法政大0.8%、明治大1.9%。この違いを分析するのはむずかしい。一般論として女子のほうが退学せずに卒業する。女子学生数(比率)は、法政大1万957人(37.1%)、明治大1万794人(35.0%)。大差はない(以上、2017年度)。

 法政大の多摩キャンパス(経済、社会、現代福祉、スポーツ健康の4学部)は都心から離れて利便性が良いとは言えない。それでも法政大のほうが満足度は高い。田中優子総長が教育に力を入れたと見てもいいだろう。それにしても、東京大と京都大が同じ退学率というのは興味深い。

 卒業率が高い、つまり留年率が低いところ、イコール学生が勉強をよくするという図式は成り立たない。カリキュラムがゆるかったり、教員の学生に対する成績評価が甘かったり、つまり楽勝科目が多かったということであれば、すばらしい教育を行っているとは言えないからだ。

 卒業率が低い、つまり留年率が高いところ、イコール学生が勉強しないという図式も成り立たない。教員が厳しい成績評価を行って単位が取れず、落第する学生が多いことは、ポジティブに評価できる。しかし、大学はもっと学生の面倒を見るべきで、学生が理解するまでていねいに教えるべきだという観点もある。厳しければいいというものではない。もっと学生の面倒見を良くしなさい、という見方もある。

 いま、大学全体で見ると退学率はどのくらいになっているのか。なぜ、退学するのか。

 すこし古いが、文科省は2012年度の中途退学者について、調査報告をまとめている。調査はこれが最新のもので、14年9月に発表された。<調査対象:国・公・私立大学、公・私立短期大学、高等専門学校1191校 (回答校1163校)>

●退学者の総数は7万9311 人

●退学率2.65%(2007年は2.41%)

●退学者の理由は次のとおり(退学率は12年 07年)
(1)経済的 1万6181人(20.4% 14.0%) ↑
(2)転学 1万2240人(15.4% 14.9%) ↑
(3)学業不振 1万1503人(14.5% 12.7%) ↑
(4)就職  1万627人(13.4% 14.4%) ↓
(5)病気、けが、死亡 4616人(5.8% 6.1%) ↓
(6)学校生活不適応 3461人(4.4% 5.1%) ↓
(7)海外留学 579人(0.7% 0.9%) ↓
<「その他」を除く>

 経済的な理由が6.4ポイントも増えているのは、たいへん深刻な問題である。

 たとえば、学費を払ってくれた保護者(親など)が、病気、死亡、失業などで収入を得られず家計が苦しくなったというケースがある。これによって、学生は大学で勉強を続けられなくなる。大学など関係機関は経済的理由で学問を断念せざるを得なくなる学生を、積極的に支援すべきだろう。

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「退学したければどうぞ」では済まされない