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小島慶子「今の日本に必要なのは、安心できる大人の友情なのでは」
小島慶子 小島慶子
小島慶子「今の日本に必要なのは、安心できる大人の友情なのでは」
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『歳を取るのも悪くない』(養老孟司氏との共著、中公新書ラクレ)、『幸せな結婚』(新潮社) 写真:gettyimages  タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。 *  *  *  ある高名な精神科医が、こんな話をしてくれました。  人は「健全な自己愛」を育むことで人格が成熟する、つまり大人になるのだそうです。健全な自己愛とは、簡単に言えば自分を肯定し、周りに受け入れられていると感じること。それを育むためには、三つのことが必要なのだといいます。  一つ目は、envy(羨望)の経験。青年期に自分よりも優れた友人に出会い、自分は特別な存在ではなく、似たような人やもっと優れた人がたくさんいるのだなと、いわば自分を相対化するまなざしを持つこと。  二つ目は、jeaolusy(嫉妬)の克服。恋愛をし、相手を独占したいという強い欲望に身を焦がして、けれど誰のことも思い通りにはできないと知ること。  三つ目は、束縛を恐れる気持ちを、intimacy(親密さ)へと昇華すること。例えば子どもを自分の自由を奪う足枷と捉えるのではなく、彼らをケアして自立を見届ける責任に喜びを感じるようになること。  この三つがうまくいかないまま成人して家庭を持つと、夫婦が破綻したり子どもに手をあげたりしてしまうことがあるのだとか。  でも、大人になってからもやり直しはできるそうです。女子会なんか、まさにそれだというのです。青年期にやり損ねたenvy(羨望)体験を積む場なのだと。確かに私も40代になってから、尊敬できる素敵な女友達が増えました。私にはできないことをしている友人たちは本当に眩しいし、では自分は身の丈で頑張ろう!と素直に思えます。 「本当はjealousyの克服もやり直すといいのだが、恋愛が難しいならこのenvyの経験だけでもするといい。そうしたらやがてintimacyの心境に至れるはずだよ。こんなことを言っているのは私だけだがね」と老精神科医は笑いました。パワハラ上司の背景にもこの三つの要素の未成熟があるだろう、とも。  女性も男性も、今の日本に必要なのは、安心できる大人の友情なのかも。 ※AERA 2018年11月19日号
恋愛
AERA 2018/11/17 11:30
なぜ、日本人はサングラスの人に警戒心を持つのか?
なぜ、日本人はサングラスの人に警戒心を持つのか?
女子スーパー大回転で優勝し、表彰台でスキーを掲げるエステル・レデツカ。会見ではゴーグルを着用していた (c)朝日新聞社  サングラスをかけている人を、なんとなく警戒してしまう。悪ぶったり威嚇したりするためにサングラスをかける……。サングラスはなぜ人の心を不安にさせるのでしょうか?  心理学を専門とする山口真美・中央大学教授は、人の表情を読み取る際に、日本人と欧米人には文化差があり、そのことが関係していると話します。山口氏が自著『損する顔 得する顔』(朝日新聞出版)でも明かしている、人の表情を決定づけるパーツについて紹介します。 *  *  *  欧米のほうがサングラス人口が多い理由としてよくいわれるのが、色素の薄い欧米人の青い目や緑色の目は、黒い目と比べると、紫外線に弱くてまぶしいからということ。でも、日本人にサングラス人口が少ないのは、黒い目でまぶしくないから、というだけではありません。  日本人の平べったい顔にサングラスはしっくりこないという理由も大きいですが、それ以上に日本人は、目を隠すことに忌避感があるようです。サングラスを外さずに人と応対するのは相手に失礼だという礼儀への意識がありますが、それだけではなく、サングラスをかけている人をなんとなくうさんくさく感じることもあります。  そんな日本人にとっては衝撃的な映像を、2018年の平昌オリンピックの記者会見で目にしました。先にも話した、前人未到の二刀流金メダルに輝いた、チェコのエステル・レデツカ選手。予想外の金メダルを獲得した後のノーメイクの記者会見を、ゴーグルをしたまま決行し、それは日本人にとっては失礼にも見える映像でした。これが日本人女子だったら、ノーメイクを隠すためにマスクを使うのではないでしょうか。  日本人はサングラスなどで目を隠すことを、意識下で嫌っている可能性があるのだと思います。その理由は日本人が目で表情を読むことにあるのだと思うのです。ここで、表情の研究の歴史をたどってみましょう。古くは進化論を唱えたダーウィンが研究しています。  彼の視点からすると、表情は動物から進化したものであり、人類全般に共通であるというのです。その証拠として、異文化をまったく知らない未開の国の住民であっても、初めて見た異国の人々の表情を読み取れることが、多くの研究者たちから報告されてきたのです。ところが最近、こうした考えに反証があがっています。  もちろん私たちはあらゆる国の人の表情を読み取ることができています。ですが、それぞれの表情を詳しく分析すると、小さな違いがあることがわかりました。  欧米人と東アジア人の表情の平均顔を見ると、欧米人は口元から、東アジア人では目元から、より強く表情を表出することがわかったのです。  欧米では、街角ですれ違って挨拶するときはばっちりの笑顔で、「何を考えているか、わからない」と言われないよう、表情をしっかり作らねばなりません。その際に強調すべき重要なポイントが、口元にあるのです。表情を作り上げるうえで、口をしっかりと横に伸ばして笑顔を作ることが必須なのです。  欧米人が作る歯をにっかりと見せる笑顔は、日本人にとってはどことなく不自然に感じられることもあります。一方でアジア人の表情は欧米人にとって、わかりにくいといわれるのです。日本人は目元を主とした控えめな表情になることが多く、このわずかな目元の表情を読み取るのが日本人のコミュニケーションの特徴なのです。  2010年代に入って、眼球運動を測定する装置を使い、表情を見る実験が行われました。すると、欧米人は相手の口元や顔全体を見るのに対し、東アジア人は相手の目元に注目することがわかったのです。  さらに私たちの実験室で赤ちゃんを対象に同じ実験をしたところ、生後7カ月から日本人の赤ちゃんは東アジア人らしく目元を見る一方で、イギリスの実験室でのイギリス人の赤ちゃんは欧米人らしく口元をよく見ることがわかりました。大人と同じ、自身が属する文化に即した顔の見方は、なんと生後7カ月ですでに獲得されていることが証明されたのです。  まだ言葉も発せない1歳未満の小さい赤ちゃんでも、毎日目にしている母親の表情を学習しているのでしょうか。  この実験でも証明されたように、日本人は表情を読み解くときに目を見るのです。そのため目を隠すサングラスは、日本人には表情を隠されたように思えて、拒否感を持つのでしょう。  サングラスで目を隠すのが嫌いな一方で、日本には「顔隠し」の文化があると主張する研究者がいます。平安時代の日本女性は、扇子で顔を隠していたこともありました。  扇子で隠すのは、主に口元です。口元を隠すことは今も続き、日本女性は笑うときに口元を隠すことがあります。当たり前のようにも思えますが、欧米ではない仕草で、違和感を抱かれることもあるようです。  そしてこの顔隠し文化は、意外なところで継承されているようです。  それは、マスク姿です。日本ではそこらじゅうでよく見かけるマスク姿ですが、女性の使い方に特徴があるようです。  最近の女子大生は、朝化粧をする時間がなかったからと、マスクで顔を隠して授業に出ることもあるそうです。台湾でも普段の生活にマスクがよく使われるため、カラフルなファッションアイテムのようなマスクもあるそうです。  しかし、マスク姿は欧米人には忌避されます。欧米では、そもそも相当重病でないと、マスク姿で病院の外を歩く習慣がないそうです。  ではなぜ、欧米人はマスクはNGでもサングラスを許容するのでしょうか。不思議に感じませんか? まさしくそれが、文化差による「すれ違い」なのです。  つまり前述の研究から示されたように、口元で表情を伝える欧米人は、肝心な口元を隠されたマスク姿を嫌っているのかもしれません。いずれも眼球運動を調べて初めてわかったことですから、顔の特定の部分への注目は、実験場面でも日常場面でも無意識に行われるのです。ですので、本人にも、嫌な理由は気づかないのです。研究によって初めてその仕組みがわかったのです。  ところで、サングラスを忌避して口元を隠す日本ですが、意外にも遠く感じられるイスラムと、顔隠しの共通性がみられそうです。東と西に離れていても、同じアジア文化ということでしょうか。厳格なベール(ニカーブ)でも目だけを見せたり、古くはアラビアンナイトでは目元を出して口元を隠したりしています。とりあえず目だけは見せるということです。  マスク姿の女子大生もきっと心のどこかで、「目だけ見せればいいじゃん!」という線引きがあるのかもしれません。その線引きは私たちアジア人に共通した感覚で、だからこそ「風邪でもないのにマスク姿ですか」と笑いながらも許すところがあるのでしょう。  逆に目を見せないサングラスは授業を受けるのにはNGです。なにを考えているかわからないし、教師の側からすれば馬鹿にされている気がする、そういった共通認識が日本人にはあるように思えます。
朝日新聞出版の本読書
週刊朝日 2018/11/14 16:00
「狩りガール」が急増 “狩猟”に女性が魅せられるワケ
「狩りガール」が急増 “狩猟”に女性が魅せられるワケ
福井県高浜町の児玉千明さん 北海道むかわ町の本川哲代さん  一見すると超男社会と思われがちな狩猟の世界でも、女子の進出が増えている。山を駆け回り、危険とも隣り合わせで、仕留めた獲物を山から引きずりおろしてくる女性たち。趣味としてや野生動物の駆除、動物好きなど動機はさまざまで、高齢化で減少する狩猟者の世界を活気づかせている。 *  *  *  美容師の児玉千明さんは25歳で大阪から福井県高浜町へUターンした。2015年には最年少の26歳で町議会議員となった。その間、銃免許を25歳で取得した。 「田舎で暇だった。日本海側は冬に天気が悪くて、することがなく、冬の趣味がほしかった」  児玉さんは山に一人で入ることが多く、シカやイノシシを撃つ。獲物は軽トラックまで運び、自らさばいて食べている。  都内に住む30代のOL、有賀千春さんは射撃に興味があった。クレー射撃に取り組もうとしていたが、狩猟関係者の勧めで狩猟をすると決意。なじみがなかったので、冬の猟期には北海道を訪ね、釧路を拠点にエゾシカを撃つ猟師に同行することを5年ほど続けた。昨年、ついに銃免許を取得。現在は千葉県で猟友会メンバーとシカやイノシシ、カモを撃っている。 「猟期の週末は猟に出かけっぱなし。獲物は仲間と分けて持って帰ることが多い。狩猟はずっと続けたい」  猟師が高齢化し減少するなか、最近は女性が増えている。大日本猟友会の会員数は1978年度42万4820人のピークから減少傾向だったが、17年度は10万5786人と前年度に比べ528人増加。女性会員は15年度1183人、16年度1571人、17年度1908人と増加し、全体を底上げしている。  狩猟の世界に若い人が入らず、3分の2が60歳以上で、大日本猟友会は危機感を持っている。「山ガール」ブームにヒントを得て、ここ数年は「狩りガール」のキャンペーンを展開し、女性に浸透しつつある。  趣味として狩猟をする女性もいる一方、野生動物の農作物被害が増え、駆除に立ち上がる女性もいる。  三重県大台町でオートキャンプ場の管理人をする瀬古愛弥さん。7~8年前の20代初め、銃免許を取得した。地元は庭先の植物をシカが食べていくところで、農作物を守るためシカやイノシシなどを駆除する猟師になった。自分で3代目という猟師一家だ。仲間と猟に出て、シカやイノシシは解体し食べている。地元のほか、鳥羽方面の答志島でも活動する。 「イノシシは海をわたり答志島に来たようだ。島にエサが少なく、以前は骨ばった姿だったが、かなり駆除して、最近はまともな姿になってきている。数も減って、観光客も安心して散歩できるようになった」  瀬古さんによると、獲物の解体は3~4人で3~4時間かかる。男性の作業は粗っぽいが、女性は処理がきれいと重宝されている。  