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大坂なおみ、“因縁の相手”セリーナに対する質問で垣間見えた「一流の人間性」
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大坂なおみ、“因縁の相手”セリーナに対する質問で垣間見えた「一流の人間性」
準決勝の試合後にインタビューを受ける大坂なおみ(写真:getty Images)  1月24日にテニスの全豪オープン女子準決勝が行われ、世界ランク4位の大坂なおみが、同8位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)を下し、決勝戦へと駒を進めた。  今大会は本人も口にしているように精神的な成長を課題とし、それに向かって努力する様子や、時折コート上で見せるお茶目な行動、そしてコート外でのウイットに富んだ発言で、新たに大坂の魅力に惹きつけられたファンも少ないくないはずだ。  どちらかというと、“面白い部分”がピックアップされ報じられることの多い大坂。だが、準々決勝の試合後に行われた会見で、準決勝で対戦する可能性があり、“因縁の間柄”でもあったセリーナ・ウィリアムズに関する質問をされた際の受け答えは、今後、「一流アスリート」になる素養を感じさせるものだった。  常々セリーナを憧れの存在と語ってきた大坂だが、その子供の頃からのアイドルが、因縁の相手となってしまったのは昨年の全米オープン決勝でのこと。大坂はここで、グランドスラム23回の優勝を誇るセリーナを破り、日本人としては初めてグランドスラムシングルスの王者となった。  本来ならば、大坂が称賛され主役となるところだったものの、セリーナが試合中に見せた審判への悪態がよりクローズアップされる展開に。試合後に行われたコート上での優勝インタビューでもブーイングが巻き起こり、大坂が涙するなど、快挙がかき消される形となってしまった。二人はそれ以降マスコミ的には“因縁の間柄”となった。米大手スポーツ専門局「ESPN」のウェブサイトも、両選手が準々決勝を戦う前日に「セリーナとオオサカ、リマッチまであと1試合」とのタイトルで記事を掲載し、両者の再戦を意識した空気を生み出していた。  実際にはセリーナが準々決勝で敗れ、再戦の実現とはならなかった。とはいえ、試合後の会見(セリーナは準々決勝の試合中で次の対戦相手は未定のタイミング)ではセリーナとの過去やリマッチの可能性に関する質問が大坂に向けられた。  ここでマスコミは準決勝を盛り上げるための“何か”を期待していたのだろうが、大坂は「彼女がどうってことは発言できないけど、私にとってセリーナと試合をできることは大きな栄誉であるし光栄なこと」とコメント。さらに「ずっと彼女のことは見続けているの。正直、これまで2回も対戦できたことは、とてもラッキーなことだと感じている。もしまた戦えることになったら、楽しみなだけ」と語り、セリーナへのリスペクトを決して忘れなかった。  この会見の映像は、全豪オープンの『YouTube』公式ページでもアップされており、視聴したファンからは称賛の声が寄せられていた。下記は書き込まれたコメントの一部だ。 「ナオミはセリーナや他の選手に関する“いやらしい質問”に答えるのがとても上手だね。彼女は絶対に舌禍を招くことはないだろう」 「試合の時と同様に、会見でも素晴らしい。彼女の会見は見逃したことはないし、彼女のパーソナリティが好きなんだ」 「セリーナに関する質問がされた場合、どんな時でも彼女はいかにセリーナをリスペクトし、憧れているかに言及する。とても気品にあふれている。敵ではなく先生、もしくはよき指導者といった感じに。これは本当に素晴らしい振舞いね。ナオミさん」 「彼女はスマートだ。時にはふざけた振る舞いもするけど、きわどい質問にも賢く答えていたね」  このように書き込まれたコメントは大坂の人間性を称えるものがほとんど。時にマスコミから“失言”に導くような質問が飛ぶ時もあるが、常に他の選手へのリスペクトを感じさせる発言は、人間としても「一流」であることを証明した。  世界的な強豪サッカーチームのバルセロナ(スペイン)には若い選手の発掘、そして育成をする下部組織(カンテラ)がある。ここでは選手たちを一流にするために、プレーだけではなく、人間性を育成することにも力を入れているという。  まだまだ21歳と若く、試合中でのメンタルの弱さが報じられ、自らも「精神的に3歳くらい」と語る大坂。しかし、会見での発言は、他の選手へのリスペクトを忘れない成熟した一流アスリートとしての一面が垣間見れた。    決勝は明日26日に行われ、世界ランク6位のペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦する。そこで大坂が試合中に見せるパフォーマンスはもちろんだが、表情や振舞い、そして試合後にどんなことを語ってくれるかも楽しみにしたい。
dot. 2019/01/25 11:30
女優・土屋太鳳「制服卒業宣言」と同時にバラエティー番組に“入学”決めたワケ
藤原三星 藤原三星
女優・土屋太鳳「制服卒業宣言」と同時にバラエティー番組に“入学”決めたワケ
土屋太鳳 (c)朝日新聞社 ■現在公開中の映画で「制服卒業」を示唆  大人気の清純派女優・土屋太鳳(23)に変革の時が訪れている--。  2015年、オーディションで掴んだNHK朝の連続テレビ小説「まれ」のヒロインを務めて以降、数々のドラマや映画で主演作をリリース、人気女優の仲間入りを果たした。また、昨年末の「日本レコード大賞」(TBS系)では安住紳一郎アナと司会を務め、年末の風物詩的番組とあって新たなファンの開拓に成功。いまや、その認知度は国民的女優といっても過言ではない。  そんな快進撃を見せながら迎えた2019年。バラエティー番組「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の大人気企画「グルメチキンレース ゴチになります!」の新メンバーになることが番組内で発表された。人気番組とはいえ、大人気の清純派女優がゴリゴリのバラエティー番組にレギュラー出演を決めてしまうということはかなりのセンセーショナルな驚きを巻き起こし、番組の看板であるナインティナインの岡村隆史(48)も「なんでなん? 弱み握られてんの?」と思わずツッコミを入れるほど。  バラエティー番組に詳しい放送作家は次のように語る。 「人気コーナー『ゴチになります!』は21年の歴史がありますが、これまで女優枠として江角マキコ(52)、佐々木希(30)、杏(32)、二階堂ふみ(24)、橋本環奈(19)などがレギュラーメンバーとして出演してきました。人気女優がレギュラーメンバーになること自体はそこまで珍しくはないのですが、岡村さんが驚いたように『いま、こんなに人気があって、映画やドラマでもガンガン主演を張れるのに、なぜ?』と不思議に思ってしまうのも事実。それほど、現在の土屋さんの人気は絶大なものがあり、今までの女優メンバーと比べても圧倒的。しかし、『ゴチ』は若者に絶大な人気を誇る看板企画なので、土屋さんのさらなるファン層の拡大にはかなり功を奏すはず。このオファーを受けたご本人や事務所サイドは、かなり賢い選択をしたと思います」  一方、女優としては女子高生役が多く、あらゆる作品で制服を着続け“永遠の女子高生”とまで呼ばれている。現在公開中の映画「春待つ僕ら」でも、23歳でありながら堂々と制服姿を披露している。しかし、本人は舞台挨拶で「『まれ』から3年間、(いろんな作品で)制服を着続けていて、これは卒業作品なのかなって思いながら撮影しました」と「制服からの卒業」を宣言。彼女が制服を脱ぐことに「もったいない」と惜しむファンが続出した。 「でも、『ゴチになります!』は衣装が制服ですからね。卒業宣言から一転、人気番組に入学して新たな制服に袖を通すわけですから、ファンからしたらたまりませんよね。もしかして、土屋さんサイドも『ゴチ入学』を踏まえたうえでの『制服卒業宣言』だったのかもしれません。でもまあ、もう23歳ですし、大人の色気も出ていますから、女優として制服を卒業するというのは賢明な判断です。これから大人の女優として新機軸を打ち立てながら、少なくても1年間は『ゴチ』で土屋さんの新たな制服姿を見れるわけですから、見事な転身だと思います」(前出の放送作家) ■スタッフ受けもよく取材対応もばっちり  デビュー以来、スキャンダルとは無縁な存在の土屋。ストイックな役作りには定評があり、インスタでのおしとやかな文体で綴られる長文投稿も人気の秘訣だ。取材経験のある週刊誌の記者は言う。 「映画やドラマのたびにインタビューをさせてもらうのですが、こんなにメディア対応が丁寧な若手女優はなかなかいません。朝早い取材でも嫌な顔ひとつ見せず、複数の記者による囲み取材では同じような質問を繰り返し聞かれても、ひとつひとつ誠意をもって答えるその姿は、誰もが一緒に仕事をしたくなるほど。彼女に映画やCMのオファーが殺到するのも十分頷けます。永遠の女子高生がどんな大人の人気女優になるのか、見届けたいと思っている取材陣は相当多いと思いますよ」  TVウオッチャーの中村裕一氏も、土屋の魅力を認めるひとりだ。 「彼女のインスタグラムを見ると、多忙なスケジュールにも関わらず出演したドラマ・映画の撮影現場の様子や、日常生活の何げない風景を長文とともにこまめにアップしており、非常に誠実な人柄がうかがえます。しかしながら、女優としては、いつも元気はつらつで健康的なイメージがやや固定しつつあることも否めません。そんななか、互いに手料理のレシピを教え合うほど仲が良い芳根京子(21)とW主演を務めた昨年公開の映画『累 -かさね-』では、彼女の狂気を帯びた演技が話題を呼んだことからも、まだまだ伸びしろがあることは間違いありません。今回の『ゴチ』参戦によって、彼女がこれまでに見せたことのない意外な一面を引き出されたり、瞬発力と頭の回転が要求されるバラエティー対応をしっかり身につけたりすれば、芝居にも絶対にプラスとなり、演技の幅がより広がることは確実でしょう」  人気女優が迎えた変革の時。絶大なポテンシャルを秘め、誰からも愛される彼女だけに、大女優へと変貌を遂げるのは間違いなさそうだ。(ライター・藤原三星)
dot. 2019/01/25 11:30
名古屋大+岐阜大「東海国立大学機構」が目指す本当の狙いは?
