9位の聖光学院(神奈川)は東大合格者数が前年より21人増えた。合格者のうち現役の割合も高い。

「フィールドワークといった体験学習が有名です。様々な業界の専門家を呼び、学びのモチベーションを上げることにも力を入れています。生徒は刺激を受けて、合格実績にもつながります」(安田常務)

 今年は私立の健闘が目立つが、公立も負けてはいない。30位の浦和・県立(埼玉)は、東大合格者が前年比19人増の41人。東北大や京大などにも進む生徒がいる。進路指導部の東知則主事はこう語る。

「16年度から、受験準備講座を2年生の後半に開いています。部活後に英語や数学を中心に補講を行うもので、多いときは一つの教室で100人が受講します。この取り組みで、学習時間がしっかりとれるようになったと思います」

 さらに、2年生の3学期には志望大学別に入試問題の研究会を行う。進路意識を高めるだけでなく、同じ志望の仲間づくりの場としても機能しているという。

 45位の国立(東京)も注目だ。京大合格が19人となり、東大16人や東工大18人を上回った。西田環・進路指導主任が明かす。

「数年前から京大の見学ツアーをして、本校出身の先生に模擬授業をやってもらっています。当初は20人ほどだった参加者も今では倍増しました。自由な校風なので、同じ雰囲気の京大に憧れるのかもしれません」

 西日本の公立校では大阪勢が健闘している。8位の北野、20位の天王寺、26位の茨木だ。茨木は京大は6人増の16人、大阪大は15人増の73人、神戸大は13人増の47人と大きく伸びた。

「妥協せずに第1志望を目指した生徒が多く、浪人、現役ともに頑張ってくれました」(進路指導担当者)

 トップ50のランク外でも、浜松北(静岡)のように京大合格者が12人増え、過去最高の32人になったところもある。進路指導部によると、「東大や京大を目指す生徒がここ5年ほどで増えている」という。

 25位の札幌北(北海道)や17位の仙台第二(宮城)、22位の岡崎(愛知)、23位の修猷館(福岡)など地元の旧帝大に多数合格する高校もある。

「今年は安全志向ですね。来年はセンター試験が最後なので、浪人したら将来不利になるという危機感もあったのではないでしょうか」(安田常務)

(本誌・緒方麦)

週刊朝日  2019年4月19日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?