すべての漢字にルビを――。金融大手のマネックスグループ創業者で現代表執行役会長の松本大(おおき)氏が、今年5月下旬に自身がファウンダーとなり「ルビ財団」(東京都港区)を設立した。松本氏は2年間をめどに1億円の私財を投じるという。同財団は、出版物やウェブサイト、案内板などにルビを振るよう、出版社や自治体などに呼びかける活動を行っている。
なぜ金融業界のトップランナーが、このような一風変わった活動を始めたのか。
松本氏は「ルビを振ることで子どもたちがもっと自由に自分の興味関心のある分野を追求していくことができると思った」と話す。
そう考える背景には、松本氏の原体験がある。松本氏の家には、総ルビの本があふれ、それを興味のおもむくままに読むことで「脳みそを耕すことができた」。しかし、あるときから出版物や新聞、美術館の説明書きなど、さまざまな文章にルビが振られなくなっていったと感じているという。