最近は各地でイノシシやシカ、クマが畑を荒らし、人里に出てきて、人を襲う被害も出ている。野生動物が増えているのは、温暖化で積雪が減り、冬に死なず越冬するようになったため。また、以前は希少で保護を優先した法制面の問題もある。さらに、農林業者の高齢化や減少で農山村が衰退し、耕作放棄された果樹園や畑がエサ場となり、人がいなくなり野生動物が人を怖がらなくなったという。  猟師のすそ野を広げる動きは大学にも出ている。早稲田大学で昨年4月、狩り部というサークルを立ち上げ、顧問に人間・環境学が専門の岩井雪乃准教授が就任した。部員は16人で、うち女性が3人。料理、ジビエ好きが多いという。  岩井さんによると、9月初旬に千葉県君津市で「学生狩猟サミット」があった。酪農学園大学や東京農工大学、東京大学、奈良女子大学、三重大学、高知大学、九州大学など十数大学の狩猟団体が集い、狩猟や地域課題を議論した。参加者は30人ほどで女性が3分の1ぐらい。学生時代に狩猟に関心を持ったことで狩猟者になる女性も増えそうだ。  女性狩猟者には動物好きもいる。北海道で最大震度7を記録した9月の地震の震源地近く、むかわ町で猟師をするのは本川哲代さん。小学6年生のとき家の事情で愛犬を手放し、保健所へ連れていった体験がいまも強く心に残る。猟師の高齢化や減少というテレビ報道で、シカを殺すのを見てかわいそうになったという。  数が多くなりすぎ悪者扱いされるシカへの強い愛情が、数を減らせば悪者扱いされなくなると本川さんを猟師に駆り立てた。11年に38歳で会社を辞め、札幌で農業を学びながら銃免許を取得。「親分」と呼ぶ先輩猟師の紹介で、むかわ町に移住。親分のもとエゾシカ猟をして、「むかわのジビエ」代表としてシカの解体処理にも携わる。 「シカにはいっぱい愛情をかけていて、肉になってもいとおしい。シカを殺し食べることは、私にとって償い。食べることで体の中で生きてもらう」  長野県泰阜村で「けもかわプロジェクト」代表を務める井野春香さんも、小さいころから動物好き。郷里の熊本の高校では畜産科で学んだ。島根大学生物資源科学部に進学した際、アルバイトが猟師へのきっかけとなった。駆除期間に猟師が捕ってきたシカを、山の解体現場で体重を量るなど手伝う仕事だ。 「おじいちゃん猟師たちが山を駆け回っていて、すごいなあと思った」  井野さんが銃免許を取得したのは4年ほど前の20代半ば。数人の仲間とシカを中心にイノシシも捕る。肉を扱うところは多いが、誰も扱わない皮の活用から始めようと「けもかわプロジェクト」に取り組む。  井野さんによると、最近は近隣でも女性が狩猟の世界へ入ってきており、ジビエへの興味や、狩猟を取り上げた本や漫画を見て関心を持った人たちだという。  NPO「いのちの里京都村」事務局長の林利栄子さんは5年ほど前の20代半ばに銃免許を取得した。大阪で生命保険会社の営業をしていたが、仕事が合っていないと辞め、現在のNPOに転職。京都府内の地域物産を企業につなぐなど農村と都市部を結びつける仕事だ。地域のことを何も知らないまま仕事を始め、猟師なら週末に山に入れると勧められたのがきっかけ。猟期の毎週日曜は仲間とシカやイノシシを捕る。  女性から見た猟師について、早大准教授の岩井さんは経験と知識の奥深さから「かっこいいなあ、すごいなあ」と話す。猟師はけもの道で足跡を見分け、交差点もわかるのは驚きで、いつも通る道、季節により一時的に通る道まで見分けるという。どこで水を飲むのか、植物や天候、地形などあらゆる知識がないと野生動物は捕れないと話す。  岩井さん自身も狩猟者になった。夫が脱サラして千葉県鴨川市で農業を始めたが、イノシシが作物を全滅させた。岩井さんは駆除に立ち上がり、3年前に、わな免許を取得している。  女性が狩猟を始める動機はさまざまだ。大日本猟友会の浅野能昭専務理事は女性狩猟者が増えている理由について、農作物被害に農家の女性や、社会的貢献として一般女性が立ち上がっているほか、ジビエブームで関心を持つ女性が増えていると指摘。男社会の猟友会に女性が入ると「高齢猟師がもう少しがんばろうと引退を撤回するなど活性化につながっている」という。(本誌・浅井秀樹) ※週刊朝日  2018年11月16日号
週刊朝日 2018/11/12 11:30
なぜ今50~60代「大人女子」の消費が活発に? 牛窪恵が解説
なぜ今50~60代「大人女子」の消費が活発に? 牛窪恵が解説
GINZA SIX (c)朝日新聞社  今、子育てから解放された50~60代女性の消費意欲が旺盛だ。背景には何があるのか、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんが解説する。 *  *  *  どちらも元気ですが、50代と60代は世代的にだいぶ考え方が違います。  まず50代ですが、ここは49~54歳の「真性バブル世代」と55~59歳の「新人類世代」です。バブル時代に20歳代を過ごし、もともと消費好き。体力は弱っても、能力はまだまだ潜在的に眠っていると思っている人たちです。なので、海外旅行なら秘境に行きたがり、ファッションでもトライしたことのないヘアスタイルやメイクをしたがります。子育てが終わって「自分のために消費したい」と思う時期でもあります。  60代になると、全共闘の後の「しらけ世代」がメインです。この世代は自分らしさを重視して、あまり派手なものは好みません。お孫さんがいる人が増えてきますが、3世代消費も変わってきていて、孫とディズニーランドやUSJに行って一緒に楽しむ人たちが増えています。夫に気をつかわなくなるのも、この世代からですね。500円玉を置いて「コンビニでお弁当買ってね」と言って、出かけられる女子たちでもあります。  男性が元気がない分、女子たちの消費が喚起されないと、日本は盛り上がりません。美しく元気でいたいという思いが高い分、その消費は起爆剤として重要だと思います。 ※週刊朝日  2018年11月16日号
週刊朝日 2018/11/12 11:30
実はすごい50~70代女性の“爆”消費 観光はインバウンドの2倍!
首藤由之 首藤由之
実はすごい50~70代女性の“爆”消費 観光はインバウンドの2倍!
京都の清水寺の参道 宝島社の60代向けファッションムック。次は12月に冬号が出る。(撮影/写真部・小黒冴夏)  団塊の世代を先頭に元気な高齢者が続々と登場している。とりわけ目立つのが子育てを終えた女性たちのアクティブぶりだ。旅行、ファッション、音楽……。気に入ったものにはお金を注ぎ込む。彼女たちをより元気にすることこそ日本の消費を活発化させる道なのだ。  20年近く高齢世代の消費をウォッチしている、博報堂「新しい大人文化研究所」(新大人研)の阪本節郎所長が首をひねる。 「例えば観光。インバウンドの外国人観光客ばかりが注目されますが、大事な部分が見過ごされているのでは、と思うんです」  それこそ、50~70代の「大人女子」たちの存在だ。 「確かに外国人は目立ちますが、数でみると1、2割にすぎません。観光地で圧倒的に多いのは、50代以上の大人女子たちです」  観光地は「外国人だらけ」ならぬ「外国人と、大人女子だらけ」と言うのだ。  その実態は後述するとして、阪本所長が注目するのは、彼女たちの活動が非常にアクティブで、新たな「消費トレンド」を生み出しつつあると見ているからだ。  少し説明が必要だろう。阪本所長によると、70代に入り始めた団塊の世代(以下、団塊)を先頭に、これまでの高齢者のイメージとはまったく違った新型の高齢者が登場しているという。 「団塊以前は、日本に若者文化は存在しませんでした。ロック、ポップス、ジーンズ、ミニスカート……。これらは、すべて団塊が流行をつくりました。要するに、若者像の源流を作ったのが団塊なんです。かつて新しい若者文化をつくったように、今度は高齢者像を塗り替えようとしている。団塊の人たちは若々しくて年を取ったと思っている人はほとんどいません。消費で言うと『シニア』と銘打っただけで売れなくなった商品は結構あります。誰も自分のこととは思いませんから」  とりわけ、こうした流れをリードしているのが大人女子だという。 「団塊以降は恋愛婚が主流ですが、今、60代になっている人たちは男女雇用機会均等法(1986年施行)より前ですから、寿退社→専業主婦が一般的でした。夫の世話をし、子育てに精力を注ぎ、ようやく『自分の時間が来た』のが今なのです。解放感が彼女たちを突き動かしています」  実際、あちこちで目立っているのは大人女子ばかりだ。まずは、阪本所長が挙げる観光。  京都市は日本人観光客について性別・年齢別のシェアまで毎年、調査している(京都観光総合調査)。その大人女子の比率を見ると驚く。何と50歳代以上の大人女子が全体の約41%に上っているのだ(2017年)。  この年、京都を訪れた日本人は約4600万人と推計されているから、大人女子は実に約1900万人に上る。同年の外国人観光客は約740万人だったから、2倍以上大人女子のほうが多い。そして、日本人観光客の「約4割」というシェアは、この5~6年変わっていない。  近年、人気がうなぎのぼりの金沢も大人女子が多く訪れている。京都市ほど詳しい統計はないが、金沢市を訪れる観光客のうち50代以上は4割弱。北陸新幹線が開業した15年は観光客そのものが約2割増え、50代以上の比率は5割に迫った。 「15年はJR3社(東日本・西日本・東海)がそろって増収増益になりましたが、私は大人女子がこの好業績に大きく貢献したと見ています」(先の阪本所長)  実際の楽しみ方はどうか。京都・金沢など有名観光地はリピーターが多い。京都好きの都内在住のA子さん(60)が、 「10回以上京都へ行っていますが、『文学』などテーマを決めていくことが多い。この前は、女友達と二人で(新幹線の)始発で行って終電で帰るという日帰りツアーを敢行しました。そのときは願掛けがテーマで貴船神社がメインでした」  と言えば、同じく都内在住の金沢好きのB子さん(68)は、 「金沢に友達がいるので毎年のように行っています。品が良くて食べ物がおいしい。ゆっくり見て歩くと、毎回、小さな発見があります。人気のひがし茶屋街などは、人が多い昼間は避けて夕方に行くことにしています」  と話す。  A子さん・B子さんは、旅好きシニアの同好会「シニア・トラベラーの会」の会員だ。この会自体、大人女子が3分の2を占める「女性優位」。雪谷旅人代表(79)によると、 「女性たちの活動は本当に活発ですね。海外一人旅を楽しむ女性も大勢いらっしゃいます」  A子さん・B子さんの京都、金沢行きは女友達との旅だが、それもまた大人女子たちの一つの特徴のようだ。  博報堂の新大人研が「子育て終了で思うこと」を聞いたアンケートで、男性は「これからは夫婦2人の時間を楽しみたい」とする答えが3割超を占めたが、大人女子は、「これからは自分の時間を楽しみたい」が約4割で、これに「ひとりの時間を楽しみたい」「友人・仲間との時間を楽しみたい」が続いた。つまり、夫の影は極めて薄い。  神奈川県のC子さん(61)は年に1~2回、海外へ一人で出かける。カナダ、イタリア、フランス、ニューヨーク……。今年は6月にバルト3国へ出かけた。 「動機は『一人になりたいから』です。結婚してからずっと我慢してきました。子育てに区切りがついた50代半ばから、『もう自分に、ごほうびをあげてもいいのでは』と思って行くようになりました。添乗員付きツアーですので、1回100万円はかかりますね。夫は家族旅行をしたいようですが、何も言わせないようにしています」  子育てからの解放感を味わいつつ、夫とは行動を共にしない。旅行は大人女子パワーを全開させる場なのだ。  ファッションでは新たな動きが生まれつつある。先の阪本所長が言う。 「これまで60代向けのファッション本はなかなか難しかったのですが、ようやくヒットが出てきました」  昨年暮れに宝島社が出したファッションムック「素敵なあの人の大人服」がそれ。発売3日で重版が決まる好調ぶりで、秋までに3冊を刊行、シリーズ累計で15万部を突破した。  担当編集者の神下敬子さんが言う。 「この世代向けの雑誌は、健康か超セレブ向けかのどちらかでした。でも、いろんな人を取材していると、自然体でおしゃれを楽しみ、私が見ても『素敵』『マネしたい』と思える人がいっぱいいた。彼女たちをまとめてアピールすれば反響があるのでは、と思ったんです」  表紙やトップの特集こそプロの結城アンナさんを使っているが、「私服を拝見」のコーナーに登場するのはすべて一般の大人女子だ。そして実は、このコーナーが一番人気が高い。 「体形が変わって、それまで似合ったものが似合わなくなり、おしゃれがわからなくなっている人がいっぱいいます。