宮崎さんは、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」のメンバーでもあった。天皇陛下が退位の意向を強くにじませた「お気持ち」を表明した2カ月後、2016年10月に発足した会議だ。ここでの発言が「大変しっかりしている」と安倍総理が評価したことが、「元号に関する懇談会」への起用につながったと、元時事通信の田崎史郎さんが解説していた。

 どの辺が総理のお眼鏡にかなったのかなーと知りたくて、宮崎さんの著書『女の耳目』を読んでみた。単著は最近出版されておらず、この本は1996年に出たエッセイ集。テレビの世界で活躍していた宮崎さんが、「週刊読売」に連載していたものだ。

 読むと、すごくまじめな人だとわかる。何しろ目次が「文明論」「文化論」「人生論」「国際論」。日常を書きながら、最後は教訓めいた「論」にしてしまう。そこに破綻はないが、おもしろみもない。仕事と子育てに一生懸命で教養ある人なのは確かだが、レベルの高い無難な人。そんな、マイ読後感。

 ところで安倍さんという人は、「女性活躍」を掲げている。だから「元号に関する懇談会」も女性メンバーが1から2に増え結果、平成の時よりメンバーが1人増えた。安倍さんの指示だったと、朝日新聞が書いていた。

 宮崎緑さん、安倍さんに選ばれる人だと思う。大学教授でまじめで教養があって、家庭人でもある。そして彼に不都合なことなど、絶対言わない。言わないというより、思わないタイプだろう。

 紅白歌合戦って、おもしろいわけ? 今どき、意味あるとは思えないんですけど。なーんて、絶対思わない。「1年に1度、歌を通してみんなが気持ちをひとつにするのね」とちゃんと思う。そして、着物で審査員席に座る。そういうタイプの人だと思う。

 だから宮崎さんは「万葉集からって、すばらしいですね」と思ったはずだ。「令夫人とか令嬢とか、よい言葉に使われていますね」と納得したはずだ。梅の花を好きに違いない。

 そんなわけでこれからも、宮崎さんは「政府の懇談会(または審議会その他)クイーン」であり続けるに違いない。

矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

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