「PTAから寄付を受け取るのであれば、学校は最低限、ルールを守らなければなりません。それに、PTAの寄付に頼らないですむように、市は予算の配分をもっと教育に振り分けてもらいたい」
■学校が使いやすい公費を
冒頭に書いたように、学校の備品は公費による購入が原則と法令で定められている。
「ところが、文科省や教育委員会は『自発的な寄付であれば、受け取るのはOK』という例外規定、いわば逃げ道のほうを基本にしている。それが非常に問題です」と、公教育の無償性などが専門の千葉工業大学工学部教育センターの福嶋尚子准教授は指摘する。
本来、寄付を受け取ることなしに学校運営を成り立たせることが設置者の義務である。しかし現状は、各地方自治体の定めた手続きに沿って学校が「自発的な寄付です」と申請すれば、寄付が受け取れる状態になっている。
「要は、PTAからの寄付であれば、組織運営のされ方まで精査して、本当に自発的な寄付なのか見極めなければならないはずですが、少なくとも、名古屋市の場合はそこに論及されずに、全部『自発的な寄付』で片づけられています」
さらにこの問題は、寄付をするPTAや、それを受け取る学校が悪い、というだけでは解決しない、と福嶋准教授は訴える。
「東京都の場合、きちんと学校が使いやすい公費を自治体が用意することで、公費だけで学校運営が成り立っている。ところが、そうなっていない状況が全国的にあるわけです。そこに目を向けなければなりません
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)