そう話すのは、広報課長の志鷹英男さんだ。これまで学んだ座学の意味を体感するのだという。

「例題回答型の受験勉強は向いていなかったかもしれないが、アイデアを具現化する探究や課題を見つけて解決する問題対応の分野で優れた能力を開花させる」

 学科教員の5割が民間企業出身。グーグルでネット広告を収益につなげるアルゴリズムの開発に携わった情報工学科の中野淳教授のほか、花王の洗剤「アタック」の開発者ら、第一線の人材をそろえる。

 東進によると、工学部ロボティクス学科の偏差値は47。入学時の偏差値は高くはない。だが、今春の実就職率では、97.7%と卒業生数1千人以上の大学で1位となった。就職先も、トヨタ自動車、コマツ、富士通、みずほ銀行、ヤフー、ソフトバンク、大林組、鹿島など大企業が並ぶ。卒業生には、トヨタ自動車が発売した世界初の燃料電池ハイブリッド車FCHVの開発チーフエンジニアを務めた浜島清高氏など、実力派が輩出している。

 コスパの良さでずばぬけているのは、名古屋市にある豊田工大だ。運営費の4割以上がトヨタ自動車から寄付され、年間の授業料は60万円と国立大並みだ。1年次は全寮制で月2万円の寮費で勉強に専念できる。「アルバイトよりも勉強に専念できるように」と奨学金制度も充実し、全学生の約3割が無利子の貸与奨学金を利用している。企業が設立した大学だけあってインターンシップは充実。1年次は組み立てなどの製造ラインを、3年次にはトヨタ系以外のヤマハ発動機や三菱電機で、社員と一緒に研究や開発部門でそれぞれ約5週間学べる。大学院への進学者は約5割だが、大学通信によれば、実就職率は98.7%と卒業生数1千人未満の大学で5位。トヨタ系に限らずホンダや三菱電機、任天堂、インフラ系ではJR東海や中部電力、丸紅などと、実績もある。

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