――生物学と物理学の学際分野ですね。

 分野としては「生物物理」というのが一般的ですけど、伝統的な生物物理はDNAのメカニカルな性質とか、細胞膜の電気的な性質とか、「物質としての生物」を研究するのも多いんですよ。私が研究しているのは、物質としてではなく生きたままの生物の機能です。使っているのは、統計物理学の手法です。最近は「定量生物学」と言ったりもします。

 私は九州大学の理学部物理学科を出たので生物のことはよく知らなかったんですが、研究所には生物学者もいて、皆さん私に辛抱強く教えてくれた。私が専門とする数理モデルや解析の専門家ももちろんいて、彼らと深い議論をしつつ、実験をする人たちとも日常的に会話をし、ときには実験を一緒にやるという環境はすごく楽しかった。それが今に続いています。

福岡生まれの福岡育ち、九大の博士課程までずっと実家暮らし

――お生まれは福岡ですね。

 はい、福岡生まれの福岡育ちで、九大の博士課程までずっと実家にいました。父は物理学者です。原子核が専門で九大に勤めていました。母は、私が小さいころは専業主婦で、中学に入ったころから養護学校の教員として働き始めました。2人とももう引退していますけど。

――ごきょうだいは?

 1学年上の姉との2人姉妹です。小学校も中学校もマンモス校で、中学校は1クラス50人近くで十何クラスありました。中学のときは部活もせず、塾にも行かず、普通にしてました。

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