吉崎洋夫 吉崎洋夫
名古屋大+岐阜大「東海国立大学機構」が目指す本当の狙いは?
統合に向けた検討協議会後、取材に応じる名古屋大の松尾清一総長(右)と岐阜大の森脇久隆学長 (c)朝日新聞社 大学大再編シナリオ地図 (週刊朝日 2019年2月1日号より) 入学定員充足率 2017年→2040年 (週刊朝日 2019年2月1日号より)  18歳人口が減り続けるなか、大学の統合や連携、国立大学法人が複数の大学を運営するなど、国立大学が独立行政法人化した2000年代前半を彷彿させるような、大学再編に向けた動きが活発化している。大学関係者や専門家の話を織り交ぜながら、大学の近未来を占う。 *  *  *  昨年12月に名古屋大と岐阜大が法人統合に向けて基本合意した。そのほかにも、静岡大と浜松医科大、奈良教育大と奈良女子大など各地で統合の話が持ち上がっている。近著に『大学大崩壊』(朝日新書)がある教育ジャーナリストの木村誠さんは「成功事例が続けば、大再編の時代が一気にやってくる」とみる。  背景にあるのは18歳人口の減少だ。1992年の205万人をピークに、2019年は117万人にまで減少。40年にはさらに88万人になり、ピーク時の半分以下になる予測だ。  都道府県別の「入学定員充足率」では、40年には秋田、新潟の国立大の定員充足率は約70%にとどまり、東京や福岡などの大都市でも約90%と定員割れになる見通しだ。  国立大の運営費交付金は、04年度からほぼ毎年減額されている。運営費交付金は国立大の収入の半分以上を占める経営資金だ。04年は約1兆2400億円だったが、18年は約1兆900億円に減少。苦しい状況にある。  こうした中、国立大の統合に向けた動きが進み、制度改革が議論されている。例えば、一つの国立大学法人が、複数の国立大を運営できる「アンブレラ方式」だ。また、国立、公立、私立など、法人の壁を越えて参加する「大学等連携推進法人」(仮称)制度も検討され、より統合へのハードルが低くなりそうだ。  こうした現状を踏まえて、旧帝大を中心にした大統合の構想が浮上する。  名古屋大と岐阜大は両大を残した上で「東海国立大学機構」(仮称)を設立する予定だ。当面は名古屋大と岐阜大だけで統合を進めるが、2大学に限らないという。前出の木村さんは「この『東海』というのがポイントだ」と話す。  東海地方と言えば、愛知、岐阜、三重、静岡の4県だ。名古屋大、岐阜大に加えて、三重大、静岡大などの国立大を統合することが視野に入っている表れだとみる。この構想を支えるのは中部経済連合会だ。基本合意を発表した記者会見の場に豊田鐵郎会長も出席していた。 「中部経済はトヨタ自動車を中心にモノづくりでは強いが、情報系の分野に弱く、将来的に地盤沈下するのではないかと危機感を持っている。統合によってイノベーションを起こせる大学をつくり、それを核にして、シリコンバレーのようなテクノポリスをこの地域につくろうという構想があるようです」(木村さん)  九州でもアンブレラ方式を活用した統合の議論が出ている。九州大の久保千春総長はメディアに対し、具体的な話はないとしながらも、「アンブレラ方式などで他の大学と協力する可能性が出てくる」と発言しているのだ。  九州では06年にも国立大の大統合プランが動いていた。その名も「大九州大学構想」。経団連の御手洗冨士夫会長(当時)が提唱していた「道州制」の議論とともに、九州にある国立大の統合を提案した。 「大九州大学構想は復活することもあり得る」というのは、当時、九大総長だった梶山千里・福岡女子大学長だ。九州の国立大の学長や知事らとともに、議論が重ねられ、九州各地の国立大を総合大学として残しながら、九州大を「大九州大福岡校」、長崎大を「大九州大長崎校」などと連合する案が検討されたという。 「総合大学の統合で、学内外の競争力を増すことができる。どこの学部を統合し、どこをなくすかまで議論した。学生のためにどうしたらいいかという観点から議論することで話が進んだ。当時は韓国・釜山の大学とも意見を交換した。海をまたいだ統合もあり得ます」(梶山学長) (本誌・吉崎洋夫) ※週刊朝日  2019年2月1日号より抜粋
週刊朝日 2019/01/24 08:00
広瀬すず紅白司会「失敗」をNHKは歓迎しているに違いない
矢部万紀子 矢部万紀子
広瀬すず紅白司会「失敗」をNHKは歓迎しているに違いない
紅白の紅組司会で言い間違いを謝罪した広瀬すず (c)朝日新聞社 矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』  広瀬すずちゃんの「NHK紅白歌合戦」での司会が、いろんな人から叱られている。「司会起用は間違いだった」などとも書かれていた。少し整理するなら。 【失敗(1)】いきものがかりが歌っているとき、ピアスを直していた。  確かに、舞台上の全員が「じょいふる」に合わせてタオルをぐるぐる回していたから、「素」に戻ったようなすずちゃんの姿は目立ってしまった。 【失敗(2)】欅坂46の曲紹介の途中で歌が始まってしまった上に、歌い終わりに「乃木坂46のみなさん、ありがとうございました」と言った。  欅坂か乃木坂か、私もあまりわからない。だが「初のミリオン『ガラスを割れ』。メンバーに加え」で曲が始まってしまったから、途中から出てきた黒い衣装の集団については謎のままとなってしまった。  でも、でも。それぐらい、いいじゃないですか。っていうか、この事態をNHKはすごく歓迎しているはず、と思う。だって、すずちゃんの司会起用は、「なつぞら」の宣伝のためだったんだから。  すずちゃんの「失敗」のおかげで、翌日からすずちゃんを叱る報道が相次いだ。そのたびに、「4月からの朝ドラ『なつぞら』で主演」と書かれた。これ、すっごい宣伝だ。すずちゃんがパーフェクトだったら、こうはならなかった。「なつぞら」スタッフ、きっとほくそ笑んでいる。  私ごとで恐縮だが、昨年4月『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』という本を上梓した。その中に「ヒロインと、紅白司会と」というコラムを入れ、「2018年の司会は、広瀬すずで決定」と予測した。「記念すべき朝ドラ100作目『なつぞら』のヒロインが、起用されないはずがない」と。  2010年に朝ドラ「ゲゲゲの女房」ヒロインを演じた松下奈緒を起用して以来、紅組司会はほぼ「その年に朝ドラのヒロインを演じた女優」の枠になった。5年後、綾瀬はるかを起用した(2度目)が、これは「精霊の守り人」という大型ドラマの前宣伝で、ここから潮目が変わったと思う。16年は、17年4月から始まる朝ドラ「ひよっこ」のヒロイン有村架純を起用。17年も有村だったのは、今から思えば18年4月からの朝ドラ「半分、青い。」ヒロイン・永野芽郁の事務所が司会を断ったからかもしれない。  そんなわけで、すずちゃんの司会を予測するのはごく簡単。当てて当然。なので、コラムをこう締めくくった。「すずちゃん、司会上手だといいなあ」  終わってみれば司会上手だったのは、総合司会・内村光良だということになるだろう。内村が「なつぞら」のナレーションをすることも紅白の後半に発表された。  審査員に選ばれていた永野芽郁(「半分、青い。」)と安藤サクラ(放送中の朝ドラ「まんぷく」ヒロイン)が登場したところで、すずちゃんが内村に「『なつぞら』に参加いただけるんですよね?」と問いかけた。すると内村がこう答えた。「はい、ここで発表いたします。私、内村、『なつぞら』の語りを担当します!」  紅白=壮大な「なつぞら」宣伝フェスティバル。  話は変わるが、昨年NHKを退職した有働由美子さんの著書『ウドウロク』に、紅組の司会をした話が出てくる。タイトルは「あの大仕事」。初めて司会をした2001年、カンニングペーパーなしで進行せよと命じられたそうだ。 <すべて暗記って……。五十組以上の出場歌手のお名前と曲、応援で出演される方々のお名前や肩書き、伴奏者名や曲紹介……厚さ三・五センチ、前半後半二冊に渡る台本を覚えるって??? 台本の重さがそのまま圧力となり、肩にのしかかる。>  そこから当日までの苦労(覚えても台本が次々書き直される)、本番のドタバタ(時間調整でコメントを伸縮)、終了後の打ち上げ(干支の着ぐるみで出演者をご接待)、スタッフだけのカラオケ(全楽曲を順番に歌う「紅白やり直し」)などなどが、実に楽しそうに書かれている。有働さんはNHKが好きで、誇りをもっているな、とよくわかる。  NHKと同じ「マスコミ」と呼ばれる会社に長く勤めた者としては、有働さんは大きな舞台を与えられることで成長したのだな、と思う。だが、昨今のNHKの判断は、「紅白歌合戦を番組宣伝の場にしよう」なのだ。なんだかなー。  1月1日、すずちゃんのブログがアップされた。「アーティスト様の言い間違えがあったことを」お詫びしていた。