そんな人でも、ちょっと先を行くリアルな60代女子の着こなしを見れば、『こういうふうにすればいいんだ』と気づきます」  若いころアンアンやノンノなどのファッション雑誌を愛読し、「ハマトラ」「ニュートラ」を着こなした世代だからもともと感度は高い。身近な「お手本」を見つけたら、取り入れるのはお手の物だ。  そして、欲しくなったモノは貪欲に手に入れようとする。 「誌面に載っているモノについての問い合わせ電話がバンバンかかってきます。買いたくなったら、たまらなくなるのでしょう。今では商品のブランド情報はほぼ全部に入れるように努めています」  大人女子たちのおしゃれはどんどんカジュアルになっているが、コーディネートの「お手本」が受けていることは、既成の商品やその組み合わせが「お手本」になっていないことを示唆している。 「とにかく、おばあちゃん服を着るのがいやだったんです」  埼玉県の大山真沙子さん(65)は5年前、この思いがこうじて「起業」し、自分独自のブランドを立ち上げてしまった。 「ショップのお年寄りコーナーには行きたくない。でも、40代向けを売っている店にも入りづらかった。幸い、昔から大の洋服好きで、こういうデザインの服が着たいというイメージは自分の頭の中にありました。それなら自分で作っちゃおう、となったわけです」  ブランド名は「Jazz」(ジャズ)、「上品でシンプル」がコンセプトだ。製造は業者に任せる「OEM」を利用しているため、生地を選びデザインをしっかり伝えることが肝になる。販売チャネルはネット通販。サイトでは自らがモデルになった写真でアピールする。全国にリピーターがいて、売れ行きは上々という。  大人女子たちはおしゃれをしたがっている。宝島社のムックや大山さんのように、今の彼女たちが無理しないで着られるような洋服が提案できれば、自然に売れるのだ。  青春の一コマと言えば音楽。平日の午前、ヤマハの音楽教室には大人女子たちの歌声が響きわたる。昨年から全国展開が始まった「青春ポップス」の風景だ。  60~80年代中心のヒットソングを、講座用のビデオ映像を見ながら歌って踊る。尾崎紀世彦の「また逢う日まで」やチューリップの「心の旅」など男性向きの歌も多く、ヤマハも一定程度の男性の参加を見込んでいたが、フタを開けてみると9割以上を大人女子が占めている。9月末で生徒数は9650人。なお右肩上がりに増えているという。 「GINZA SIXや渋谷のヒカリエなど、大型商業施設を支えているのも大人女子たちですね。飲食フロアでは特に目立ちます」(先の阪本所長)  大人女子が主力読者の雑誌「ハルメク」の元編集長でコラムニストの矢部万紀子さんによると、情報感度がかなり高い世代でもあるという。 「読者会で話していると、孫とLINEでやり取りしたり、娘とはグーグルカレンダーを共有したりで、世間のイメージよりずいぶん進んでいらっしゃいますよ。私が編集長のときに始めたスマホの使いこなし術の企画はヒットしましたね」  大人女子たちのアクティブぶりは、とどまるところを知らないようだ。先の阪本所長が改めて念を押す。 「これからの高齢社会は、『おじいさん』や『おばあさん』が増える従来型の高齢社会ではありません。元気で若々しい高齢者たちが街にあふれる、生き生きした社会です。もはや高齢社会ではなく、『人生100年時代』なのです。中でも元気なのが大人女子です。組織で生きてきた男性は会社を辞めるとある種の『終わった感』が漂いますが、女子たちには子育て終了に伴った『これから感』があります。勢いがあるほうを押せば、新しい消費が生まれるはずです」  確かにそうだ。夫婦の決定権は女性が握っているから、女性が動けば男性はついてくる。郊外のモールなどで母娘が連れ立ってショッピングするのをよく見かけるが、情報の流れは「娘→母」ばかりではあるまい。「母→娘」でファッション情報が伝わり消費に結びつくケースも多い。いずれにせよ、大人女子を躍動させることがカギになる。  売る側も試行錯誤を続けている。  三越伊勢丹のプライベートブランド「BPQC」。恵比寿三越のショップでは、大人女子と同じ世代のスタイリストに人気が集まっている。同じ年格好のスタッフがいると客が話しやすいから、という。当の宮原惠都さん(57)が言う。 「『どのお店で買ったらいいか、わからない』とおっしゃるお客さまが数多くいらっしゃいます。体形とかにお悩みを持たれていて、まずそれをじっくりお聞きすることから始めます」  客にとっては「話を聞いてくれる場所がある」こと自体に価値がある。 「お話やご希望を聞いて同年代の私がコーディネートを提案すると、『だったら試してみようかしら』となることが多いですね」  同年代の悩みは同年代でしかわからない。客側に立った売り方が功を奏しているのだ。  生活家電では、パナソニックが50・60歳代の「目利き世代」向けに14年から「Jコンセプトシリーズ」を販売している。日本のメーカーでは珍しいという。  掃除機や冷蔵庫、洗濯機など7種類ですべて日本製。開発にあたっては徹底的にユーザーの声を聞こうと、のべ3万人以上から聞き取り調査を行った。この世代は冷蔵庫の野菜室を開けることが一番多いことがわかり、真ん中に野菜室を持ってきたり、日本人女性の平均身長から洗濯物を取り出しやすいように工夫した洗濯機などがある。  その家電で最先端になる機能は取り入れるようにしているから価格は安くはないが、「地域専門店を中心に堅調な売れ行き」(コンシューマーマーケティング担当者)という。  どの企業、どの商品が大人女子たちの心をつかむのか。その数が増えるほど、日本の消費は活性化するはずである。(本誌・首藤由之) ※週刊朝日  2018年11月16日号
週刊朝日 2018/11/12 11:30
「おじちゃま」と寅さんを呼んだゴクミが帰ってきた
矢部万紀子 矢部万紀子
「おじちゃま」と寅さんを呼んだゴクミが帰ってきた
記者会見で笑顔の後藤久美子と山田洋二監督(c)朝日新聞社 「男はつらいよ!寅次郎紅の花」の撮影現場 浜辺に立つ、左から寅さん役(渥美清さん)、リリー役(浅丘ルリ子さん)、満男の恋人・泉(後藤久美子さん)(c)朝日新聞社 矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』 「男はつらいよ」が2019年12月に復活するという。「おかえり、寅さん」の制作発表会に後藤久美子さんがいた。1995年、渥美清さんの死の前年に公開されたシリーズ48作「寅次郎紅の花」に出演して以来だから、24年ぶりのスクリーン復帰となる。  後藤さんはそこで、こう言っていた。 <ジュネーブの自宅に山田監督からお手紙が届きまして、「君が必要だ。どうにか考えてもらえないだろうか」と。山田監督から呼び出されたら、はい、と一つ返事で行くんです。そう思いました。> <ブランクなんですが、ほんのちょっとおいとましていて、また戻ってきて、「おかえり」「ただいま」という感じです。とてもあたたかく迎え入れていただいて、とても心地よい現場です。>  年をとったせいだと自覚しているが、このところノスタルジックな日本語を使われると、それだけで感動してしまう。この会見で後藤さんの使った「一つ返事で行くんです」と「ほんのちょっとおいとましていて」に「ゴクミ、やるじゃん」な気持ちになった。 「一つ返事」は誤用というのは承知している。でも「二つ返事」のことだなとわかったから、ノープロブレムだ。だって自宅はスイスのジュネーブで、夫はジャン・アレジ。F1レーサーとフランス語で話している人(推測)が、懐かしい日本語を使ってくれた。それだけで十分にじーんと来てしまう。  私は57歳の日本語しか話せない人間だが、「二つ返事」も「いとま」もずっと使ってない。公の席で「〇〇さんから呼び出されたら、はい、とソッコーで行くんです」とは言わないつもりだが、少し自信がない。  それなのに44歳でフランス語の後藤さんが「二つ返事」&「いとま」。パチパチパチ。  と拍手をした上で、少し別な話。後藤さんの「おじちゃま」問題、正確には及川泉ちゃんの「おじちゃま」問題だ。  後藤さんの「男はつらいよ」初出演は1989年、第42作だった。寅さんの甥っ子・満男の高校の後輩であり、シリーズ最年少マドンナの及川泉役だった。この頃から渥美清さんの体調が悪くなっていったのだろう、寅さんの惚れっぽさをめぐるドタバタ比率が減っていき、恋愛模様は満男と泉が担っていった。  泉はゴクミだからもちろん美少女だが、それだけでない人物造形に山田監督の「ゴクミ感」が表れている。泉ちゃん、寂しい子なのだ。  水商売をする母(夏木マリ)と会社員の父(寺尾聡)が別居、泉は母について葛飾から名古屋へ。だが名古屋になじめず、母の故郷の佐賀へ。泉は父を慕って復縁を望むが、父には女の人がいて、それは宮崎美子なのだが、それが明らかになるのは43作なのだが、そんなこんなで泉はよく、「満男さんは幸せだから、そんなことが言えるのよ」と言う。満男は泉が大好きだが、まだ子どもで無神経なことを言ってしまうのだ。  寅さんも満男の両親(前田吟と倍賞千恵子)も、泉と親しく接することになる。満男も含め、全員が「泉ちゃん」と呼ぶ。泉は先ほど書いたように「満男さん」と呼び、その両親を「おじさん」「おばさん」と呼ぶ。だが、なぜか、寅さんのことだけは「おじちゃま」。登場人物中、唯一の「ちゃま」なのだ。  何度も書いて恐縮だが、57歳だ。リアルタイムで「男はつらいよ」を観ていた。高校2年の正月2日、寅さんを観に映画館に行ってドアを開けたらすし詰めの満員で、そのままドアを閉めて帰った記憶がある。料金をどうしたかなど、この記憶には疑問点が多いのだが、要は生活の中に「男はつらいよ」があったということだ。  話を泉に戻すと、そんな寅さんウォッチャーだった私は、どうも「おじちゃま」がなじめなかった。  山田監督が後藤さんの中に「憂い」を見ていたことはよくわかった。「ゴクミ」が流行語大賞に選ばれるような、華やかな大輪の花(という表現も昭和的だが)の中にひそんだ暗さ。それが「男はつらいよ」のペーソス(渥美さんの体力低下とともに増していった)にぴったり合うこともわかった。  後藤さんは42作から45作まで4作連続で出演し、泉もおさげ髪から軽いソバージュ(!)になるまで大人になっていった。そして一貫して寅さんを「おじちゃま」と呼んだ。寅さんが立っているところに、「おじちゃまー」と言いながら駆け寄り、抱きつくというシーンが多かった。苦手だった。  若い女子だった当時の気持ちを少し分析すると、「おじちゃま」に「媚び」を感じていたのかもしれない。「最初から話すと長くなるわよ」という泉の台詞に、寅さんが「いいよ、いいよ、長いの好き。おじちゃま、ヒマだから」と返し、そんなやりとりには笑わせられながら、透けて見える「美女に弱い男」という構図がイヤだった。そんな気もする。  1996年に渥美さんは亡くなり、22年経って「男はつらいよ」復活会見が開かれた。後藤さんは、変わらず美しかった。憂いではなく、強さをたたえていた。 「ジュネーブの自宅に山田監督からお手紙が届きまして」と言い、ニッコリ微笑んだ。そして隣に座る監督の方を向き、一瞬手を伸ばし、すぐに戻した。  二人の前にはテーブルがあり、後藤さんの手がどう動いたかは映らなかった。だけど、「ねっ、お手紙、下さったでしょ」。そんな感じの手だった。きっと監督の手に一瞬触れたと思う。  それを見て、思った。「おじちゃま」は、寅さんを癒やす言葉だったんだなあ、と。  体調が悪化してからも、寅さんを演じ続けた渥美さん。死の影がひたひたと近づいていたのは、渥美さんであり、寅さんでもあった。そんな男に、美少女が走って近づいてくる。「おじちゃまー」と叫んで、胸に飛び込んでくる。いつもの憂いは消え、明るさだけを連れている。それは、癒やしに違いない。 「おじちゃま」と呼ぶ泉ちゃんに寅さんが癒やされたように、二つ返事で駆けつけた後藤さんに、山田監督が癒やされている。  一瞬の手でそう思い、「おじちゃま、許す」。そう思ったのは、私が年をとったせいだろうか。(矢部万紀子)
矢部万紀子
dot. 2018/11/12 11:30
“男前な志尊淳”を「週刊朝日」が撮り下ろし! 表紙+カラーグラビアでお届けします
“男前な志尊淳”を「週刊朝日」が撮り下ろし! 表紙+カラーグラビアでお届けします
