「早稲田のほうが英語力が伸ばせると思いました。総合大学として多様性があり、様々な刺激を受けられる。スポーツも盛んで、校風が合っていると思ったんです。親も理解してくれました。同級生にはすでに就職先を探し始めている人がいて、最近は自分も外資系コンサル会社に興味を持っています」(船坂さん)

 こうしたケースは他にもある。北海道/法と中央/法では中央に10%、大阪/法と早稲田/法では早稲田に20%入学している。筑波/理工と東京理科/工では8%が東京理科を選んだ。

 こうした動きの背景には、本誌11月30日号でも報じたように、私大の奨学金が充実してきていることもある。

 私立大同士の併願パターンは様々だ。同じ学部もあれば、法と経済、文と教育など異なることもある。

 関東の私大では、早稲田、慶應など最難関同士の併願が目立つ。かつては“私大トップ”と言われていた早稲田だが、近年はライバルの慶應に追い上げられたと言われている。早慶W合格者の入学比率を見ると、慶應に入学するケースが多い。

 早稲田大で頑張っているのが社会科学部。親世代には「夜間学部」のイメージがあるが、09年に授業は昼間のみとなった。志願者や偏差値は徐々に上昇し、慶應義塾/総合政策とのW合格では半数が入学先に選んでいる。就職先も大手企業が並ぶ。社会科学部の入試担当者はこう語る。

「大半の人には夜間学部のイメージはありません。社会の課題に向き合うには視野が広い人材が求められており、政治や経済などを幅広く学べる学部の人気が高まっています」

 理系では東京理科大の存在が際立つ。都心回帰などの改革に取り組み、志願者が増えた。入学比率を見ると、偏差値が上位にある上智とはほぼ互角で、明治とは8割以上が東京理科大を選択している。「早慶上理」と呼ばれるようになりつつある。

「実力をつけた人しか卒業させないという『実力主義』を掲げ、学生を伸ばす大学として評価されています。火災科学や光触媒など国立大に負けない研究もある。今後は人工知能(AI)などの分野にも力を入れていく予定です」(東京理科大の渡辺一之副学長)

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