AERA 2023年8月28日号より

 そうした中、「寺や神社などの宗教施設を災害時の避難所として活用することが必要」と提言するのは、宗教と災害支援の関係を研究する大阪大学大学院の稲場圭信教授(宗教社会学)だ。

「宗教法人は全国に約18万あり、6万店舗近くあるコンビニの約3倍。つまり、宗教施設は必ず地域の中にあります」

 そもそも寺や神社は、江戸時代から地震や台風などの災害時には避難所として使われ、人命を守ってきた。戦後、災害時の対応が主として自治体の責任になると、学校や公民館といった公的な建物が避難場所になっていき、宗教施設はあまり使われなくなった。しかし3.11以降、各地で地震や大雨による水害が続き、コロナ禍で分散避難が求められる中で避難所不足が浮き彫りに。そこでいま再び、宗教施設を避難所として活用することが求められている、と稲場さんは力説する。

「寺や神社には広い空間や畳部屋、井戸があるところも少なくありません。決定的に違うのは、地域で繋がっている寺や神社に避難することは、みんなで支えあいながら生きていけるということ。また、日本人は無宗教者が多いと言われますが、避難先に神様や仏様がいれば、心に安らぎを得ることもできます」

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