週刊朝日11月23日号 表紙は志尊淳さん ※アマゾンで予約受付中!  志尊淳さんが、朝日新聞出版発行の「週刊朝日」2018年11月23日号(11月13日発売、定価400円)の表紙を飾ります。  連続ドラマ「女子的生活」ではトランスジェンダーのヒロインを、朝ドラ「半分、青い」ではゲイの漫画家を演じ、いずれもその演技力と美しさが絶賛された志尊さん。 “かわいい系俳優”と言われることも多いのですが、本誌では今回、“男前な志尊淳”を撮り下ろしました。  屋外で撮影した表紙のカットのほか、グラビア2ページでもイケメンショットを掲載します。  インタビューでは、主演映画「走れ!T校バスケット部」についてのほか、仕事や作品への思い、自身の性格についても語ってくれました。  今、志尊さんの頭の中の95%を占めていることとは? 「23歳とは思えない」と言われる理由とは? そして、好きな女性のタイプは?  志尊淳さんのまっすぐな情熱が詰まった「週刊朝日」、どうぞお見逃しなく! ※アマゾンで予約受付中! <関連URL> ■週刊朝日 http://publications.asahi.com/ecs/24.shtml
dot. 2018/11/12 10:40
ハロウィンの騒動は今後も増える? 鈴木おさむが思う“いいハロウィン”
鈴木おさむ 鈴木おさむ
ハロウィンの騒動は今後も増える? 鈴木おさむが思う“いいハロウィン”
鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中 10月31日の渋谷のスクランブル交差点 (c)朝日新聞社  放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「ハロウィン」について。 *  *  *  ハロウィン。今年は渋谷の軽トラ騒ぎとか、ネガティブなニュースが目立ってしまった。来年以降もハロウィンのトラブルはさらに増える予感。とはいえ、テーマパークでは、クリスマスシーズンよりもハロウィンシーズンのほうに勝負を賭けている。いろんな人に「おもしろい」と言われ続けたUSJのハロウィンシーズンに行ってきた。  僕が行った日は平日にもかかわらず、夕方以降、とんでもなく人が増えてくる。コスプレした若者だ。休日かと思う人の入り。大阪近辺の若者だろう。特に高校生が目立った。イケメンの男子高校生たちが女子高生の制服を着ているのを何度か見かけたが、あれは最近のトレンドなのか? 格好いい男が女子高生のスカートをはく。これ、40歳過ぎのおじさんがやったらNGだろう。そして、90年代のコギャルブームのときに現れたヤマンバメイクをした女子高生たちもいる。このUSJに来ることで、堂々とハロウィンを楽しめる。  夕方6時以降になると、園内に不気味なBGMが流れ始める。そして、ゾンビが街を徘徊し始めるのだ。ブロックごとに、現れるゾンビが違う。チェーンソーを持つゾンビが徘徊し、怖がってる人に向かって追いかけていく。絶叫しながら楽しむ。僕の目の前の女子高生は逃げようとして転んでいたが。おもしろさと緊張感を楽しむ。そして徘徊しているゾンビたちだが、30分に1回、急に音楽が変わり踊り始めるのだ。ダンスもキレッキレ。さっきまで怖がっていた人たちも一斉に手拍子で応援し始める。そして5分ほどのダンスタイムが終わると、また急におどろおどろしい曲になり、街を徘徊し始める。これがおもしろい。  ハロウィンのときにしかやってないアトラクションも秀逸。僕が行ったのは、「サイレンス・イン・ザ・ゴーストシップ」と言って、簡単に言うとゾンビのいるお化け屋敷。だが、ゾンビが目が見えないという設定で、音にだけ反応する。叫ぶとゾンビが寄ってきてしまう。つまりは「絶対に叫んではいけないお化け屋敷」なのだ。入るときは8人で1パーティー。ここで初めて会った人たちと一緒にパーティーを組み入っていく。入ると、ゾンビがうろついている。僕は口をおさえて声が出ないように歩いていく。だが、突然、横から現れたゾンビに、後ろの女子高生が絶叫する。すると、一気にゾンビが走って寄ってくる。これに、また声が出る。といった感じで進んでいく。声を出すのが当たり前のお化け屋敷に、声を出しちゃだめというバラエティー番組のような仕掛けを作り、ありそうでなかったアトラクションにしてしまう。他にもハロウィン時期だけやってるアトラクション、いくつか入りましたが、どれも簡単なアイデアで他のテーマパークでは決して経験できない体験ができる。USJの世界観やアトラクション。おそらく徹底的なリサーチを行い、そのデータを元に作っているのだろうが、それよりもまず、USJのスタッフがとても楽しんで作っている気がする。80~90年代のテレビみたいに。作り手の楽しさはきっと伝わる。大事だな。 ※週刊朝日  2018年11月16日号
鈴木おさむ
週刊朝日 2018/11/08 16:00
志尊淳、トランスジェンダーやゲイ役を演じる上で感じた「責任」
志尊淳、トランスジェンダーやゲイ役を演じる上で感じた「責任」
志尊淳(しそん・じゅん)/1995年、東京都出身。2011年に俳優デビュー。その後、映画やドラマ、舞台で活躍を続けている。11月24日に2nd写真集『23』が発売(撮影/植田真紗美) シリーズ累計120万部を超えるベストセラー小説の映画化。監督は古澤健。11月3日から東京、大阪など全国で公開 (c)2018「走れ!T校バスケット部」製作委員会  弱小バスケットボール部の成長を描いた青春ムービー「走れ!T校バスケット部」に出演する俳優・志尊淳。今をときめく俳優たちのなかでもひときわ輝く“旬の顔”に迫った。 *  *  *  バスケのエリート校から普通の高校に転校したエース、田所陽一を演じる志尊淳(23)。バスケットは未経験で、約3カ月間、元日本代表の半田圭史コーチのもとで特訓したという。 「コーチが役者一人一人の個性を生かしたプレースタイルを考えてくれたんです。僕は野球をやっていたので、肩を生かした見せ方やスピードに緩急を出すスタイルを意識しました。役作りにも反映されたと思います」  チームメートはみな同世代の俳優たちだ。「撮影中は地方に泊まり込んで、みんなで食事したり、温泉に行ったり、カラオケをしたり。撮影以外でも本当の部活の合宿みたいでした」  陽一は前の高校でいじめに遭っていた、という過去を持つ。 「程度は違えど、僕にも『されて嫌なこと』の経験はあります。そうした経験で感じたことを、演じるときに多少は意識しました。転校を決めるという展開は、環境を変えることがいいきっかけになる、という前向きなメッセージでもあると思うんです」  23歳にして奥行きのある役柄が多い。「女子的生活」のトランスジェンダーの役、「半分、青い。」のゲイの青年・ボクテ役も記憶に新しい。 「僕はセクシュアリティーがどうであれ、そういう枠組みで人を見ていないというか。役に入っていく上では、どんな役もまったく変わらないんです。ただ、この二役に関しては『表現することの責任』をすごく感じました。実際にその立場にある方々が見て嫌な思いをしないように、僕自身がしっかり向き合わないといけない」 「女子的~」ではトランスジェンダーの当事者に会い、じっくり話を聞いたという。 「『半分、青い。』ではその経験を生かして、限られた登場シーンのなかでゲイについて間違った発信をしないように、どう表現できるかを探りました。どんな役でも責任を持って、嘘をつかずに生きたいんです。あ、マジメな感じですね。どうしてもそういうのが出ちゃうんですよね(笑)」  バスケにも仲間にも誠実に向き合う、陽一役と重なるところがなくもない、と笑う。 「普段の自分は……どうなんでしょう。ごく普通だと思います。無口でもなければ、すごくしゃべるわけでもない。ただ“気ぃ使い”なので、けっこう周りに合わせてしまいますね。兄と姉がいるので、根は末っ子気質なんです」  未来を想像するより、そのとき目の前にあるものを全力でやる、が信条だ。 「トランスジェンダーの役もゲイの役も、自分のキャパシティーを超えたところで僕を見てくださっている方がいて、いろいろな役柄を創造してくれる。それがこの仕事のおもしろさでもあります。これからも全力で、求めていただいたことに応えたいと思っているんです」 (ライター・中村千晶) ※AERA 2018年11月5日号
AERA 2018/11/02 16:00
東京と北九州のキャンパスが連携 学生を還流させる大学の新制度
東京と北九州のキャンパスが連携 学生を還流させる大学の新制度
【早稲田大学】情報生産システム研究科(北九州市)。「新思考入学試験」は地方で活躍する人材を育成するという、早稲田大学の創立以来の理念に基づいているという(写真:早稲田大学提供) 【立教大学】「立教では教員に対してFDセミナー(研修)を開催し、常に新しい理論を学び、教え方を研究しています」(鳥飼教授)(写真:立教大学提供)  18歳人口が2018年から減少に転じた。多くの私立大学は学生の確保のため、次の一手を打ち始めている。その効果は偏差値には表れないが、子どもを大学に進学させたいと思うなら、知っておくことばかりだ。 *  *  *  JR筑豊線折尾駅で下車しバスで15分。かつて鉄鋼で栄えた北九州市は、産業構造の変化の中、この地に「北九州学術研究都市」をオープンした。約335ヘクタールという広大な土地に大学や研究機関、半導体設計関連企業などが進出している。その一つが早稲田大学大学院情報生産システム研究科(IPS、北九州キャンパス)だ。  今年度から始まった基幹理工学部・研究科(西早稲田キャンパス)とIPSの「新思考入学試験(北九州地域連携型推薦入試)」では、北九州地域の指定校の生徒を推薦で受け入れ、東京の西早稲田キャンパスで基礎教育を実施。4年次の研究室配属時から北九州キャンパスで卒業論文以降の専門研究を行う。  同大理工学術院統合事務・技術センター事務部調査役の大久保幸三さん(50)はこう語る。 「IPSを拠点として、学生を育てて戻し、人材を還流するということを構想しました」  学部1年の段階からの長いスパンで学生の教育を考えることはとても重要だと基幹理工学部・研究科教務主任の柳尾朋洋・理工学術院教授(43)は語る。 「この制度の背景には、独立研究科であるIPSの先生方の学部生教育への強い熱意もありました。学生の皆さんにとってもIPSという留学生が多く国際的でユニークな環境で研究するのは、貴重な機会になると思います」  今年この入試で入学した北九州市出身の女子学生(19)はこう語る。 「もともとは県内か九州内の国公立大学進学を考えていました。生まれてからずっと過ごした大好きな街なので、3年間東京で過ごして北九州に戻ってこられるのは嬉しい。大学の寮にも入れたので、勉強に集中できる環境で毎日頑張っています」  この入試の入学者で申請資格に当てはまる学生には「めざせ! 都の西北奨学金」の支給が確約され、また就職時には地元企業の協力による就職支援が行われるという。  同センター事務部総務課の内田善太さん(43)は、「教育と研究のクオリティーを保ちながら、いかに多様性を広げるか。早稲田の長いレガシーを生かしつつ、守りに入らず新しい取り組みを続けたい」と語る。  北九州市産業経済局新産業振興課の山口直孝・研究開発拠点化担当係長(40)は、若者の地元定着は最も重要な課題であると言う。 「今回の取り組みは地方創生にとって大変重要です。学生さんに地元の企業との接点を早い段階で持っていただき、地元企業への就職につなげていきたい」  東京と地方にキャンパスがあり、地方に定着している魅力的な企業があることが今回の取り組みにつながった。 「地元企業にとっても優秀な人材が確保できる。市にとってもありがたい話。大学にとっても地方創生への貢献になります」(山口係長)  一方で、立教大学は英語の強みを生かす。 「5年後は学生の50%がTOEIC730点以上、100%が600点以上」  都内の中堅私大の英語教員は、同大が2014年に発表した国際化戦略「Rikkyo Global24」の中の、スコア達成を前面に出した取り組みに「攻めてるな」と感じた。 「英語の立教」といわれる同大の英語教育への取り組みは古い。教養教育の改革として1997年から「全学共通カリキュラム(全カリ)」を実施したが、その中で英語教育学に基づいた教育を開始した。それまで担当教員ごとにバラバラだった授業に、統一カリキュラムを導入。統一シラバス、統一評価基準を策定し、統一教科書も教員自ら編纂。当時としては先駆的な試みで、他大学からの見学が相次いだ。全学共通カリキュラム運営センター英語教育研究室前主任の鳥飼慎一郎・異文化コミュニケーション学部教授(64)はこう語る。 「英語が得意な学生と苦手な学生が混在していると効率のいい教育ができないので、プレイスメントテストをやり能力別にクラス分けをしました。学生も、自分のレベルにあった英語教育をしてくれるという安心感と信頼感があります」  1年次は8人程度の能力別の少人数クラスの「英語ディスカッション」が全学部で必修となる。授業は全て英語で、10年度から導入された。16年に現代心理学部を卒業し、現在は会社員の女性(24)は、英語は苦手で入学直後に受けたプレイスメントテストでは下から2番目のクラスだった。それでも帰国子女と一緒のクラス等で、難解な授業を受けるよりいいと思った。 「少人数で連帯感もあり、英語のクラスは他のクラスより仲がいい。先生は担任みたいに見てくれていました。苦手なりにサバイバルスキルが身についた」  目指すべき教育を実現させるには人材、そして教員の質の確保も必要だ。 「プレイスメントテストとともに週2回同じ先生が同じ科目を教えるペアクラスを始めました。しかし非常勤講師の先生に週2回出講してもらうのは、日程上の都合がつかない場合が多い。そこで教育講師という制度を設け、待遇を上げて良い先生を集めました」(鳥飼教授) (編集部・小柳暁子) ※AERA 2018年11月5日号より抜粋
