさまざまなものから食物アレルギーに