支出内容は多岐にわたり、教科書や理科実験用具など学習に直接関係すると思われるもののほか、机やいす、ロッカー、チョーク、傘立て、清掃用具、印刷関連用品、体育館ワックスなどの備品もあった。マスクやフェースシールド、アクリル板、体温計など新型コロナ対策用品も目立ったという。
■集計が大変なほどの数
さいたま市の情報開示を市教委に求めた小川ひさし市議(現在は県議)によると、20年9月に資料を請求した際、市内約160の小中学校のうち、19年度にPTAから寄付を受けた小学校は26校、中学校は21校の合計47校との回答だった。寄付された物品は97品目だった。
「そんなことはないと思った」という小川議員は、21年2月の予算委員会で再調査を求めたのだった。
「そうしたら、出るわ、出るわ。教育委員会が各学校に問い合わせたんですけれど、回答を集計するのが大変だったそうです。
ところが、それでもPTAから寄付を受け取っていないと回答した学校が23校あった。で、それは本当なのか、片っ端から学校に行ったんですよ」
小川議員は5日間かけて自転車で23校すべてをまわった。
「そうしたら、そのうちの19校がPTAから寄付を受け取っていた。『いやー、すみませんでした』と。つまり、ほとんどの学校が寄付を受け取る際の『ルール』を無視してきたわけです」
そのルールというのが「さいたま市立小・中・特別支援学校物品寄付受入手続」である。
「例えば、PTAから寄付を受け取る際、学校は『受け取ってもいいですか』と、教育委員会に伺いを立てるわけです。それに対して『受けてもいいよ』となって、はじめて学校は寄付を受け取れる。
PTAのお金は、子どもたちの保護者から集めたお金ですよ。そのお金で購入した物品を受け取っていながら、多くの学校は必要な採納手続きを長年、無視してきた。子どもたちに『ルールを守りなさい』と言ってきた学校が、ですよ。ありえないですよ」