
好みは草食系より肉食系 「男女の仲」を知っている必要があった平安時代の「女房」たち
『源氏物語』が織り成す王朝の雅を象徴する人物、紫式部。彼女については『源氏物語』と表裏一体の関係で論ぜられてきたが、歴史学者・関幸彦氏は、ロマン的要素とは別に、宮廷世界のドライな現実についても目を向け、一方で王朝の女房たちの“女子力”にも注目している。「言わずもがなではあるが、摂関政治を根底で規定したのは、その“女子力”だった。」と関氏は言う。一条天皇の後宮に出仕した彼女たちの存在は、后妃たちにとって知的装置となっており、とりわけ“男女の仲”について伝授する役割を担っていた。同氏の新著『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、女房たちの役割について詳しく紹介する。