「大変、失礼いたしました、、」の後、こんな文章が続いた。 <ど緊張とかではなかったですが、 やっぱりどこかで力が入ってて 踏ん張ってたところがあって 正直もう、アドレナリンが凄くて鮮明に 覚えてないところもあったり、、 いや、覚えてるんだけど、夢見てるみたいな ふわふわな感じで、、、>  ほとんど同じことを、有働さんも『ウドウロク』で書いている。 <放送開始直前、七時二八分頃には、地に足がつかないと言うか、どんなに落ちつこうと思っても、心がふわふわと体を離れようとするような、まるで実感のない感じのまま、七時三十分、本番がスタートした。本番のことは、しっかりとは覚えていない。>  有働さん、実績のあるアナウンサー。当時、32歳。すずちゃん、司会初体験。20歳。放送翌日にブログで総括するだけでも、えらいと思う。  で、ブログの最後がとても可愛い。 <こんな経験をさせて頂けて 心から感謝です ありがとうございました!>  で終わるのかなあ、と思うと、こう続く。 <そして、衣装もメイクも何もかも私の好みに して頂きました、、、 可愛いお洋服と可愛いヘアメイク ありがとうございました!!>  紅白のすずちゃん、あまり笑ってないように見えた。でも、楽しめていたんだね。よかったー。  ブログはこの後、こう終わる。 <2019年も幸せのままでいれますように 皆さまもステキな1年を> 「なつぞら」がよい朝ドラになれますように。すずちゃんもステキな1年を。(矢部万紀子)
dot. 2019/01/14 11:30
明日は成人式。知られざる成人式の不思議
明日は成人式。知られざる成人式の不思議
1月は新春と呼ばれますが、まだまだ寒い日が続きます。冷たい外気の中、温かそうなファーを首ににあしらった振袖姿の女性たちを見かけると、また成人式の季節がやってきたんだな〜と実感しますね。 ご存じの通り、2000年より成人式は1月の第2月曜日に制定されていますので、明日、各地方自治体で成人式のイベントが開催されることになります。 そんな成人式には、意外なルーツや習慣があるのです。成人式が過ぎた人も、これから迎える人にとっても興味深い話を、今回はご紹介しましょう。成人式は大人になる門出のとき 成人式で、えっ? 前髪を剃り落とす? もともと、成人式は平安時代の公家社会で行われていた儀式でした。現在では20歳が成人となりますが、平安時代では、男子が13〜15歳、女子が13〜16歳くらいで大人になる通過儀礼を行うことになっていました。男子は冠をかぶり、大人の服を着る「元服」という儀式が行われ、女子は髪を結い上げる「髪上げ」などの儀式が行われました。 一方、庶民の間に成人の儀式が広まるようになったのは江戸時代のこと。 男性が18〜19歳になると、「前髪落としの祝」が行われるようになったのですが、「前髪落としの祝」はその名の通り、前髪を剃り落とす儀式。江戸時代では、前髪がないことが大人としての一員として認められた証だったのです。今では、昔のように目立った通過儀礼が行われることはほぼありませんが、成人になる意味を自覚させるねらいが強かったのかもしれませんね。 なぜ、成人式で振袖を着るの? 晴れの日に着る振袖ですが、その風習が誕生したのは江戸時代のこと。実は袖の長い振袖を着るのは、当時の若い女性たちのトレンドだったから。そして、明治時代になると、振袖は未婚女性の正装に。男性から求愛されたときに、袖を左右に振ることが「OK」のサインだったといわれています。なんとも優雅ですね! 昔は現代と違って、結婚することが当たり前とされていましたから、成人の時点で未婚であることをアピールする印でもあったようです。また、袖を振る行為は「厄払い」の意味もあったことから、成人という門出に、身を清めるために振袖を着るという意味も込められていたようです。振袖は女性からのメッセージ 成人式発祥の地は、埼玉! 昔は20歳になる前に通過儀礼として行われていましたが、現在のような成人式の形式が定着したのは戦後のことでした。地域の成人が一堂に会す場を初めてつくったのは、埼玉県蕨市といわれています。 1946年に「青年祭」として行われた会は敗戦後の暗い雰囲気を打破するため、次代を担う青年たちに明るい希望をもたせようというねらいがありました。この主旨に賛同した全国の地域が続き、現在の成人式が定着したのです。 さらに、1949年には国民の祝日として制定されるまでに発展! なお、蕨市では当時の名残りから「成年式」の名のもとに開催されているとのことです。 ── 時代に合わせて変化してきた成人式。現代には、今の時代にあった成人式の形を新たに模索していくことも必要でしょう。 何より、新成人の方、おめでとうございます。大人としての第一歩を、明日は晴れやかに踏み出してくださいね!現代の成人式の形式は埼玉が発祥
tenki.jp 2019/01/13 00:00
かつてのガングロ女子の挑戦 岩手県に「センター街」を作りたい
かつてのガングロ女子の挑戦 岩手県に「センター街」を作りたい
かつて食堂だった古い一軒家を改装したオープンスペースでくつろぐ家冨万里さん。ここの運営にも関わっている(撮影/東川哲也) 【遠野醸造・代表取締役】太田睦さん(60)/早期退職後、シニアボランティアとしてアジアを巡った。東ティモールのコーヒー農園を参考に、持続可能で地域経済と共に成長するビール事業を構想している(撮影/写真部・東川哲也) 遠野だけでなく沿岸部の釜石にも、若い世代の起業家が集まっている。12月中旬、初めてメンバー同士の親睦会が行われた(撮影/写真部・東川哲也)  かつての「ガングロ女子」が過疎地に「センター街」を生み出す。地元産ホップを生かし、元研究者がクラフトビールの醸造所をつくる。観光客を呼び込むだけでなく確実にお金を生んで地域経済を回していけるような街こそ「持続可能な街」になる。 *  *  *  鈍色の空から霙(みぞれ)まじりの粉雪が降りだしてきた。岩手県の中部に位置し、古くから三陸沿岸へ通じる街道の宿場町として栄えた遠野市。昨今では2011年の東日本大震災で甚大な津波被害を受けた釜石、宮古、大槌など沿岸部で活動する災害ボランティアの後方基地となったことでも知られている。古くから「外」の人々を受け入れ続けてきた歴史のある山里が今、東北有数の「起業」の町として注目されている。  事の発端は16年、ポスト資本主義社会を掲げ、地域で活躍する起業家を支援する一般社団法人「Next CommonsLab」(NCL)という団体が、全国から公募した17人の起業家を遠野市に派遣したことだ。デザイナー、エンジニア、広告プロデューサー、料理人……。これまで地域活性化とは縁のなかった人々が、自らの経験と技術を持ち寄り、起業をめざした。ミッションは遠野の地域資源を活用した新たな「生業(なりわい)」を生むこと。現在、プロジェクトのサポート業務を担う事務局のスタッフとして活動している家冨万里さん(32)は、人口2万7191人(18年12月現在)、高齢化率38.7%の遠野に「センター街」を作りたいと自ら手を挙げた。  東京都大田区出身の家冨さんは、中学生の頃に壮絶ないじめを経験した。家族との折り合いがつかない時期が長く続き、思春期になっても、地元にも家庭にも自分の居場所を見つけることができなかった。入り浸ったのが若者の聖地・渋谷センター街。当時の女子高生の間では、髪の毛を金髪に脱色し、肌を黒くするという「ガングロ」ファッションが大流行。家冨さんも制服姿にガングロを決め込み、センター街をさまよい歩いた。 「親や世間が敷いたレールにはどうしても乗ることができない。自分が“普通”じゃないことは、よくわかっていました。そんな私にとってセンター街は唯一の居場所。ファッションはもとより、どんな生き方をしても受け入れてくれる場所に出会って、私らしく前を向いて生きていこうと、思えるようになったのです」  転機となったのは東日本大震災。大自然の脅威をまざまざと見せつけられた。地震によって物流が途絶え、コンビニから食料品が消え、大勢の人が帰宅難民に。東京という大都市の脆弱さを思い知った。家冨さんは移住を決断。住み慣れた東京を離れ、目指した土地が遠野だった。農業ボランティアや限界集落の支援に関わったのち、16年に「NCL」に出会う。  その後、家冨さんは、NCL事務局の仕事と並行して、遠野駅前の寂れた歓楽街「親不孝通り」の空き店舗を借り、「トマトとぶ」というユニークな名前のスナックをはじめた。 「誰でもふらっと立ち寄れて、お酒を飲んで一人になれる。肩書も何も必要とせず、それでいて、見知らぬ人同士がつながることができるスナックという場所が魅力的だったんです」  現在、家冨さんは遠野市中心部でNCLが運営するカフェと、元食堂だった古い一軒家を改装したオープンスペースの運営にも関わっている。いずれの場所も、地元の人と外からやってきた人との交流の場にもなっている。 