AERA 2018/11/02 07:00
中瀬ゆかり「トウチャンの子供を産まない選択をしたわが編集者人生」
中瀬ゆかり 中瀬ゆかり
中瀬ゆかり「トウチャンの子供を産まない選択をしたわが編集者人生」
中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに 究極の少子化推進キャンペーンとなった1997年に神戸で起こった少年A事件(C)朝日新聞社 「8050問題」「子どもリスク」などという言葉を最近よく目にする。現在15歳から39歳で全国に約54万人引きこもりの若者がいて、40歳以上は統計がないけれど、それをあわせたら実は100万人を超えている、という説もあるほど。「8050問題」というのは80歳の老いた親が50歳の無職の子どもの生活の面倒を見るということから来た言葉で、この状態から、老いた親が子どもの将来を悲観して命を奪う、などという無残な事件も発生している。わが子を殺めるなんて、どれだけの苦しみを背負っていたのか、想像に難くない。漫画化もされている押川剛さんの『「子供を殺してください」という親たち』や『子供の死を祈る親たち』などを読むにつけ、ヘタなホラー小説よりよほど背筋が凍る思いがした。  かくいう私には子どもはいない。25歳でした最初の結婚は4年半で破局したが、そのときも「いらない」という姿勢を貫いていた。仕事がちょうど面白くてたまらない時期だったし、なにより、子どもを持つことが心底怖かったのだ。  怖かったのには2つ理由がある。まず1つ目の理由が、「自分に似たらどうしよう」「どんな子でも自分の子ならというだけで本当に愛せるのか」という不安。物心ついた頃から親に嘘ついてばかりの隠し事の多いイヤなマセガキだった。今思い出してもあの頃には絶対に戻りたくない。でも、子どもがもし自分に似てしまったら?そんな可愛げのない子どもを果たして愛せるのか、うまく育てる自信がどうしてももてなかった。  2つ目の理由は、よしんば愛せて一所懸命育てたとして。その子がもしよからぬ方向にグレてしまったら? 引きこもりになったら? 人に迷惑をかけたら? もっといえば、誰かを殺めてしまったりしたら? ……そんな恐怖の問いかけに輪をかけるよう、入社した翌年の1988年には名古屋アベック殺人、続いて綾瀬の女子高生コンクリート詰め殺人など、次から次へと凶悪な少年犯罪が起こり、1989年に結婚した時には、まったく子どもを欲しいとは思わなくなっていた。極めつけは1997年の少年Aによる神戸連続児童殺傷事件…。その当時私は32歳で、トウチャンと一緒に住みだしてすぐだったのだが、「俺の子を産んでくれ」というトウチャンの申し出にどうしても応えることができなかった。これら一連の少年犯罪はある種「究極の少子化推進キャンペーン」のようなものだったと思っている。凶悪な少年犯罪はその後もとどまることを知らず、最近でも中学3年の男子生徒が自分の祖父母を殺傷するという痛ましい事件まで起こった。  わたしの「子どもを持つことの恐怖」はその後もおさまることなく、37歳で雑誌の編集長になったときには「いま子どもを産むと、女性編集長はこれだから、と思われる」という、男女雇用機会均等法の申し子としての責任感を背負うようなかたちで、出産への葛藤が消えたのだった。いまでこそ女性編集者・編集長たちが軽やかに出産して職場復帰を遂げ、子育てと両立させている逞しい姿を当たり前のように社内で見かけるのだが、私の頃はまだ、その轍が薄い道を歩いており、かといって、地方出身者で周りに頼むものなし、の私にはその轍を濃くする勇気も状況でもなかった。しかし、これはいまもって後悔はしていない。あの時の私はやるべきことはやった、そう思わなければやるせないではないか。  だから、トウチャンに離婚歴があって、成人したお子さんが2人いてくれたことは私にとってはよかった。子どもが小さいときに離婚していたトウチャンは子育てをまともにしていないので「子どもが生まれたら麻雀も競輪もやめて子育てする。今度は俺が一から育ててみたいんだ」という気持ちがあったようなのだが、ギャンブル中毒の彼のそんな甘言に弄されるほど純でもない私は心のなかで「絶対ウソ」と毒づき、そういう気持ちが私たちのセックスレスにも繋がっていった。  芸能人であっても身近な友人であっても、軽やかに笑顔で「妊娠した」ことを告げる女性たちを見る度に、「なんて強いんだろう」「なんて愛情深いんだろう」と感嘆する。素晴らしいことだ。私は結局その恐怖から逃れることができないままこの年になった。「子どもがいないと老後寂しいですよ」と言われ続けてきた老後は、もう、目の前だ。  つい最近、あるボツイチの大先輩に出会った。70代後半だという彼女は子どもが3人いて、孫も5人いるという。6年前にご主人を失くされたというその美しい先輩に「お孫さんまでたくさんいて、私と違ってお寂しくないですね」と問いかけたら「いいえ、子どもや孫が何人いても寂しいです。やっぱり何でも話し合える人生のパートナーがいないとねぇ。普段は言わないけど、実は、私もまだちょっとだけ、恋を諦めていないのよ」と微笑まれた。 『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』の著者である小谷みどりさん(偶然にも大学の後輩だった!)も子どものいないボツイチだ。彼女に「子どもがいるボツイチといないボツイチは一番どこが違いますか」と尋ねたら「誰のために生きるか、というモチベーションです」と即答された。そうか、子どものために生きる、という選択肢を捨ててしまった私は誰のために生きるのか。それはもう自分のためでしかないではないか。没歴7年の彼女も同じく「自分のために生きる」選択をし、現在フィリピンで5人の貧しい子どもに送金し、今年50歳になるのを契機に会社を辞め、今後はカンボジアでパンを作りながら仕事のない若者の雇用支援を行うという。ボツイチパワー恐るべし。産めなかった私にも、まだ、ほかの子どもたちのためにできることがあるのかもしれない。
中瀬ゆかり
dot. 2018/11/01 16:00
SKY-HI、自身の首を持つ意味深な新ALジャケット&収録内容を公開
SKY-HI、自身の首を持つ意味深な新ALジャケット&収録内容を公開
SKY-HI、自身の首を持つ意味深な新ALジャケット&収録内容を公開  SKY-HIが、2018年12月12日にリリースするニュー・アルバム『JAPRISON』のジャケットと収録内容を公開した。  今作は、自身の首を持ったSKY-HIの姿が写し出された意味深なジャケットで、新曲10曲の計14曲を収録。セルフ・プロデュースから、2016年【第59回グラミー賞】“最優秀リミックス・レコーディング”にノミネートされたstarRo、TinyVoice,Production所属で数々のHIT楽曲を産み出しているUTAとSUNNY BOY、韓国で確固たるPROPSを集めHIP HOPシーンを代表するレーベル“Hi-Lite Records”所属Yosi、自身もアーティストとして活動を行いながら積極的に楽曲提供も行うMatt Cab、日本のダンスミュージック・シーンを牽引する次世代アーティストMATZという豪華プロデュサーを迎えた。  MV盤には、これまで発表された数々のMVの他、新曲「What a Wonderful World!!」と、SALU、Ja Mezz、HUNGR、Moment Joonが出演するName Tagの完全版「Name Tag feat. SALU, HUNGER, Ja Mezz, Moment Joon (No Cut ver.)」、 完全未公開ボーナス・トラックとなるロサンジェルスとニューヨークで撮影された「Bitter Dream」の計8曲を収録。  Live盤には、圧倒的なパフォーマンスとエンターテインメント性で話題となった【SKY-HI TOUR 2018-Marble the World-】のファイナルとして、4月28日にロームシアター京都メインホールで開催されたライブの模様が収録される。 ◎リリース情報 アルバム『JAPRISON』 2018/12/12 RELEASE <CD+スマプラミュージック> AVCD-96047 / 3,000円(tax out) <Music Video盤(CD+DVD+スマプラミュージック& ムービー) > AVCD-96045/B)/ 5,000円(tax out) <Music Video盤(CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー) > AVCD-96046/B) / 5,000円(tax out) <Live盤(CD+2DVD+スマプラミュージック&ムービー)> AVCD-96043/B~C / 6,500円(tax out) <Live盤(CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー) AVCD-96044/B / 6,500円(tax out) 【mu-moショップ / AAA Party / AAA mobile限定】※三方背ケース仕様 <Music Video盤/初回生産限定(2CD+DVD+スマプラミュージック&ムービー)> AVC1-96052~3/B / 7,000円(tax out) ※三方背ケース仕様 <Music Video盤/初回生産限定(2CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー)> ※三方背ケース仕様 AVC1-96054~5/B / 7,000円(tax out) <Live盤/初回生産限定(2CD+2DVD+スマプラミュージック&ムービー)> AVC1-96048~9/B~C / 8,500円(tax out) ※三方背ケース仕様 <Live盤/初回生産限定(2CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー)> AVC1-96050~1/B / 8,500円(tax out) 【mu-moショップ / AAA Party / AAA mobile限定★グッズ付き★】※三方背ケース仕様 <Music Video盤/初回生産限定(2CD+DVD+スマプラミュージック&ムービー+【FEE TOKYO】キャップ)> AVC1-96052~3/B / 10,241円(tax out) <Music Video盤/初回生産限定(2CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー+【FEE TOKYO】キャップ)> AVC1-96054~5/B / 10,241円(tax out) <Live盤/初回生産限定(2CD+2DVD+スマプラミュージック&ムービー+【FEE TOKYO】キャップ)> AVC1-96048~9/B~C / 11,741円(tax out) <Live盤/初回生産限定(2CD+Blu-ray+スマプラミュージック&ムービー+【FEE TOKYO】キャップ)> AVC1-96050~1/B / 11,741円(tax out) 【CD(Album “JAPRISON” )】 01. What a Wonderful World!! 02. Shed Luster 03. Role Playing Soldier 04. 