研究室で大学院生と議論する御手洗菜美子さん=デンマーク・コペンハーゲン、御手洗さん提供

――デンマークの良いところって何ですか。

 めっちゃフラットなところですね。社会全体がそう。経済格差も少ないです。社会的な構造もフラットで、教授も全然偉くないというか、みんなファーストネームで呼び合います。

 日本は、少なくとも私がいた物理学者の世界は女性が少なくて、男子学生が女性に慣れていなさすぎるというか、何か意識しすぎというか。一度、男子学生が「女の子は何であんなに物理ができないんだろう」って言ったことがあって、「私のほうが君より物理はできるけど」みたいなことを言ったら「いやいや御手洗さんは特別だから」って言われた。そういう特別カテゴリーに入れられたので、私に対しては直接来ないけれど、だからと言って何もないわけではなく、スキを見せたら「できない側」に戻されるというプレッシャーは感じていた。

 女性差別的な発言をする人って強そうな人にはしないですよね。私は気が強そうなんで、実際、強いんですけど、だから、直接は言われない。でも、ほかの女性が言われるのは見聞きしていた。デンマークに行ってから「あー、日本にいたときは肩に力が入っていたな」と気づきました。

 それから、デンマークは会議が少ないです。私はいまセクション長をやっているんですが、そうすると月に1回の会議がある。そういう役職がなかったら、基本、会議はない。授業も年に2コマですから、自分で研究する時間がある。

 デンマークは税金が高いので、税金を払うよりはと財団をつくって研究費を出す私企業が多いんですよ。なかでも、ノボノルディスクという製薬会社がこのところすごく調子が良くて、研究費をバンバン出している。医薬系だけでなく物理系にも研究費を出すようになり、私はそこから7年間の大型研究費を去年取りました。

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