「今は事務局の仕事が忙しく、スナックは閉めていますが、私が私らしくいられる場所という意味で、渋谷もスナックもコミュニティーカフェもつながっています。多様な生き方が尊重される居場所を遠野に作りたいんです」  NCLのプロジェクトがスタートして2年。3年間は遠野市の「地域おこし協力隊」の委嘱を受ける格好だが、すでに起業して地域の経済に根付いたプロジェクトもある。遠野産ホップを使ったクラフトビールの製造、販売を手がける遠野醸造の代表取締役・太田睦さん(60)は、元大手電機メーカーの研究者。第二の人生を目指すべく早期退職をして、新たな生業を探していた。そこでビール醸造家にならないかというNCLの募集に出合う。米国では小規模なクラフトビールの醸造所を「クラフト・ブルワリー」と呼ぶ。 「ビール醸造家への応募が最も人気が高かったのです。経験は不問でした。クラフトビールは誰でもつくれるし、コストを含め起業するには規模がちょうどいい。地元の原料を使うことが条件だったので、地域にも馴染みやすかったですね」  実は遠野は1963年から国内ホップを栽培する名産地。遠野市は以前から「ホップの里からビールの里へ」を合言葉に、遠野産ホップを使用したクラフトビールの誕生を待ち望んでいた。全く知識がなかった太田さんは、ビールの醸造を独学で学んだ。全国30カ所のブルワリーをめぐり、都内のビアパブで3カ月、接客の修業を経験。58歳で単身、川崎から遠野に移住。醸造免許を取得し、目指したのは、出来立てのビールをその場で飲めるパブを併設したコミュニティーブルワリーをオープンさせることだった。  18年5月、太田さんは遠野市内の元酒屋だった建物を改築し「TAPROOM」をオープン。共同経営者3人は、いずれもNCLで遠野にやってきたメンバーだ。開業資金は、自己資金と複数のベンチャーファンドを利用した。規模はおよそ2千万円。限られた資金の中で、いかに設備投資を下げるか。醸造に使う資材はネット通販で取り寄せ、自らDIYで作り上げた。公共交通機関に乏しく、自家用車での移動が不可欠の地方で、ビアパブを開設しても、果たして地元の客は来るのだろうか。 「全く根拠はなかったのですが、いけると直感で決めたんです。日本でもホップの産地でビールが飲めるのはここだけ。蓋をあけてみると、全国からビール愛好家が遠野に観光を兼ねてやってきてくれたのです。この冬を乗り切れば初年度は黒字です」  今、太田さんは、ビールを飲みに来てくれるホップの生産農家といっしょに、ある計画を練っている。それは、クラフトビールという資源を活用した「ビアツーリズム」だ。ホップ畑で収穫体験をし、出来立てのビールを味わって、地域の人々と交流する。日本では遠野でしかできない観光体験だ。 「消費だけの老後は過ごしたくないという思いで、ここまでやってきました。全くの素人が、予想もしなかったビール醸造家ですから。今は地域の経済の一部としてやっていけていることが、とにかく嬉しいです」 (編集部・中原一歩) ※AERA 2019年1月14日号
AERA 2019/01/11 08:00
吉田沙保里引退会見【全文】 結婚、参院選出馬も「なし」伊調パワハラ問題は「辛かった」
福井しほ 福井しほ
吉田沙保里引退会見【全文】 結婚、参院選出馬も「なし」伊調パワハラ問題は「辛かった」
引退会見を開いた吉田沙保里さん (撮影/大塚淳史) 吉田沙保里さんから報道陣に配られたプレゼントのハンカチ(撮影/大塚淳史) 母・幸代さんから花束を贈られた吉田沙保里さん(撮影/大塚淳史)  レスリング女子で五輪3連覇を達成し、現役引退を表明した吉田沙保里さん(36=至学館大職)が10日、都内で会見を開いた。 「自国で開催される東京オリンピックに出場したいという思いと、リオのオリンピックでは銀メダルで終わってしまい、たくさんの方に『また金メダルを目指してほしい』という声もいただき、日々迷いながらここまできました。また、若い選手たちの世界の舞台で活躍する姿を多く見るようになり、女子レスリングを引っ張っていってもらいたいという思いになりました。そして、改めて自分自身と向き合ったときに、レスリングはもうすべてやり尽くしたという思いが強く、引退する決断しました」  引退を決断したのは昨年12月の天皇杯だという。  また、天皇杯にはともにレスリング界をけん引してきた五輪4連覇の伊調馨(34=ALSOK)が出場。伊調馨選手については「東京五輪を目指すと馨の口から聞いた時に『すごいな……』と率直に思いました」と語った。  また伊調選手と吉田さんの恩師・栄和人元監督との間に起こったパワハラ問題についてもこう振り返った 「真実ではない報道もあったかもしれず、そういう中でコメントをすることはすごく難しかったです」  さらに、「これからどうしていくんだろうという思いも強かったですし。若い後輩たちが、それに悩まされて、思い切り練習できなかったり、試合で結果が出せなかっただろう部分もあったことが一番つらかったですね」と複雑な思いをにじませた。  吉田沙保里さんの一問一答は以下のとおり。 ――33年間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。ご挨拶をされて今、どのようなお気持ちでしょうか。  3歳から始めたレスリングを33年もやってこれたことに、本当に嬉しく思いますし、これまでたくさんの方に応援していただいて、この場を設けさせてもらって、感謝の気持ちを伝えることができてホッとしています。 ――決断をするにあたって、悩み、自身を見つめ直したと言いましたが、最終的な決断は。  リオのオリンピックが終わって、次は東京オリンピックだということは知っていたので、東京オリンピックに出たいという思いもありました。先程話した通り、リオは銀メダルで終わってしまって生前、父が「勝って終わることが大事だ」と言われていて、たくさんの方からも「金メダルを目指して東京オリンピックに出てほしい」という声をもらったとき、自分も頑張らないといけないかな、頑張ろうかなという思いもあり、すごく迷ってここまできたんですけども、本当に若い選手たちが世界で活躍する姿を見ることも多くなって、この子たちにバトンタッチしてもいいのかなと思ったり、練習をする中で若い子たちの勢いも感じましたし、やり尽くしたなという思いも強くなったので、最終的に去年12月の天皇杯の試合を見たりして、その辺から心は決まりましたね。 ――12月の天皇杯では解説者としてご覧になっていましたが、目の前で伊調馨選手が優勝して東京オリンピックについて話しました。心は動きませんでしたか。  私は昔から「自分は自分、人は人」と教えられてきたので、自分自身は「やり尽くした」「やりきった」という思いのほうが強かったので、そういうふうに心は動かなかったですけれど、伊調馨選手は素晴らしい選手で、ここまで仲間として頑張ってきたので、オリンピックを目指すと馨の口から聞いたときは素晴らしいなと思いました。 ――数々の功績を残しました。挙げればキリがありませんが、ロンドンオリンピックで3連覇を成し遂げました。あのときは直前のワールドカップで敗北し、「吉田選手は大丈夫だろうか」という周囲の不安も跳ね除けて勝利したオリンピックでした。「勝ったらお父さんを肩車するんだ」とお話されていて、見事に約束を果たしました。今回の引退については、天国のお父様にどう報告されたんでしょうか。  引退会見をするという風には、自分の父はずっと思っていなかったのでびっくりしているとは思いますが、こういう形で応援してくださった国民の皆さん、ファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えることは大事だと思うのでこういう場を設けさせていただきました。「よく頑張った」と天国から言ってくれていると思います。 ――次の夢は。  いろいろありますけれど……。レスリング一筋でここまできたので、レスリング以外のこともやっていきたいという思いは強いです。また、女性としての幸せを絶対につかみたいと思っています。来年の東京オリンピックでも、自国開催ということで盛り上げていけたらいいなという思いも強いです。 ――東京オリンピックではどのように。  今、オリンピックに向けて全日本もコーチ、選手たちが頑張っています。私も精神的な支えになったらいいなと思っています。 ――吉田沙保里選手にとってレスリングとは。  人生の一つですね。レスリングがなければここまでこれなかったし、こうしてたくさんの方に会えることもありませんでした。レスリングを通していろんな方に出会えた。レスリングのおかげだと思っています。 ――オリンピックに向けて頑張っている選手の支えにとのことですが、今後は指導者としての道をどのようにお考えですか。  コーチもたくさんいますので、その中でも、精神的な支えをできたらいいかなと思っています。 ――ナショナルコーチは続けられるのでしょうか。  はい。続けていきます。 ――全日本のセコンドに入ってほしいという声も聞かれますが。  コーチとして、私は経験が全然なくて、今まで頑張ってこられたコーチもいますし、迷惑をかけない程度に協力できればと思っています。 ――最後のオリンピックで戦った相手は吉田選手に憧れを持つヘレン・マルーリス選手ですが、どのような印象でしょうか。東京オリンピックでは「打倒ヘレン」で後輩の方も戦うのかなと思いますが、いかがですか。  ヘレン選手とはリオの決勝に当たる前から何度かやっています。それまでは、私のアテネの戦いを見て「私が吉田沙保里を倒す」と目標にしていたとマスコミの方から聞いていました。私は「絶対倒されないぞ」と思っていましたが、リオの決勝戦で4年ぶりに戦って、それまでは大差で勝っていたので「ヘレンが決勝に上がってきた」と思っていましたが、組んだときの圧力も本当にすごくて、ヘレンの方が勝ちたい気持ちが強かったのかなと思いました。本当に素晴らしい選手で、強くなったなと感じました。東京オリンピックに向けてまたヘレン選手も出てくると思います。やっぱり日本選手に勝ってほしいという気持ちはありますね。どういう戦いを見せてくれるか、すごく楽しみにしています。 ――長く現役選手を続ける中でレスリング選手以外で刺激を受けた方はいますか。  私がオリンピックに出たいと思ったきっかけの選手が柔道のヤワラちゃんと呼ばれた谷亮子選手でした。憧れて、中学1年生ぐらいからオリンピックで金メダルとりたいと思っていました。正式種目になる前から出たいと思い始めて、2004年のアテネから正式に決まりまして、出るために必死になっていました。  憧れの選手はヤワラちゃんだけかなと。素晴らしい選手はたくさんいますが、オリンピックに出場したいという気持ちにさせてくれたのはヤワラちゃんです。アテネ・オリンピックで初めて谷選手にお会いさせていただいて、金メダルを見せてもらった瞬間に嬉しくて「夢が叶った」と。  谷亮子選手は初日に試合が終わって金メダルをとられたので、私が選手村の部屋に押しかけて、そのときに金メダルを見せてもらって、写真を一緒に撮ってもらったんです。「谷亮子選手にあこがれてオリンピックを目指していました。お会いできて嬉しいです」というと、「話で聞いたことあるよ。頑張ってね」と金メダルを見せてくれて、それがパワーになって背中を押してもらえたのかなと思います。 ――谷亮子さんのお話が出ましたが、今年参議院選挙があります。吉田選手にもお声がかかると思うのですが、ご関心はございますか。  私は全然ありません。(要請があっても)お断りします。 ――吉田選手を語る上で栄和人元監督も外せない。引退を報告する際にどのようなことを言われましたか。  3歳から自分の父親に高校まで育てていただいて、大学に入ると同時に栄監督と出会いまして、ここまで世界で戦える、世界で活躍できる選手に育ててくれたのは栄監督だと思っています。情熱ある指導者で、自分の時間を割いてでも選手のことを考えてくれる指導者なので、感謝の気持ちでいっぱいです。ここまで育ててくれて今までありがとうございましたという強い思いがあります。引退を監督に言ったときは「そうか。ご苦労さん」という言葉をかけてくれたと同時に「俺が泣きそうだよ」と涙もろいところがあるので。ここまで育てていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。 ――引退を表明されたツイートには17個のメダルが載っていました。一番印象に残るメダルを挙げるとすればどれになりますか。  難しいですね……。でも、2002年の世界選手権からスタートして、16年のリオ・オリンピックまで世界の舞台で活躍することができました。どれも印象に残っていますが、負けた試合でも、負けた人の気持ちがよくわかった大会になりまして、世界V16で一番高い表彰台にのぼって「勝てて良かった」という気持ちしかなかったところが、リオのオリンピックで初めて2番目の表彰台に登ったときに「負けた人はこういう気持ちなんだ」と思えたし、「こうやって戦う、競い合う仲間がいたから頑張ってこれたんだ」と知ることができました。負けて得たものが私自身を成長させてくれたと思うので、リオのオリンピックの銀メダルが私的には一番成長させてくれたと思うので、思い出に残っています。 ――リオ大会の後の涙が非常に印象に残っています。「霊長類最強と言われていても、私のかわいい娘」というお母様の言葉がありました。引退について、お母様にはどのようなお話をされましたか。  母に伝えたとき、「あなたが決めたことだからそれでいいと思うよ。本当にごくろうさま」と声をかけてくれました。何でも話せる姉妹みたいな母なので、なんでも相談するんですけど、涙もなく笑顔で話せたことを嬉しく思います。私はすべてやり尽くしたということを言いました。 ――故郷・三重県への思いや地元の方へメッセージをお願いします。  18年間三重県で実家のほうでレスリングをずっと続けていく中で、地元の皆さんの応援というのは私の大きな励みになりましたし、背中を押していただけて頑張ることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。優勝するたび、故郷に帰るとたくさんの方が声をかけてくれて、みんなが親戚のように接してくれるので嬉しく思っていました。今まで応援していただいて、本当にありがとうございました。 ――レスリングのマットに最後に立ったのはいつでしょうか。また、マットにお別れは告げましたか。  まだ別れは告げていないですね。後輩たちと練習はしていますし、そういったところで別れを告げることはしていませんでした。現役選手としてしっかりマットにお別れを告げないといけないかなと思っています。でも、まだまだこれから後輩たちと共に汗を流していくと思いますので、まだ告げることもないかなと思いながら頑張っていきたいと思います。 ――今の女子レスリングがあるのは吉田沙保里選手のおかげだと思います。ですが、去年女子レスリング界が揺れました。どのようなお気持ちでしたか。  ここまで世界で活躍する選手に育ててくださった栄監督と共に戦ってきた仲間がああいう状況になってしまったことは本当にショックでした。真実ではない報道もあったかもしれませんが、そういった中でコメントをすることはすごく難しかったです。でも、こういうふうになってしまって、これからどうしていくのだろうという気持ちも強かったですし、若い後輩たちがそれに悩まされて思い切り練習できなかったり、試合で結果が出せなかったりという部分があったことが一番辛かったです。でも、もう次に向かって頑張っていくしかないと思うので、前を見て、東京オリンピックに向けて一つになって頑張っていかなければいけないかなと思っています。 ――ご自身が考える「吉田沙保里選手」の強さはなんですか。また、周囲の評価とご自身の思いに一致しないことはありましたか。  やっぱりタックルで攻めるというのが私の中の一番の強みでしたし、自信を持っていたところです。小さい頃から父に叩き込まれたタックルで相手を倒すということで、絶対的に自信を持っていました。期待されている部分はすごく感じていましたが、その期待が私のパワーになったり、期待されている分、頑張れたり。皆さんの期待がパワーになっていたので、それに応えるだけだと思っていました。 ――ご結婚のご予定はありますでしょうか。  ないです(笑い) ――吉田選手を目指して多くの子どもたちがレスリングを目指したり、他の目標を目指していると思います。何かメッセージをいただけましたら幸いです。  目標と夢は絶対に作って、あってほしいです。最後まで諦めない気持ち、頑張り続ける気持ちを大切にして、指導者の言うことを素直に聞いて、目標に向かって頑張るのみだと思います。ちっちゃい子たちに、頑張ってほしいなと思います。 ――長い現役生活の中で会心のタックルを決められたと思う選手はいますか。  ちょっと記憶にないです。タックル決めすぎていて……。でも、ヘレン選手が最後に戦った選手ですが、会心のタックルはできませんでした。なので、その前の選手ですかね。 ――今後、新たにチャレンジしたいことはなんですか。  私はけっこうバラエティが好きで、テレビにも出させていただいているんですけど、お笑いというか、とにかく笑って笑顔でいることが好きなので、キャスターというよりバラエティのほうが向いているのかなと自分では思っています。でも、色んなことに挑戦できればと思っています。でも、何かありましたらよろしくお願いいたします。 ――オリンピックの正式種目になる前からお父様と「いつか正式種目になるんだ」と目指してこられたと思います。これからは何に勝ち続けて、何に負けないようにしますか。  