名古屋市でも、寄付を受け取る際に学校側が市教委に報告する手続きを怠っていたことが明らかになっている。
報道によると、市教委は5月、市立学校が市教委に報告せずにPTAから物品などの寄付を受けていた金額が、22年度までの5年間で約1億4700万円にのぼったと発表した。
寄付の内容はエアコンやプロジェクターといった物品や学校施設の設備など。昨年度は幼稚園、小中学校、特別支援学校、高校の計162校がPTAから寄付を受け、そのうち144校が市教委への報告を怠っていたという。
■「東京に寄付の文化はない」
小川議員が調査を始めたきっかけは、東京都から引っ越してきた市民の声だった。
「3年ほど前、さいたま市立の小学校に通学する子どもの保護者から『学校の備品がPTAから寄付されているのにびっくりした。とても違和感がある』というご意見をいただいたんです。調べてみると、東京にはPTAが学校に寄付をするという文化がないんです」と、小川議員は言う。
なぜ東京のPTAには学校に寄付をする文化がないのか。小川議員は東京・足立区の教育委員会を訪ねた。
「教育委員会の方とPTAの会長さんにお会いしたんですが、2人とも、『はあ? さいたま市では学校の備品をPTAが買っているんですか』みたいな感じで。ああ、本当だったんだとわかりました」
筆者も東京都PTA協議会に尋ねると「まったく、その通りです」と返ってきた。
1967年に東京都教育委員会は、次のような通達を出した。
「従来、父兄を主たる会員とするPTA、後援会、その他の団体から、学校後援のための寄付が行われてきた。こうした慣習は、おうおうにして、強制にわたる懸念もあり、一方このたびの措置により学校運営費が確保されることになるので、今後はこの種の寄付は受領しない」(義務教育学校運営費標準の設定と公費で負担すべき経費の私費負担解消について)