■寄付を受け取る根拠
寄付を受け取らないとしている自治体と、「自発的」ならば受け取るという自治体。
しかし、PTAから学校への寄付において、「真の自発的な寄付」が成り立つのか、はなはだ疑問である。
というのも、そもそもPTA(Parent-Teacher Association)は、保護者と教員で構成される組織だからだ。しかも、校長や教頭、学年主任など、学校のトップが役員として加わっているPTAが少なくない。
実例を示そう。
筆者が地元の小学校でPTA会長を務めていたとき、大型プリンターを学校に寄付した。その際、副会長である教頭とは役員会で綿密にすり合わせを行った。なので、学校側の意向が反映されていない、とはとても言えない。学校への寄付に関する話し合いのみ、会員である教員の意見を排除することは、PTAの組織上、無理がある。
さらに「真の自発的な寄付」はPTAの「強制加入問題」とも絡んでくる。
PTAは任意団体であり、入会時には同意書をとらなければならない。ところが、悪しき慣習で、保護者や教員の同意をとらず、強制的に加入させているPTAがかなりある。
強制加入によって徴収されたPTA会費が学校への寄付に使われれば、地方財政法第4条の5「割当的寄附金等の禁止」に違反する可能性がある。
小川議員は指摘する。
「本来、学校の備品は公費でまかなうべきものですが、PTAの金が使い勝手のいい金として学校の『第二の財布』になってきたことは明らかです。だからこそ、これほど多くの学校が採納手続きを無視してきた。なので、『これは本当に自発的な寄付なんですか』と、市議会で何回も問いただしてきたんですが、教育長は『真の自発的な寄付だから受け入れています』と繰り返すのみで、最後まで話が交わることはなかったですね」
小川議員はPTAを批判しているわけでも、寄付を全て否定しているわけでもない、としたうえで、こう語った。