自分のやりたいことを一番大事にしながら。でも、自分の父は『人には迷惑をかけるな』と日頃言っていましたので、迷惑をかけないようにやりたいことをやりながら、見つけながらいきたいなと思っています。 ――芸人の江頭2:50さんが追いかけをしていましたが、意識していましたか。  毎回会場の映像を見たとき、全身金の格好をしていたりと目立つ格好をされていました。でも、戦っているときは気にはしなかったけれど、終わった後「江頭さんまた会場まで応援に来てくれていたんだ」と嬉しく思っていましたし、遠いところまで足を運んでくださったことは感謝しています。でも、意識はしていなかったです。北京オリンピックのとき、レスリング道場の前まで来てくださったことは覚えていて、そこで改めてすごく応援してくださっているんだと意識しました。 ――吉田選手の後継者は誰を指名しますか。  たくさんいますね。うちの道場の奥野春菜選手もいますし、向田真優選手もいます。自分の階級ではそういった選手になるのかなと思います。後は私を尊敬してくれている登坂絵莉選手もいます。いろんな選手が頑張っているので、みんなで頑張っていけたらなと思っています。 ――オリンピックの顔として活躍されてきましたが、オリンピックはどのようなものでしたか。  夢の舞台であるオリンピックに4度も出場することができて、自分の父はオリンピックを目指していたけれど出れなくて、兄もそうでした。私が4度も出させていただいたことを嬉しく思いますし、それも家族の支えが夢を大きく強く持たせてくれたので頑張れたのだと思っています。その4回で色んな方と出会うことができて、オリンピックで活躍することができたから今の私がいるのかなと思っています。 ――自分の体力の衰えなどを感じることはありましたか。  体力的にはそんなに落ちたかなという感じはなかったんですけど、年をとるにつれて体力が落ちる中で本気になったらという思いはありました。やっぱり気持ちの部分が追いつかない状態でやり尽くしたなという思いが強くなったので、決めました。 ――最初に引退を伝えたのはどなたで、どのような言葉を告げましたか。また、33年間大切にした言葉は。  最初に伝えたのは母です。「引退することに決めました」と。「ご苦労さん。あなたが決めたことだから」と言ってもらいました。ずっと大事にしてきた言葉は「夢追い人」。夢を追う人でありたい。そして、皆さんに伝えられるように、夢を追う人であってほしいと。大事にしてきました。 みなさん、本日は本当にありがとうございました。今までレスリングをはじめてマスコミの方に吉田沙保里を取材していただいてたくさんの報道をしていただいて知ってもらうこともできましたし、皆さんのおかげでレスリングを盛り上げていただくこと、知っていただくことができました。報道陣の皆様のおかげだと思います。そして、今まで吉田沙保里を応援してくださったファンの皆様、国民の皆様ありがとうございました。第2の人生も明るく元気に頑張っていきたいので、今後の吉田沙保里も応援してくださるとうれしいです。(AERA dot.編集部・福井しほ)
dot. 2019/01/10 16:25
「強くなるには恋愛以上の関係必要」日本陸連コーチにセクハラ疑惑
「強くなるには恋愛以上の関係必要」日本陸連コーチにセクハラ疑惑
※写真はイメージです(写真:gettyimages)  日本陸連のコーチが、高校の女子部員にセクハラを繰り返した疑いがある。アエラが得た証言や通信記録から、部員の母にまで愛人関係を迫る異常さが浮かぶ。 *  *  *  日本陸上競技連盟のオリンピック選手育成を目的としたU20(20歳未満)投てき部門コーチの秋本純男氏(43)が、教員を務める宮崎の高校で複数の女子陸上部員にセクシュアルハラスメント行為をしていた疑いが発覚した。被害者が本誌に語った証言によると、生徒に抱きついて局部を触ったり、LINEで執拗に好意を伝えたりしていたほか、生徒の母親にまで「愛人になれ」と迫っていたという。宮崎県教育委員会が調査に乗り出しており、東京五輪を間近に控えたスポーツ界に新たな激震が走りそうだ。  秋本氏は順天堂大学で砲丸投げ選手として活躍し、同大学院などを経て母校の宮崎工業高校の教員になった。顧問として同校陸上部を全国有数の強豪校に定着させた指導力が評価され、日本陸連では強化委員会強化育成部オリンピック強化スタッフに就任。2017年5月にタイのバンコクで開かれた第2回アジアユース陸上競技選手権大会にも役員として参加していた。  その秋本氏からセクハラ被害を受けていた現役の女子部員が12月初旬、本誌の取材に重い口を開いてくれた。 「1年生の入部当初から、秋本先生の自宅に頻繁に呼ばれ、Tシャツや靴などもよくもらいました。特に土日は『焼き肉するから泊まりに来い』と誘われました。同期の部員からは『お気に入りやねえ』とからかわれることもありましたが、指導者として尊敬していたし、奥さんや寮生もいたのでそれほど不思議には思っていませんでした」  秋本氏は妻と2人の子供と暮らす自宅の一部を女子寮として使っており、自宅が遠方で通えない部員を何人か預かっていた。秋本氏は部員に男女恋愛禁止を徹底させる一方で、女子部員にはことあるごとにこう話していたと言う。 <コーチと選手は恋愛以上の関係じゃないと強くなれない、勝てない。陸上の世界では当たり前のことだ>  女子部員が続ける。 「遠征の大会になると、ホテルの先生の部屋に呼ばれて、オイルを塗った手をTシャツの下から直接入れて肩甲骨のマッサージをされるようになりました。最初は普通のことなのかと思ってたけどだんだん嫌になって、大丈夫ですって断るんですけど、『やるぞ』とか半ば無理やりでした」  決定的な事件が起きたのは、夏の高校総体、遠征先のホテルでだった。午後11時ごろに全体ミーティングが終わったあと、女子部員は1人残るよう指示された。 「なぜか私が男の人と付き合っていて、セックスをしたみたいな噂が流れていると問い詰められました。本当に誰とも付き合っていなかったので否定していたのですが、あまりの執拗さに『付き合ってます。しました』と嘘をついたんです」  このとき、時計の針はすでに午前2時を指していた。 「私の言葉に、先生が『陸上やめていいぞ。帰っていいぞ』と言ったので立って帰ろうとしたらいきなり前から抱きしめられて。気持ち悪いので両手をブラーンとさせてたら、その手を取られて先生の腰に回されました」  何を勘違いしたのか、このあと秋本氏は、女子部員に直接的な表現で好意を告げるLINEを繰り返し送るようになった。 「会いたかった」 「もう来れないのか?」 「かわいい」 「大好きぞ」  それでも女子部員は親に訴えることができなかった。秋本氏が「親には言うなよ」「自分で責任を取れ」と厳しく指導していたためだ。(編集部・大平誠) ※「日本陸連コーチがセクハラか 部員も母親も狙われた…教え子が証言」へつづく ※AERA 12月31日-2019年1月7日合併号より抜粋
AERA 2019/01/10 11:30
「国民の中に入っていく皇室」の意図は? 次世代の思いを読み解く
「国民の中に入っていく皇室」の意図は? 次世代の思いを読み解く
皇居中心部の並木道「乾(いぬい)通り」が一般参賀以外で初めて公開された年は5日間で38万人が訪れた。「開かれた皇室」の表れの一つだ/2014年4月 (c)朝日新聞社 愛犬の「由莉(ゆり)」を連れて那須御用邸の敷地内を散策する皇太子ご一家。愛子さまは「那須の自然に触れるのが一番楽しみです」/2018年8月 (c)朝日新聞社 元赤坂の秋篠宮邸の庭で過ごす秋篠宮ご一家。悠仁さまについて秋篠宮さまは「自分の意見もはっきり言うようになったなという印象はある」/2018年11月(写真:宮内庁提供)  天皇陛下が昨年末、誕生日を前にした会見で何度も感極まり、言葉を詰まらせながら思いを語った姿は記憶に新しい。次世代の皇室は、その思いをどのように受け継いでいくのか。朝日新聞社会部の島康彦氏がレポートする。 *  *  *  2018年9月26日。皇太子さま(58)と雅子さま(55)は福岡県朝倉市の応急仮設住宅林田団地を訪れていた。17年7月の九州北部豪雨で、多くの死者・行方不明者を出した被災地。家を流されるなど、自宅に戻れない人たちが身を寄せていた。ここで、印象的な場面があった。  被災者の中に、車椅子で出迎えた古賀チトセさんがいた。当時97歳。自宅が全壊し、近くの介護施設で暮らしていた。皇太子ご夫妻は歩み寄ってしゃがみこみ、いたわるように目線を合わせた。「長生きしてくださいね」。古賀さんの手を両手で包むように握った雅子さま。その上から、皇太子さまもそっと手を添えた。  お二人が力を合わせるように手を重ねる姿は、天皇(85)、皇后(84)両陛下には見られなかった光景だ。側近の一人は「二人三脚で歩んでこられた、ご夫妻ならではのなさりようだろう」とみる。  