共働き家庭数は増加の一途をたどり、専業主婦家庭の約3倍にのぼります(男女共同参画白書 令和6年版)。しかし、PTA活動に参加する保護者の大半は母親だといわれています。もう少し、父親の参加率が上がってもいいのでは? と思う人もいるかもしれません。男女間の偏りは解消していけるのか、PTA活動に詳しいライターの大塚玲子さんにお話を聞きました。

MENU 日本人の「横並び意識」がPTAに影響か みんなが嫌々やっていたPTAの仕事をなくす 「おやじの会」出身者が中心になっているケースも

日本人の「横並び意識」がPTAに影響か

――PTA活動に参加する保護者の大半は母親だという学校も多いと思います。父親だけでなく母親もフルタイムで働いている家庭が増えていても、この差はあまり変わらないのでしょうか。

 公的な統計はありませんが、PTA活動に参加する保護者は母親が多いというのは確かだと思います。理由は、こう言ってしまうと身もフタもありませんが「もともとPTA活動をするのは、母親が多いから」ではないでしょうか。
 やはり、日本人は“横並び”が好きなところがあって、PTAの役員や委員に父親が少ないとなると、わざわざ自分がマイノリティーになって参加しようという父親がなかなか出てこないのが実情です。

 その半面、小中学校でPTA会長を務める人の約8割が男性だというデータがあります(男女共同参画白書 令和5年版)。

 学校内の細かな実務は母親が担い、地域などとの対外的な付き合いは保護者代表として父親が担う……。家庭内で母親と父親の仕事がわけられていることが多いように、社会全体に残る昔ながらの性別役割分業の意識が、現在のPTAにもまだまだ残っていると感じています。

みんなが嫌々やっていたPTAの仕事をなくす

――共働き家庭が多い保育園では、父親も保護者会や行事に参加する姿が多くみられます。でも、同じ地域内でも小学校のPTAとなると途端に父親の参加が減るという声を聞きます。その理由は、なんでしょうか?

 フルタイムの共働き家庭がこれだけ増え、家庭内での役割分担がフレキシブルに変わりつつあるのに、PTAだけがなぜいつまでも変わらないのか不思議ですよね(苦笑)。

 ただ、中には、父親を中心に新しいPTA活動を始めているところもあります。会長だけでなく、役員の参加者にも父親が多いと、PTA活動の内容自体も変わっていく傾向も見られます。

 昔から続いてきた活動をするだけでなく、例えば、子どもたちと遊ぶイベントを企画したり、今までみんなが我慢して嫌々ながらやっていたPTAの仕事をなくしたり、より自由な視点で活動している試みもみられます。

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玉居子泰子
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