小学校のPTAに改革の波が押し寄せています。学校運営の「お手伝い」としての役割を減らし、保護者立案のイベントに力を入れるようになったところもあれば、思い切って「解散」に踏み切るケースも。背景には何があるのか? また、PTAを解散して学校や保護者、子どもたちが困ることはないのか? PTA問題に詳しい大塚玲子さんにお話を聞きました。
【マンガ】夫が知らないワンオペ育児の”壮絶”(全6枚)2021年以降、少しずつ「PTA解散」の報道が
――大塚さんは著書のなかで、PTA解散について書かれています。いつごろからそのような流れになってきているのでしょうか?
長い間、「PTA解散」はタブーな言葉でした。でも解散ができない団体は、維持することが目的化して、どうしても強制につながってしまいます。
そこでタブーを破るため書籍で取り上げようと思い、2020年にPTAの解散事例を探したのですが、このときは全く見つからず、「P連」(PTA連絡協議会)を抜けた学校を、他校が「解散」と呼んでいる例が見つかったくらいでした。
PTA解散について書いたその本が刊行されたのが2021年の秋。年末ごろ、地方でPTAが解散したというニュースを見かけ、その後、少しずつ解散するPTAの報道が増え、25年度のいま現在、もうそれほど珍しくないレベルになりました。
学校の「働き方改革」でPTAを抜ける教職員も
――なぜ、近年急激にPTAの解散が増えたのでしょう?
やはり新型コロナウイルスの影響が大きかったと思います。保護者の多くが「PTAのあり方が時代に合ってないよな……」と感じていたところに、コロナ禍があった。人と会うことが制限されましたから、多くのPTA活動が休止になりました。いざ、休止してみると、「意外とPTA活動がなくても大丈夫」と実感する人が多かったのでしょう。
同時に、学校の「働き方改革」の重要性も知られるようになり、先生たちも現状のPTAを維持する負担を考え始めたのだと思います。PTAを退会する先生の存在も知られるようになり、PTAの存在意義を見直す保護者も増えてきたのでは。
――PTAは、あくまで「任意団体」で、入会も義務ではないのですものね。
ええ。コロナ禍でPTAがなくても学校運営は回るということが判明し、PTAを続けるために払ってきた時間・労力的コストの大きさに、学校も保護者も気づいたのだと思います。
同時に、PTA活動が2~3年休止したことで、役員の引き継ぎがますます困難になりました。
以前はイベントや会合の際に、「あの人なら引き受けてくれるのでは」という目星をつけ、声をかける機会があったところ、コロナ禍でそうしたチャンスが減ったりなくなったりして、後任者を見つけるのがさらに難しくなった。そのような流れで「解散」に向かうケースが増えたのもあると思います。
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