23:59 05. White Lily 06. Blue Monday 07. Doppelganger 08. Persona 09. Shed Luster pt.2 10. New Verse 11. Marble (Rerec for JAPRISON) 12. Name Tag -Remix- feat. Ja Mezz & HUNGER 13. Diver's High (Resound for JAPRISON) 14. Snatchaway 参加アーティスト:Ja Mezz, HUNGER, 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN) Producer:starRo, UTA, SUNNY BOY, Yosi, Matt Cab, MATZ, KM, 亀田誠治, 蔦屋好位置 【CD(Album “FEE TOKYO”)(mu-moショップ / AAA Party / AAA mobile限定)】 01. Free Tokyo 02. Name Tag feat. SALU & Moment Joon 03. What are you talking about? feat. Hideyoshi & Novel Core 04. I Think, I Sing, I Say feat. Reddy 05. Dystopia 06. The Story Of "J" & Bonus Track 【DVD / Blu-ray(Music Video盤)】 01. Silly Game 02. Marble 03. Bitter Dream -Bonus Track- 04. Snatchaway 05. Diver’s High 06. I Think, I Sing, I Say feat. Reddy 07. What a Wonderful World!! 08. Name Tag feat. SALU, HUNGER, Ja Mezz, Moment Joon (No Cut ver.) 【DVD / Blu-ray(Live盤)】 SKY-HI TOUR 2018-Marble the World- 01. BIG PARADE 02. Blanket 03. 逆転ファンファーレ 04. 愛ブルーム 05. Silly Game 06. Seaside Bound 07. Blame It On Me 08. Bitter Dream 09. Jack The Ripper 10. Double Down 11. Limo 12. Young, Gifted and Yellow 13.十七歳 14. Over the Moon 15. RAPSTA 16. F-3 17. Walking on Water 18. 何様 19. Front Line 20. フリージア 21. センテンス -ニセヤンキー- 22. One Night Boogie 23. VERY BERRY 24. アドベンチャー 25. Ms.Liberty 26. One Night Boogie 27. クロノグラフ 28. キミサキ 29. アイリスライト 30. ナナイロホリデー 31. スマイルドロップ 32. Snatchaway 33. Marble 34. カミツレベルベット ◎ツアー情報 【SKY-HI TOUR 2019 -The JAPRISON-】 2月03日(日)東京都・昭和女子大学人見記念講堂 2月09日(土)千葉県・市川市文化会館 大ホール 2月17日(日)静岡県・富士市文化会館ロゼシアター 大ホール 2月24日(日)宮城県・東京エレクトロンホール宮城 3月01日(金)福岡県・福岡サンパレス 3月10日(日)広島県・広島文化学園HBGホール 3月17日(日)北海道・札幌市教育文化会館 大ホール 3月23日(土)神奈川県・神奈川県民ホール 大ホール 3月30日(土)長野県・長野ホクト文化ホール 中ホール 4月06日(土)石川県・本多の森ホール 4月07日(日)愛知県・名古屋国際会議場 センチュリーホール 4月24日(水)大阪府・フェスティバルホール
billboardnews 2018/11/01 00:00
伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…福原愛引退後の卓球界は黄金時代
伊藤美誠、平野美宇、早田ひな…福原愛引退後の卓球界は黄金時代
愛ちゃん、お疲れ様(撮影/大塚淳史) 次世代のエース平野美宇(撮影/大塚淳史) “愛ちゃん”こと卓球の福原愛(29)が現役引退を発表した。2016年のリオデジャネイロ五輪以降、結婚、出産と、選手活動を休止した状態が続いていた。その間に、リオ五輪の女子団体で共にメダルを勝ち取った伊藤美誠(18)をはじめとした若手世代が国際舞台で活躍していったのも、引退を決意する一因となったようだ。  10月23日に都内のホテルで行われた福原の引退会見では、 「選手として一区切りをつけようと思ったきっかけは、私が選手として盛り上げなくても、もう卓球界は大丈夫だと思えたことも大きかったです」  と次の世代への期待感をにじませた。  たしかにこの数年、日本卓球界は若手の有望株が続々と登場している。特に女子は、伊藤と同学年の平野美宇(18)、早田ひな(18)は、国際大会で優勝を経験し、「黄金世代」と言われるほど。  卓球コラムニストの伊藤条太さんは、この世代の強さに驚きを隠せない。 「中国の選手に勝てる選手が1人いるだけでもすごいことですが、それが伊藤ら3人もいます。愛ちゃんですら中国のエース格にはほとんど負けてました。ところが、伊藤は世界選手権という大舞台の団体戦でエース格の相手を倒しています。平野も昨年のアジア選手権で中国のトップ3選手に勝って優勝しました。信じられない光景でした」  この世代が誕生した背景には愛ちゃん効果があるという。伊藤さんが続ける。 「3歳児に卓球を練習させるのは無理だと思われていましたが、愛ちゃんが登場し、試合でも活躍したことで、伊藤も平野もその年齢のころから卓球に取り組んだそうです」  このほか長崎美柚(16)、木原美悠(14)が控え、張本智和(15)の妹の美和も10歳ながら才能は兄以上とも言われている。 「(張本美和は)同世代では断トツです。小学生なのに小細工なしのパワフルなスタイルで、王道の卓球をする」(伊藤さん)  福原も思い残すことなく引退できたわけだ。(本誌・大塚淳史) ※週刊朝日  2018年11月9日号
週刊朝日 2018/10/31 11:30
性犯罪逮捕の「ミスター東大&慶応」候補 “チャラ男”偏差値
上田耕司 上田耕司
性犯罪逮捕の「ミスター東大&慶応」候補 “チャラ男”偏差値
東大駒場キャンパスの学祭では稲井被告が「卑猥飲料」を販売し、物議を醸した  最難関の東京大学と、日本を代表する私立の慶応大学の「ミスター候補」が相次いで性犯罪の容疑者として逮捕される事件が起きた。高学歴エリートの“チャラ男”たちの度が過ぎた行為は、あまりにも惨めだ。  あの東大生ユーチューバーが……。強制性交等罪で起訴された稲井大輝被告(24)は、ユーチューブのチャンネル登録者数4万7千人、動画視聴回数は延べ1300万回に及ぶ、ちょっとした有名人だ。  東大経済学部の稲井被告は9月15日未明、東京都新宿区にある自宅タワーマンションのエレベーターで遭遇した女性を部屋に連れ込み乱暴、強制性交などの容疑で逮捕され、10月5日に起訴された。 「未明に起きた事件でした。30代の女性をベッドの上に投げ倒した上、嫌がるのに肩を押さえ、下着を脱がし、暴行を加えたのです」(捜査関係者)  稲井被告は1年ほど前から、マスク姿の銀髪のユーチューバーとして、ナンパ企画やセクシー女優と共演する動画をアップ。ユーチューブの概要欄には「サイテー東大生 稲井大輝がYouTubeを始めました!動画は消される前に観てな!」とあった。  そのユーチューブ動画は、渋谷でナンパして女性の乳房の谷間にチョコレート菓子を挟み、顔をうずめて食べるゲームをしてみせたり、江の島の海水浴場でビキニの女性たちに話しかけ、女性の股関節にサンオイルを塗っていたりと、「やりたい放題」の内容である。そうかと思えば、札束を積み上げ、1皿1万円のウニを食べたと、「金持ち自慢」とも受け取れるツイートも散見された。  メディアにもたびたび登場していた。インターネットテレビの討論番組には、「性産業の市場活性化を掲げる現役東大生」として出演。「性犯罪は顔や名前を公表すべきだ」と議論を交わしていた。 「おふざけ」は続く。昨年の東大駒場祭では「東大アダルト研究所」として「母乳カルピス」など卑猥(ひわい)な名の飲み物を提供し、運営委員会から厳重注意を受けるなど、物議を醸した。  そんな稲井被告だが、進学校として知られる駒場東邦高校を卒業後、1浪して東大に入学。予備校の合格者の声を紹介する欄に「素質が大事」と書いていた。両親は歯科医で、稲井被告の実家の近所の人は「父親は厳格な人」と語っていた。  稲井被告は受験生に向け、東大についてこう語りかけていた。 「受験勉強ってある意味コスパいいと俺は思っていて、例えばアスリートの人は50メートルの0.01秒減らすのに対してめっちゃ努力する。逆に努力してもいかん人はいかんし。受験勉強は誰がやっても、正しく結果絶対でるんで、こんなコスパがいいことってあります? 誰だって別に東大行けるんよ。こんなんで東大いけるからね」  そして、2014年にはミスター東大のファイナリストに選ばれた。稲井被告と東大時代に同級生だった男性はこう話す。 「私は2年前に卒業したのに、彼はまだ大学3年生。バンドサークルに入っていて、一緒に練習をやったこともあったけど、練習を無断で休んだり、リーダーを務めても練習を開かなかったり、適当でしたね。2年生になるとサークルにはほとんど顔を出さなくなった。大学にも行っていなかったようです」  事件を起こしたことについては、さほど驚いていないようで、 「『ホストやってる東大生』とか『ミスター東大候補』というのがウリで、目立ちたがりでした。ツイッターで炎上商法もしていたようだった。事件のニュースが出たときは、『ああ、ついに捕まったか』という感じでした」  と語った。  このほか、ナンパと称した「スカウト活動」をしていたとの証言もある。 「ユーチューブに複数のセクシー女優が出演しているのは、スカウトのツテのようです。女性のSNSでマメに『いいね』をつけたり、渋谷や新宿で、特技のナンパを生かしてスカウトをしたりしていたようです」(稲井被告の知人)。新宿歌舞伎町でも名が知れわたり、「知り合いの21歳の女の子が風俗店への入店を勧められました」(歌舞伎町ホスト)  一方、慶応大経済学部2年の渡辺陽太容疑者(22)は準強制性交などの疑いで神奈川県警に再逮捕された。事件は9月29日に起きた。横浜市西区の路上で、面識のない深酔い状態の女子大学生を近くの雑居ビルに連れ込んで性的乱暴を加えた疑いがある。その後、路上で女子大学生の腹を蹴っているのを目撃者が通報し、現行犯逮捕された。  東京都港区に住み、「セレブ」ともてはやされていた渡辺容疑者は「ミスター慶応コンテスト2016」のファイナリスト。スタッフブログにはこんなセリフが残っていた。「『僕みたいなダメ人間を応援してくれる人がいるんだ』って気づいて、それが一番嬉しかったし頑張らなきゃって思えましたね」「まずはこれから1年間くらいで、自信を持って『ミスター慶應の渡邉陽太です』って言えるようになりたいです」  調べに対し、渡辺容疑者は女性の腹を蹴る暴行容疑については認めたが、準強制性交などの容疑については「酔っていたので思い出せません」と否認しているという。 「酒に酔っていて覚えていない」と否認する稲井被告については裁判が開かれる見通し。今後どのような展開が待っているのだろうか。性犯罪事件に詳しい雪田樹理弁護士によると、強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以内の懲役刑で、有罪となれば実刑判決が下されるという。 「性犯罪事件の場合、検察は、ほぼ確実に有罪をとれると踏まないと起訴しないのが一般的です。被害者の供述の信用性が極めて高いこと、そしてそれを裏付ける『補強証拠』といわれる客観的証拠があれば、有罪判決になるでしょう」(雪田弁護士)  雪田弁護士は補強証拠を要求することには否定的で「(国際水準では)同意のない性交はレイプであり、性犯罪が成立します。そういうことが社会的な意識として日本社会の中で進んでいないことが、大学生の安易な性犯罪が横行している一面であると思う」と解説する。  稲井被告はかつて、雑誌のインタビューにこう答えていた。 「東京オリンピック終わったら卒業しようかなって。それまでみなさんの税金使わせてもらって。ホント自分、偏差値高すぎて申し訳ないです(笑)」  彼らに厳しい目が向けられるのは間違いない。(本誌・上田耕司、田中将介、緒方麦) ※週刊朝日2018年11月9日号