国民の中に入っていく皇室──。  これは、皇太子さまが繰り返し語ってきた皇室像だ。  その意図について、皇太子さまは1996年の誕生日前会見で「国民が皇室に対して何を望んでいるか、何をして欲しいかということを認識すること」と語り、国民の声を聞いていきたいと語った。天皇陛下の「国民と共にある皇室」と類似する表現だが、さらに国民に近づこうという気概が感じられる。  だが、ご夫妻の歩みの中で国民との関係は必ずしも良好であり続けたわけではなかった。  元外交官として注目された雅子さまには、結婚当初から「それまでのキャリアが生かされていないのでは」との批判が根強く、適応障害の長期療養に入った後も「本当に病気なのか」との声まであがった。04年9月には皇太子さまが撮影した長女愛子さまのビデオ映像が公開された。皇族方のプライベートな映像公開は異例中の異例で、「発達に遅れがある」などの心ない見方に対するご夫妻の「反論」ととらえられた。  妻と娘を支える皇太子さまには、「マイホーム主義」と揶揄する向きもあった。一部のネットや週刊誌などでそうした見方が増幅されていった。当時の側近は、こう振り返る。 「ご一家は自分たちが正しく理解されていないと、殻の中に閉じこもっていた雰囲気だった。国民との窓口であるはずの私たちとも距離があったように思います」  好転の兆しが感じられたのは、13年4月末から5月にかけてのオランダ訪問だった。国王の即位式に臨むためで、雅子さまにとって11年ぶりの海外公務だった。  出席はなかなか決まらず、宮内庁の風岡典之長官(当時)が会見で「オランダ側への回答期限も大幅に過ぎ、一刻も早くお決めいただく必要がある」と苦言を呈す事態になった。結局、即位式まで2週間弱となってようやく正式決定されたが、「当日、東宮御所を出発するまでどうなるかわからない」(宮内庁関係者)綱渡り状態だったことが最近の取材でわかった。  雅子さまを後押ししたのが、オランダ王室だった。ベアトリックス前女王の夫だったクラウス殿下(故人)がうつ病を患った経験から、王室は雅子さまの置かれた境遇に理解を示し、06年にはご一家に静養先として離宮を提供した。オランダ国民からも温かく歓迎され、即位式に臨んだ雅子さまの表情はとても晴れやかだった。 ●「雅子さま頑張って」とエールが送られる逆転現象  もうひとつ、雅子さまの支えとなったのが、被災地の人たちだ。東日本大震災の発生後、ご夫妻は宮城、岩手、福島の被災地を繰り返し訪れ、一昨年までに3巡した。  両陛下やほかの皇族方の被災地訪問と違うのは、雅子さまを待ち受けた被災者たちから「頑張ってください」「応援しています」という激励の声があがることだ。本来は皇室の方々が励ますはずが、逆に雅子さまにエールが送られる逆転現象が起きる。  仙台市をご夫妻が見舞った際、涙ぐみながら「雅子さま、頑張って」と声を張り上げていた主婦がいた。宮城県は私の故郷。その主婦になぜ声を掛けたのか聞いてみた。主婦はこう答えた。 「病気の身をおしてきてくださったわけでしょう。お互いにつらい思いをしたからこそ、私たちとより通じ合えている気がするんです」  実際、雅子さまにとって、励ましの声が病気回復の糧になっているとも聞いた。ここ数年、雅子さまは公私ともに活動の幅を広げつつある。5月には皇太子さまの新天皇即位と同時に、新皇后となるが、雅子さまと親しい関係者は「妃殿下は多くの人たちに支えられて今があるとおっしゃっていた。これからは自分が恩返しする番だと思っていらっしゃるようです」と明かす。  即位が近づき、皇太子ご夫妻は折々に新しい時代の活動を話し合っているという。そこでキーワードとなるのが冒頭に挙げた「国民の中に入っていく皇室」だ。  18年6月26日夕、皇太子さまはお住まいのある東京・赤坂御用地で、リオデジャネイロパラリンピックの視覚障害者女子マラソン銀メダリスト、道下美里さん(41、三井住友海上)の伴走をした。  17年秋の園遊会で、道下さんが「機会があれば一緒に走りたいです」と伝えたことがきっかけで実現したものだ。皇太子さまは伴走用ロープを右手でにぎり、左手にロープをつかむ道下さんに声をかけながら約1.5キロの道を走った。伴走者としての声のかけ方、道下さんの走りの特徴などを動画サイトで調べて本番に臨んだといい、直接触れ合うことで理解を深めたいという思いの表れだった。  雅子さまも東京都内の学習院目白キャンパスで開かれる盲導犬の啓発ブースに毎年のように足を運び、視覚障害者と交流している。東京都世田谷区の児童養護施設「福音寮」を私的に訪れるなど、未来を担う子どもたちにも関心を寄せている。  天皇陛下は象徴として即位した初の天皇で、憲法に定められた国事行為だけでなく、全国各地をめぐるなど公的行為を積み上げてきた。皇太子さまは天皇陛下の活動を継承しつつ、「時代に即した新しい公務」を模索している。会見などではライフワークである水問題を柱の一つに挙げ、貧困や水をめぐる社会問題の解消、平和の実現に寄与したい考えを示している。  一方で、雅子さまの体調には依然として波があり、治療を担当する東宮職医師団も無理のない活動を勧めている。宮内庁は皇太子さま単独での活動、ご夫妻一緒での活動と、公務の整理をしている。 ●旧知の友人を訪ねるように、被災地へ身軽にお見舞い  新天皇となる皇太子さまを支えるのが、弟の秋篠宮さま(53)だ。  秋篠宮さまは代替わり後、皇位継承順位第1位の「皇嗣(こうし)」となる。皇太子さまの公務を引き継ぐことになるが、筆頭宮家として担ってきた活動や団体の役職が数多く、これまで通り続けるものと、新しいものとを抱えさらに多忙になりそうだ。  公的な活動を通じて国民の期待にこたえ、天皇陛下をお助けする──。皇族の役割について、秋篠宮さまは会見などでそんな認識を語ってきた。  特筆されるのが、東日本大震災でのお見舞い活動だ。地方訪問などで培った人脈を生かし、困っている場所を自分たちで探し求め、足を運んだ。11年5月には、東京から新幹線や車を乗り継いで約6時間かけて岩手県大槌町へ。旧知の友人を訪ねるように現地をまわった。長女眞子さま(27)、次女佳子さま(24)もボランティア活動に参加した。  同行者や警備が手厚い両陛下、皇太子ご一家と違って、最小限度のスタッフで動けることも強みだった。「多様な人々を結ぶコーディネーター」。秋篠宮さまは自身をそう評したという。  皇嗣妃殿下となる紀子さま(52)も、秋篠宮さまと一緒の公務のほか、単独での活動も目立つ。療養が続く雅子さまに代わり、日本赤十字社の名誉副総裁として各地での大会に出席。結核予防会の総裁としても精力的に活動し、昨年10月にはオランダ・ハーグで開かれた肺の健康世界会議で、国際結核肺疾患予防連合(本部・パリ)「名誉会員」の称号を授与された。王族や皇族の受賞は初めてという快挙だった。  お二人の活動が代替わり後どうなっていくのかは、まだ調整中だ。だが、ご夫妻はこれまで同様に身軽に動けることを望み、スタッフ・警備態勢も軽減したい意向だという。  次世代を担う唯一の男性皇族である長男悠仁さま(12)の「帝王教育」も注目される。皇族として戦後初めて、学習院初等科ではなく、お茶の水女子大学付属小学校で学んでいる。春には中学生になり、さらに教育体制の増強が図られる見通しだ。  13年5月、宮内庁は両陛下が長く続けてきた「こどもの日」と「敬老の日」にちなむ訪問について、15年以降は皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻に譲りたいという両陛下の意向を明らかにした。次期天皇、皇后である皇太子ご夫妻だけでなかった点に、今後の皇室は兄弟が力を合わせて担ってほしいという親心が感じ取れた。 ●誕生日前会見で口にした親心あふれるメッセージ  それに先立つ12年春からは、天皇陛下と皇太子さま、秋篠宮さまが月1回集まる定例懇談が始まった。天皇陛下が心臓手術を受けた時期で、皇后さまの発案で実現した。陛下が象徴天皇としての体験や考えを伝え、率直な意見が交わされている。  現在、男性皇族は皇太子さま、秋篠宮さま以外には、天皇陛下の弟で83歳と高齢の常陸宮さま、12歳の悠仁さましかいない。今後も新天皇、皇嗣のお二方にかかる比重は大きい。代替わりを控え、兄弟で話し合う機会も増えているという。 「皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います」  天皇として最後となった12月20日の誕生日前会見。天皇陛下は皇太子さま、秋篠宮さまへの思いを口にした。父として、親心あふれるメッセージだった。(朝日新聞社会部・島康彦) ※AERA 2019年1月14日号
皇室
AERA 2019/01/09 11:30
みやぞんの結婚観 「結局飽きたりしていくのかなと思うと、今はちょっと面倒くさいな」
