『大学ランキング2019』から
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『大学ランキング2019』から
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 すべての大学で退学率、留年率が公表されることになりそうである。
 
 2018年9月、文部科学省管轄の中央教育審議会部会のワーキンググループは、各大学に対しての留年率、退学率、単位の取得状況などの情報公開を義務づけるとした提言案をまとめた。受験生、企業が教育内容を適切に評価できるようにすることが狙いだ。これを受けて、近々、文科省は大学に退学率、留年率の公表を義務づける見通しだ。

【早稲田、慶應、上智、中央、明治、青山学院など、おもな私大「卒業率」「退学率」の続きはこちら】



『大学ランキング 2019』では、主だった大学の退学率、卒業率(標準修業年限卒業率)を掲載している。卒業率は留年率の裏返しになる。

 退学率の高い、あるいは低いことについて、その理由を大学の特徴から見いだすのはむずかしい。

 たとえば、早稲田大や慶應義塾大の学生が東京大に、法政大や明治大の学生は早稲田大や慶應義塾大に入り直すために、退学したケースはある。だが、こうした傾向はその年によってかなりばらついており、大学ごとに法則のようなものはない。
 
 東京大0.8%(2016年度。以下同)は高い、早稲田大1.1%は低いと見る向きもあろう。

 最難関である東京大にまで入ってなぜ退学するのか。その多くは進路変更である。他大学の医学部への再チャレンジ、海外の大学へ進むなどだ。最近では、東京大に入学したその年にハーバード大、スタンフォード大、オックスフォード大など英米のトップ校に合格したため、東京大をやめたというケースが見られる。

 在学中に起業して東京大をやめた学生もたまにいる。そのもっとも象徴的な人物は堀江貴文氏だろう。

 早稲田大の退学率が低いと見る人は、早稲田でいまだに伝えられる「中退一流、留年二流、卒業三流」神話を信じているからだろう。実際、退学者で有名になったOB・OGは少なくない。

 しかし、いまや学生にすれば「中退一流」は通用しなくなっている。

 学生は授業に真面目に出て、きちんと卒業する。そうでないと安定した将来を迎えることができないから、と考える。

 早稲田大を退学した著名人を文末に並べたが、多くは昭和の時代、つまり40代後半以上である。退学率1.1%では、早稲田中退伝説は過去の話といっていい。

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大学全体で退学率を見ると…