週刊朝日 2018/10/30 07:00
桐野夏生が見たJKビジネスの危うさ「17歳以下の少女は肉のつき方が違うと目を輝かせ…」
福井しほ 福井しほ
桐野夏生が見たJKビジネスの危うさ「17歳以下の少女は肉のつき方が違うと目を輝かせ…」
桐野夏生さん(撮影/小原雄輝・写真部) 『路上のX』 桐野夏生 ISBN:978-4022515308 親に棄てられ、「JKビジネス」に引きずり込まれる女子高生の姿が描かれている  貧困や虐待などの問題を抱える少女をサポートする「若草プロジェクト」の設立3周年シンポジウムが青山学院大学(東京都渋谷区)で開かれ、参加した作家の桐野夏生さんらが少女らを取り巻く現状を訴えた。桐野さんは近著『路上のX』の中で親に棄てられ、「JKビジネス」に引きずり込まれる女子高生の姿を描いている。同プロジェクト代表の村木厚子さん、瀬戸内寂聴さんの秘書、瀬尾まなほさん(同プロジェクト理事)らも登壇。桐野さんは取材を進めるうちに、少女たちを食い物にする大人の悪意に衝撃を受けたと明かした。 *  *  * 「作品を書いている最中に、JKビジネスに詳しく、また経営者とも知り合いだという男性に取材をしました。彼らは17歳以下の少女のことを『アンダー』と呼んでいて、目を輝かせながら『肉の付き方が違う』と語り、『買うのではなく、恋愛対象だ』と言うので大変驚きました。その一方で、彼らには、JKビジネスをする少女たちへの差別意識があります。彼女たちは金のためにやっている、と自己責任論に転嫁して、その裏にある事情を無視する。少女でなくなると商品価値がなくなるので、経営者側が風俗やアダルトビデオに移るようにうまく仕向けます。差別意識があるから嗜虐性も高く、少女の尻に自分のイニシャルを刺青したという事件もありました」  桐野さんがそう口を開いた。  JKビジネスとは女子高生を売り物にしたサービス業で2000年代中ごろの簡易マッサージサービス「JKリフレ」が始まりとされている。その後、摘発を受けるも「JK撮影会」「JKお散歩」「JKコミュ」と名前や業態を変えてあらゆるサービスが登場した。もちろん、ただ撮影や会話をして終わるわけではない。ある店では膝枕やビンタ、添い寝、指舐めなどのオプションが用意されており、どれも1000円ほどで追加できるシステムになっている。最近では摘発の影響を受け、JKビジネスの主戦場はSNSに移っている。警察庁の発表によると、SNSによる事犯の被害児童数は増加傾向にあり、その中でも児童ポルノや児童買春が増えている。  注目すべきは、「被疑者に会った理由」だ。29.6%が「金品目的」、22.9%は「優しかった、相談にのってくれた」と答えている。被害児童たちの心の隙間につけこむ姿が浮き彫りになった。  2017年10月には、神奈川県座間市のアパートで若い男女9人が殺害される「座間9遺体事件」が起きた。うち8人は若い女性で、自殺願望を抱いていたという。15歳から26歳までの若い女性を狙った犯行だった。容疑者と女性たちの関係がSNS上で始まったことも世間に大きな衝撃を与えた。桐野さんも「信じられなかった」と当時を振り返る。 「昔は話を聞いてくれる大人がどこかにいたものです。おじやおばやいとこなど、親戚も近くに住んでいた。でも、今の子どもたちは孤独に漂流している感がある。貧困家庭も増えて、児童虐待が問題になり、家庭の中で表に出ない何かが起きていると感じています。この事件も、これだけたくさんの若い人がSNSだけで相手を信頼し、自宅まで行ってしまうことが現実に起きている。彼らにとってのリアリティは、SNSと地続きで、私たちが想像しているものとは違うのだと思いました。『自殺願望』と検索すると、『一緒に死にましょう』という人がたくさん引っかかる。そこにポンと行ってしまうんでしょうね」  寄る辺のない少女たちが悪意を持った大人にからめとられてしまう現実。著書『路上のX』では、ネグレクトや虐待などの問題を抱え、家出した3人の少女が描かれている。今夜寝る場所を求めてJKビジネスの世界に踏み込み、性を搾取されていく姿は日本社会のリアルを映し出す。1980年代の女子大生ブーム、1990年代の女子高生ブームを経て、「ますます低年齢化が進んでいるように思う」と桐野さんは指摘する。 「アイドルがなぜ幼いふりをするのかということです。前髪を切り、ツインテールで下着の見えそうなミニのギャザースカートで歌い踊る姿はまるで小学生です。大人に演出を強要されていることもあると思いますが、彼女たちもそれがウケることを知っています。とても無防備で、何かが起きてから危うさに気付く。リアルな世界の恐怖が想像できないのでしょう」  同時に、こうしたアイドルのイメージがJKビジネスの発展につながりかねないと見ている。 「“幼いほど性的に価値がある”と考えることは、個々の欲望の問題ですから誰も口を挟めない。が、その欲望に叶うようなアイドルを提供することは非常に危険です。しかも、全国紙が特集を組み、評論家たちが魅力を語る。彼女たちに政治を学習させる企画もありました。これは一種のマンスプレイニング(男性の上から目線の説明)。こういった少女的な幼さや無知を容認する傾向がJKビジネスの発展に影響していると感じています」  週刊朝日での『路上のX』の連載は終わったが、今後続編を予定していると桐野さん。1冊完結のつもりだったが、少女たちの終わりのなさを感じ、再び筆を執ることを決めた。時代が抱える問題を一歩先取りしてきた桐野さんだが、自分の作品から、「父親」に関する記述があまりないことに気付かされたという。 「私の作品には“お父さん”があまり出てこない。父親は、妻や娘の抱える女性の問題を共有できないのだと感じます。フラリーマンという言葉もありますが、彼らも家族の問題にコミットしたくないのだと思います。妻や娘の問題を一緒に考える気がない。だから、どうしても、母子関係の親密さにはじき出されてしまう部分があるのでしょう」  “身近な大人”が少女たちの周りからいなくなった今、フィクションを通して少女たちに寄り添い、現実を訴えかけることが“一歩先”を変えるのかもしれない。(AERA dot.編集部/福井しほ) ※10月13日のシンポジウム発言を再取材した
朝日新聞出版の本桐野夏生虐待貧困
dot. 2018/10/29 17:20
自販機風ドアに女子が行列? 韓国で人気のインスタ映えスポット
自販機風ドアに女子が行列? 韓国で人気のインスタ映えスポット
PINK POOL CAFE 明洞店/ピンクのプールで泳いでいるみたい!(写真:『&TRAVELソウル2019』から) ZAPANGI/入り口がオシャレな自動販売機!(写真:『&TRAVELソウル2019』から)  ソウルのおしゃれなカフェやコスメショップが人気だ。理由は何より「写真映えするから」。SNSで“いいね”をもらうため、週末などに足繁く通う人もいる。日本にはないデコラティブな店内やメニューの魅力は──。 *  *  * 韓国での観光というと、かつては焼き肉に代表されるグルメや、アカスリや汗蒸幕(ハンジュンマク)などの美容エステを楽しむのが王道だった。しかし近年、韓国旅行の目的に変化が訪れている。  韓国コスメやファッションが好きで年に数回ソウルを訪れるという都内の女子大生(21)が足を運ぶのは、もっぱら“インスタ映え”するスポットだ。 「ソウルで一番よく行く場所はカフェ。一日に何軒もハシゴすることもありますよ。ソウルのカフェはインテリアやメニューが派手で、とにかく写真映えするんです。旅行中はインスタグラムのストーリー(24時間限定で投稿がスライドショー形式で表示される機能)をリアルタイムで更新しています。写真にインパクトがあるので、投稿にも“いいね”がたくさんもらえてテンションが上がります」  カフェなら日本にもたくさんあるが、わざわざソウルに行く理由をこう語る。 「日本でもインスタ映えを狙ったカフェはありますが、ソウルのカフェはまるでスタジオのセットみたいに作り込まれていてレベルが違います。次々と新しいお店ができるから、より素敵なところを見つけてSNSで発信する楽しみもあるんです」  ソウルに数多くあるインスタ映えカフェの中でも、代表的なのが2017年6月にオープンした「ZAPANGI(チャパンギ)」。おしゃれスポットが増加している望遠洞(マンウォンドン)というエリアに位置する。入り口の扉がピンクの自動販売機のようになっていて、ここで写真を撮りSNSにアップする人が続出し、人気に火がついた。  2カ月に1回は渡韓するリピーターの自営業女性(31)も、もちろんここは訪問済み。 「入り口の扉と一緒に写真を撮りたい人で行列ができていて、中に入ると100%女性客。それも日本、中国、東南アジアといろんな国からの観光客でいっぱいでした。ドリンクもキレイな色で写真映えするので、みんな写真を撮るのに夢中でしたね」  同じくユニークなコンセプトで人気なのが、東京・原宿と新宿にも店舗を構えるファッションブランドSTYLENANDAが手掛ける「PINK POOL CAFE」。観光客でにぎわう明洞(ミョンドン)と弘大(ホンデ)にあり、ピンクと水色を基調にした店内はなんとタイルが張られたプール風。非日常的な空間は、どこを切り取ってもフォトジェニックだ。  前出の韓国旅行リピーターの自営業女性も話す。 「店内はかわいい!の一言。ファッションブランドがプロデュースしているだけあり、細部までこだわりが感じられます。メニューも、巨大な綿あめがコーヒーの上に浮かんでいたり、写真映えするものがいっぱいです」  センスのいいカフェが集まるエリア・聖水洞(ソンスドン)にある「URBAN SPACE」は、同じくプールがコンセプト。だがこちらはカフェではなくバーで、入店は20歳以上のみ。店内に設けられた大きなプールの中には大量のボールが敷きつめられている。ここに入り、ユニコーンやフラミンゴの浮輪と一緒に写真を撮るのがお決まりだ。天井にはミラーボールが輝き、撮影するタイミングで雰囲気が変化するよう照明の色が変わり続ける仕掛けもある。今年7月には明洞に2号店もオープンした。  フォトジェニックなフードやスイーツを売りにした店も話題だ。「Mnd coffee」は厚岩洞(フアムドン)という観光客に馴染みのないエリアにあるにもかかわらず、日本人旅行者もわざわざ足を運ぶカフェ。お目当ては、絵の具で波を描くようにクリームが塗られた「ウェーブトースト」。ピンクやブルーに色付けされたクリームはキュートで、インスタへの投稿が絶えない。  ショッピングストリートのカロスキルに近い新沙(シンサ)エリアにある「Bistopping」では、好みのトッピングやコーンを選んでオリジナルのソフトクリームを作れる。こぢんまりとした店だが、店の前はカラフルなソフトクリームを手に写真を撮る人でいっぱい。今年3月には弘大に2号店をオープンした。  インスタ映えするのはカフェやバーだけではない。コスメやファッションショップも、コンセプトを設定したテーマパークのような空間で人気を集めている。カロスキルにあるコスメショップ「VILLAGE 11 FACTORY」のコンセプトは“化粧品オタクの博士の変わった工場”。化粧品工場をイメージしたベルトコンベヤーやタイル張りのフットスパなどがあり、写真撮影を目的に訪れる人でにぎわう。  いまや若者の間では、韓国旅行の際には、行きたい場所をインスタなどのSNSで探すことが当たり前になりつつある。そして実際にその場所を訪れた人がまたSNSにアップ。こうした形で韓国にハマる人たちが増えている。  さらに、この流れはソウル以外の地方にも拡大中。釜山や大邱などにもおしゃれなスポットが続々と出現している。  韓国観光公社などが今年7月に発表した統計によると、18年の上半期に韓国を訪問した外国人観光客は前年比6.9%増の722万人。そのうち日本からの観光客は131万人で、前年に比べて18%増加した。  SNSが韓国をさらに身近で魅力的な観光スポットにしている。(ライター・NOONAS) ※AERA 2018年10月29日号
AERA 2018/10/28 11:30
引退の福原愛はキス連発するも台湾でロイヤルファミリー扱い 愛される理由とは?
引退の福原愛はキス連発するも台湾でロイヤルファミリー扱い 愛される理由とは?
