松本大氏(画像=ルビ財団提供)

 しかし、ルビを振ることで、漢字の習得が妨げられたり、学力そのものが下がってしまう恐れはないのだろうか。ルビ財団に関するネットニュースが配信された際にも「漢字はそのままで良いかと。分からなければ、その場で聞くなり、想像するなりで、問題無いと思う。人間の力を引き出す方向で考えてほしい」、「辞書を引くっていうのももう昭和なのかな。新聞に出てくる言葉とか、自分で辞書(電子辞書でも)を調べたほうが勉強にはなる」などの学力低下を心配する声が上がった。

 こうした懸念に対して、漢字教育が専門の奈良教育大の棚橋尚子教授(国語科教育学)は、「子どもの学力が低下する可能性は低いでしょう」と語る。

 棚橋氏によると、小学生を対象とした調査で、ルビを振ることが漢字の読み書きにプラスに働くという結果が出ているという。

 棚橋氏は、近畿圏の小学校3~6年生を対象に、一般的な教科書を使用したクラスと、未習漢字語句の一部にルビを振った教科書を使用したクラスを作り、ルビ付きにした漢字語句の習熟度を計測した。その結果、特に漢字の指導をしたわけではないにもかかわらず、後者のクラスの児童の方が、読み書きともにその漢字語句がより定着していることがわかったという。

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