中学、高校時代に過ごした青森名産のホタテを取り寄せるといい、大きなホタテの実の形を披露した(撮影・大塚淳史) 花束を受け取り、満面の笑みを浮かべる福原愛(撮影・大塚淳史) 引退会見が行われたホテルオークラ東京には大勢の報道陣が詰めかけた(撮影・大塚淳史)  10月21日にブログで現役引退を発表した、卓球の福原愛(29)が23日、都内で引退会見を行った。2016年に台湾代表の江宏傑(29)と結婚。キスを連発しても、はたまた夫婦のラブラブが伝わる写真をたくさん投稿しても、台湾では「理想の家族」と好意的に受け入れられている。現地で見せる福原の素顔を、台湾メディアの記者らが語った。  記者会見に花柄のワンピース姿で登場した福原愛は「(引退は)自分中心でなく、一歩引いた時に、役回りとか立ち回りとか自分が何をすれば、どんなことをしたら喜んでもらえるかと思ったら、今回の決断になりました」とスッキリした表情だった。福原の引退には日本だけでなく、現在の居住先である台湾でも注目を浴びており、台湾メディア記者からも質問が飛んだ。  会見の終盤、福原は台湾の中央通訊社東京支局の楊明珠記者から「台湾の暮らしは幸せですか?」と日本語で質問され、「台湾のみなさまにはよくしていただいて、とても幸せに暮らしています」と笑顔で答えた。  会見後、楊記者は「愛ちゃんが子持ちでもあるし、現役を引退するのは薄々感じていました」と話した。  福原はロンドン五輪とリオ五輪の女子団体で銀メダルと銅メダルを獲得した。2016年9月に台湾代表の江宏傑と結婚し、女の子に恵まれた。現在は台湾の高雄に住んでいる。  福原は会見で、 「娘は台湾のお義父さんとお義母さんが面倒をみてくれて、その間にこういった仕事をさせていただいている。感謝の気持ちを忘れずにいきたいなと思います」  と、子育ての様子を一部披露した。  既に台湾に住んでいることもあって、台湾を中心に中華圏での活動を広げている。この1年は、台湾のネットテレビでリアリティー番組に夫と参加し、キスを連発して話題を呼んだり、CMでの露出が多かったりすることもあって、「スポーツ選手というよりは有名人として見る人が多い」(楊記者)という。  台湾在住のライター細谷悠生さんは、今春台湾で開かれた会見で、福原夫婦のラブラブっぷりの“片鱗”を見たという。 「Peach(日本の格安航空会社)の高雄―沖縄の就航記者会見に行ったのですが、夫の江さんが登場し、『これで(所属する琉球アスティーダ)沖縄から(愛ちゃんのいる)高雄へ行くことができます』とのろけていました(笑)」  福原は中華圏SNS上で、夫婦のラブラブっぷりが十分わかる多くの写真を投稿している。うっとうしいと思われるどころか、理想の幸せな家族として受け入れられているという。  楊記者は福原が築く「家族」に対し、温かいまなざしを向けながら、こう語る。 「福原さん夫婦は、台湾で、日本の真珠会社の広告に登場しているのですが、その立ち振る舞いからロイヤルファミリーのような高貴さが漂っています。お子さんも3~4歳と大きくなったら注目されるでしょうね」  引退して肩の荷が下りた“泣き虫愛ちゃん”。会見の最後まで涙を見せることなく、笑顔のまま会場を去った。 (本誌・大塚淳史) ※週刊朝日オンライン限定
週刊朝日 2018/10/24 07:00
山崎育三郎、京都・北野天満宮がミュージカル劇場のようになった【めざましライブ】
山崎育三郎、京都・北野天満宮がミュージカル劇場のようになった【めざましライブ】
山崎育三郎、京都・北野天満宮がミュージカル劇場のようになった【めざましライブ】  ミュージカル界のプリンスと称され、圧倒的な歌唱力と甘いマスクで人々を魅了する山崎育三郎と、目が見えない14歳のシンガー・わたなべちひろの2組が、10月21日開催の【めざましライブ~日本お元気キャラバン in 京都・北野天満宮】に出演した。 ライブ写真(全7枚)  今回の開催地、京都は観光都市ランキングで2年連続世界1位になった文化都市。そして、北野天満宮は全国天満宮の総本社としても知られ、現在は日本の伝統文化と食・アート・音楽が融合したフェスティバル【KYOTO NIPPON FESTIVAL 2018】を12月2日まで開催中ということもあり、大変な賑わいをみせていた。  爽やかな秋晴れの下、厳かな雰囲気に包まれた「紅梅殿」に設けられた特設ステージに最初に登場したのは、中学2年生の天才シンガー・わたなべちひろ。編成はピアノ1本、歌声1本。カバー曲「Imagine」「Sunrise」「You Raise Me Up」を、わたなべちひろにしかできない、ハートフルでパワフルな表現力で披露。魂が宿る生き生きとした歌声がオーディエンスの心に染み渡った。MCでは「皆さん、こんにちは! わたなべちひろです! 今日は短い時間ですが、宜しくお願いします!」と元気よく挨拶。最後にはオリジナル曲「You will always be the one」を北野天満宮に響かせ、音楽に対する強い想いを感じさせた。  続いては、『めざましテレビ』の人気コーナー“めざましじゃんけん”。今回のMCを務めたフジテレビアナウンサー軽部真一と堤礼美の二人が「この後は山崎育三郎さんの登場ですが、その前にゲームをして皆さんと心を一つにして山崎育三郎さんを迎えようではないですか!」と呼びかけ、観客全員とじゃんけん対決。優勝者には特製「めざましグッズ」がプレゼントされた。そして、いよいよミュージカルが大好きという軽部アナ、堤アナも楽しみにしていたメインアクト山崎育三郎のパフォーマンスへ。  ピアノの音色とともに颯爽と山崎育三郎が登場し、「Congratulations」からライブがスタート。次に「君は薔薇より美しい」を力強く披露しすると「凄くないですか、この会場、素敵すぎる。皆さんも素敵! 気持ちいい最高の天気ですね! 僕にとってはこういうライブの場はご褒美です。京都でのライブは初めてで凄く楽しいです」と語り、続いてミュージカル【モーツァルト!】からのバラードソング「何故愛せないの」を披露。豊かな表現力で会場はあたかも劇場に変化したかのようだった。  そして、この日のためにステージにセットされていた大きな“いけばな”は池坊のイケメン華道男子IKENOBOYSが創作した“いけばな”で、山崎育三郎が最後の一輪を挿し完成させる演出で会場に色彩豊かな華道の世界をプレゼントした。次は「全国どこに行っても皆さん一緒に歌ってくださる曲。『美女と野獣』のナンバーをここにいるベルたちと歌いたいと思います。今日は助っ人をお呼びしました! 軽部アナウンサー、堤アナウンサー、どうぞ!」と二人を呼び込み、大ヒットナンバー「美女と野獣」を本日限りのスペシャルな3人とオーディエンスで熱唱した。7月に発売したばかりのアルバム『I LAND』からは軽快なサウンドのポップソング「smile」、そして、スウィングのリズムが印象的な「TOKYO」で会場をジャジーにロックに盛り上げた。  アンコールでは『めざましテレビ』の25周年企画「日本つながるプロジェクト」第四弾応援ソングに決定した「I LAND」を、ミュージカルの素敵な世界へ誘うように披露し、【めざましライブ~日本お元気キャラバン in 京都・北野天満宮】を熱気そのままに締めくくった。  なお、このライブの模様は10月23日の『めざましテレビ』にて放送予定。11月25日午後8時からは、CS放送フジテレビTWO ドラマ・アニメにて、山崎育三郎のライブの模様に加え、コメントや当日のドキュメントなどもあわせた60分特番が放送され、フジテレビTWOsmartでも同時配信される。 ◎セットリスト 【めざましライブ~日本お元気キャラバン in 京都・北野天満宮】 2018年10月21日(日) ▼わたなべちひろ 01. Imagine 02. Sunrise 03. You Raise Me Up 04. You will always be the one ▼山崎育三郎 01. Congratulations 02. 君は薔薇より美しい 03. 何故愛せないの 04. 美女と野獣 05. ひそかな夢 EVERMORE 06. Forget-me-not 07. smile 08. TOKYO 09. Wonderland 10. TOKIO 11. Keep in touch ENCORE. I LAND ◎放送情報 『山崎育三郎 めざましライブ日本お元気キャラバン in 京都・北野天満宮』 2018年11月25日(日)午後8時~9時 放送チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ/フジテレビTWOsmart 番組URL:https://bit.ly/2EFx8L1 ◎リリース情報 配信シングル「こどもこころ」 2018/10/24 RELEASE ◎ツアー情報 【山崎育三郎LIVE TOUR 2019~I LAND~】 2019年1月12日(土)三郷市文化会館 2019年1月14日(月・祝)SENDAI GIGS 2019年1月19日(土)NHK大阪ホール 2019年1月20日(日)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 2019年1月26日(土)昭和女子大学人見記念講堂 2019年2月02日(土)福岡国際会議場メインホール 2019年2月03日(日)JMSアステールプラザ大ホール 2019年2月10日(日)滋賀県立文化産業交流会館 2019年2月11日(月・祝)三島市民文化会館
billboardnews 2018/10/22 00:00
THE ALFEE、日本グループ史上最多の通算コンサート本数2700本を達成
THE ALFEE、日本グループ史上最多の通算コンサート本数2700本を達成
THE ALFEE、日本グループ史上最多の通算コンサート本数2700本を達成  THE ALFEEが、2018年10月20日に秋ツアー【THE ALFEE 45th Anniversary Best Hit Alfee 2018秋ノ巻Chateau of The Alfee II】の東京国際フォーラム公演を開催し、このコンサートでTHE ALFEE通算コンサート本数2700本を達成した。 ライブ写真(全6枚)  通算2700本は、日本のグループ史上最多のコンサート本数記録。2015年1月31日に2500本、2016年11月24日に2600本と着実に記録の更新をし続け、結成45周年の今年に2700本を達成した。  ツアータイトルにある「Chateau of The Alfee II」のChateau(城)が建てられたステージにTHE ALFEE3人が登場するとこの記念すべき公演を祝おうと会場に訪れた約5,000人のファンからいつも以上に熱い声援があがった。最初からフルスロットルのメンバーと集まったファン、『サファイアの瞳』や『FLOWER REVOLUTION』で会場はすぐに熱気に包まれた。  そして最初のMCでは、坂崎が「こんばんは、ようこそアルフィーの2700本目のコンサートへようこそ、2700本目といっても今日は2700分の1です」と、長年1本ずつの積み重ねで今のアルフィーがあることを象徴するようなメッセージをファンに届けた。通算2700本というコンサート記録を更新させたことに対し、改めて高見沢も感慨深い気持ちで、ファンに感謝を伝えた。「数十年前、明治学院で坂崎に出会っていなければ教職免許を取って教師になり今頃定年退職を迎えていました。2700本、3000本が見えてきましたね。今こうしてやれているのもこつこつと積み上げてきた賜物だと思います。皆さんの声援があったからできたことだと思います」  そしてコンサートの締めくくりに「2700本目のライブでした、どうも有難う! 秋ツアーが始まって今日が8本目ですが、今夜は本当に最高です! 人は出会って別れて、別れて出会ってこの歳になったら一生出会えない人もいるわけだけど、この先どうなるかわからない。けど出来る限り夢を叶えていきたい。それを叶えるためにもファンのみんなにも付き合って欲しいな」と自分たちがここまでの一歩一歩積み上げてきたことに対する改めての感謝と決意の気持ちとして「大丈夫です、アルフィーは絶対裏切らないから」と高見沢が支えてくれたファンに強い思いと信頼を伝えた。  また、更にサプライズとして、30年以上に渡りランナーたちの熱い戦いを音楽で彩ってきた【大阪国際女子マラソン】のイメージソング・コンプリート・アルバム『Last Run!』を、12月19日に発売することも発表された。 PHOTO:HAJIME KAMIIISAKA ◎リリース情報 アルバム『Last Run!』 2018/12/19 RELEASE <CD>TYCT-60130/2 / 4,500円(tax out) 【Disc1】 01. 勇気凛々 02. 創造への楔 03. 風の翼 04. One Step ~再始動~ 05. LOVES FOR ONE 06. もう一度ここから始めよう 07. 生きよう 08. Let It Go 09. GET YOUR CHANCE 10. Shining Run ~輝く道に向かって~ 【Disc2】 01. Wonderful Days 02. Dear My Life 03. ONE 04. ZeRoになれ! 05. 夜明けの星を目指して 06. 孤独な世代 07. Chaos(カオス)の世界 08. Change the wind 09. 自由になるために 10. Beginning of the Time 【Disc3】 01. Beyond the Win 02. LIBERTY BELL 03. Glory Days 04. 風を追いかけて 05. Running Wild 06. Someday 07. Arcadia 08. FLOWER REVOLUTION 09. High-Heel Resistance 10. It's Alright 11. 夢よ急げ
billboardnews 2018/10/22 00:00
川栄李奈 初主演映画でわかった“母の言葉”の意味
川栄李奈 初主演映画でわかった“母の言葉”の意味
川栄李奈(かわえい・りな)/1995年2月12日生まれ。2010年AKB48加入。15年卒業。ドラマ、映画、舞台のほか、「A-Studio」10代目サブMCを務めるなど多方面で活躍中。19年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」への出演が決定している(撮影/加藤夏子・写真部) 「ドラマに出るよ。また脇役だけど」  歌や踊りではなく、芝居がやりたい一心で、2015年にAKB48を卒業した川栄李奈さんは、ドラマの仕事が決まるたびに、母にそう報告していた。すると、母は決まってこう言った。 「何言ってるの。脇役がいいんじゃない。お芝居っていうのは、主役よりも脇役のほうがすごいんだよ」  その言葉の意味を、彼女はずっと理解できなかった。でも、映画「恋のしずく」で主演に抜擢されて思った。「周りの方に助けてもらって、初めて真ん中に立てるんだ」と。 「今回、私が演じた橘詩織という役は、農学部に通うワインソムリエ志望の女子大生で、すごく普通の、どこにでもいそうなキャラクターです。でも、周りのキャラクターが皆さん個性豊かで、その人たちに“詩織”という役の輪郭を浮かび上がらせていただいたような気がしています。脇役がいて初めて主役ができる。そのことを実感しました。本当に、皆さんに助けていただきました」  映画で詩織は、日本酒の酒蔵に実習に出ることになる。そこで日本酒の魅力に目覚めるのだが、舞台となった日本3大酒処の一つである東広島市西条は、先の豪雨災害で今年の酒造りを断念した酒蔵も少なくない。 「昨年の今頃、1カ月オールロケで撮影したんですが、朝は酒蔵から湯気が立っていたり、目に映るものすべて透明感があって、キラキラしていて、素敵でした。『映画を見て、広島に行きたくなった』って言われると、すごく嬉しいです」  昨年1年で単発も含め11本ものドラマに出演した。出演時間が短い役であっても、いつも必ず強い印象を残すが、役について、監督に相談することはまずない。台本を読んで、自分が感じたことをやってみるだけだ。「恋のしずく」の瀬木直貴監督は、それを“憑依型”と表現している。 「アイドル時代は、振り付けや歌を覚えることに苦手意識がありました。でも、AKBに所属しながら、一人でお芝居に挑戦したとき、それまでの人生で芽生えたことのなかった感情が生まれたんです。最初は何をどうしたらいいかわからなくて、監督さんにも『全然できてないよ!』と注意されたんですが、“嫌だな、恥ずかしいな”という気持ちのほかに、“悔しい”って気持ちも湧いてきた。“もっとうまくなりたい!”っていう向上心が沸々と(笑)。で、気づいたんです。“私、お芝居が好きなんだ”って。長く夢中になれるものにやっと出会えた感じでした」  静かで涼やかな雰囲気の奥に、何か底知れないエネルギーが潜む。 「とにかくたくさんのお芝居に出て、30歳になるまでに、自分の経験した感情すべてを注ぎ込めるような代表作に出会えたら」と彼女は願う。純粋さや美しさ以外にも、人間の持つどろっとした部分や、途方もない悲しみ、怒りなど、様々な感情を表現できる、そんな女優になることを。(取材・文/菊地陽子) ※週刊朝日  2018年10月26日号
週刊朝日 2018/10/21 16:00
学校現場の大問題

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クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

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働く価値観格差

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職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

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プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

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