松岡かすみ 松岡かすみ
みやぞんの結婚観 「結局飽きたりしていくのかなと思うと、今はちょっと面倒くさいな」
みやぞんさん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・大野洋介) みやぞん(ANZEN漫才)/1985年、東京都生まれ。2009年、保育園の幼なじみであるあらぽんと「ANZEN漫才」を結成。ギターを弾きながらの歌ネタやコントなどで注目され、16年に「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)でブレーク。17年、「かならず選挙に行く」でCDデビュー。18年8月、「24時間テレビ」(同)でトライアスロンに挑戦し、完走。趣味は野球、格闘技、ギター。(撮影/写真部・大野洋介)  多忙にも関わらず、毎日掃除や料理、そして犬の世話までしているというお笑いタレントのみやぞんさん(ANZEN漫才)。作家・林真理子さんが対談で、結婚への思い、そして意外な素顔まで、たっぷりうかがいました。 *  *  * 林:共演者の皆さんと飲みに行ったりすることはないんですか。 みやぞん:なかなかなくて、「とりあえず家に早く帰って犬の散歩をしないと」なんてことが先に来まして、「あ、まずい。4時間しか寝れない」とかって感じですから。朝6時台の新幹線に乗るとしても、犬の散歩をして、自分で髪の毛もつくるんで、その2時間前に起きるんですよ。 林:その髪形、ヘアメイクさんにやってもらうんじゃないんですか。 みやぞん:自分でやってます。毎朝1時間かけて。 林:えー! 楽屋でやったら? みやぞん:できなくはないんですけど、楽屋ではゆっくりしたいんですよ。ただでさえ僕、バタバタ系の人間なもんですから、楽屋に入ったときはフッと一息ついてお弁当食べて、これをやって、次はこれをやってという順番があって、それをやらないと気がすまないタイプなんです。 林:それを聞くと、おうちの中もきれいに片づいていそうですね。 みやぞん:きれいです。毎日掃除機かけてます。床も拭いて、お花も飾って。 林:まあ、お花も飾るんですか。 みやぞん:お花買いに行くのも楽しみで。お花がないと寂しいんです。 林:お料理も自分でするんですか。 みやぞん:スーパーで買ってきたものにちょっと一工夫して、ごはんを炊いて食べるというぐらいで、料理っていう料理はしないですね。例えばうどんなら、うどんを茹でまして、サラダをのせまして、ツナとコーンが入った缶詰みたいなのをポンとのせまして、マヨネーズをかけて、めんつゆをかけて「サラダうどんだよ~」なんていうのは、これは料理ですかね? 林:立派な料理ですよ。 みやぞん:そうですか。それなら料理やってますね(笑)。 林:男の人の一人暮らしでそこまでできれば素晴らしいです。犬は何を飼ってらっしゃるんですか。 みやぞん:うちはビーグルみたいな犬です。捨てられてたワンちゃんなんですよ。 林 ビーグル犬が捨てられてたんですか。 みやぞん:いや、本当にビーグルかどうかは、本人にしかわかんないんですよ(笑)。友達が埼玉の工場で働いてまして、そこに捨てられてたんです。とりあえず命だけ救ってあげられたらいいかな、という安易な考えで拾ったんです。今となっては可愛いですよ。 林:そうなんですか。忙しいから、犬の散歩が大変でしょう。 みやぞん:散歩って、わりと嫌いじゃないんですよね。妙な息抜きというか。ウンチとオシッコをしてくれたらホッとするんですよ。「ああ、してくれた。じゃ仕事でちょっと夜が遅くなっても大丈夫かな」とか。 林:ワンコの世話もして、料理ができてきれい好きだったら、お嫁さんいらないじゃないですか。 みやぞん:そうですねえ。今はそうかもしれないですねえ。 林:お笑いの人で、女優さんや女子アナとか、とんでもない美人をお嫁さんにする人がけっこういますけど、今のみやぞんさんの人気だったら、思いのままでしょう。 みやぞん:そんなことないですよ。僕の顔、見てくださいよ(笑)。 林:可愛いですよ。オバサンに言われてもうれしくないだろうけど(笑)。でも「みやぞんさんの笑顔、大好きです」とかいうファンレター、多いんじゃないですか。 みやぞん:あります。ありがたいですよ。でも、つき合ったり結婚したりというのは別モンですもんね。ご結婚されてるんですか? 林:はい、してます。 みやぞん:今もずっと好きなんですか、相手の方。 林:そ、そんなには……(笑)。 みやぞん:でしょう? どんなに素敵な方と出会っても、結局そうなるじゃないですか。 林:でも、楽しいこともあるからサ。 みやぞん:もちろんいいところもあるでしょうけど、どんなにきれいな人とつき合おうが、結局飽きたりしていくのかなと思うと、今はそれちょっと面倒くさいな、という感じがするんですよね。 林:今、33歳でしたっけ。まだ早いのかもしれないですね。 (構成/本誌・松岡かすみ) ※週刊朝日  2019年1月4‐11日合併号より抜粋
林真理子
週刊朝日 2019/01/07 11:30
なでしこジャパンFW・菅澤優衣香が語る2019年 宝塚の男役も顔負けの“男前”ぶり
なでしこジャパンFW・菅澤優衣香が語る2019年 宝塚の男役も顔負けの“男前”ぶり
18年のアジア大会の試合終了間際、決勝ゴールを決めた菅澤優衣香選手(背番号9)と喜ぶ日本の選手たち (c)朝日新聞社 「女性が憧れる」かっこよさがある菅澤優衣香選手(撮影/工藤早春)  2019年は、女子サッカーワールドカップ(W杯)が、フランス・パリで6月7日~7月7日に開かれる。男子サッカー日本代表の「サムライ・ブルー」は18年のW杯でベスト16に進出し、予想以上に活躍。「なでしこジャパン」には、それ以上の成果が期待される。  なでしこの「切り札」として期待されているのが、攻撃の中心FWの菅澤優衣香選手。3歳からサッカーを始め、09年に日本女子代表に初選出された。所属チームは浦和レッドダイヤモンズレディース。18年のアジア大会(ジャカルタ)の決勝では、後半残り3分で値千金のヘディングシュートを決め、優勝に貢献した。 「ここで決めないなら、いつ決めるんだという時間帯に出ていって決められたので、ほっとしました。決勝ゴールを決めてから、街中でも話しかけられるようになりました」  でも、浮かれた様子はない。なでしこは、アジアトップで満足するわけにはいかないからだ。 「やっぱりワールドカップやオリンピックで優勝することが義務というか、期待されていると感じます」  澤穂希が主将として率いたチームが11年のW杯で優勝してからというもの、目標は常に優勝。12年ロンドン五輪では銀、15年W杯は準優勝と結果を残しているが、2位ではなくトップになることへのプレッシャーは大きい。菅澤選手にとって今年は2度目のW杯だ。 「2回続けての銀は許されないと思っています」  代表チームでの役割は、アジア大会でも途中から出場したように、「ここぞというときの切り札」。点を取るのが仕事のFWというポジションは、人を押しのけてでもシュートをするイメージがあるが、「自分の考えは少し違う」と話す。 「周囲を生かすことが、自分を生かすことになる。体格的に恵まれている欧米の選手と違って、日本人はお互いに生かし合う、パスをつないでいくようなサッカーが向いている。自分のいいところだけでなく、周囲の選手と補い合って、点を決めたい」  田中美南や岩渕真奈らなでしこリーグではライバルの選手たちも、代表で一緒になれば、心強い味方になる。なでしこならではの、緻密(ちみつ)な戦術を実行するのに重要なのがメンタル。菅澤選手は「試合で緊張したことは1回もない」というハートが自慢だ。  相手のDFの一瞬のすきを突くような身のこなしも強み。屈強な外国人選手のプレーも参考にして、ハードな“当たり”も、ものともしない。茶髪のショートカットに細身の外見。宝塚の男役を思わせる「女性が憧れる」かっこよさがある。 「それ、よく言われます。ご年配の方や女性のファンが多いんです(笑)」  と、本人も認めるように、思わず「男前!」と言いたくなる雰囲気だ。19年の決意を語る目はりりしい。 「ワールドカップの優勝です。まずは代表に選ばれないと。下の世代も優秀な選手が多いので、競争は激しくなっています。けがをしないように気を付けて、いつ出番が来てもいいように準備したい」  得意のヘディングシュートは本番でも炸裂(さくれつ)するのか。なでしこのプレーから目が離せない。(本誌・工藤早春) ※週刊朝日オンライン限定記事
週刊朝日 2019/01/04 16:00
多摩川「タマちゃん」、レッサーパンダ「風太」、イケメンゴリラ「シャバーニ」、秋田犬「ゆめ」今どうしている?【平成30年史・動物編】
福井しほ 福井しほ
多摩川「タマちゃん」、レッサーパンダ「風太」、イケメンゴリラ「シャバーニ」、秋田犬「ゆめ」今どうしている?【平成30年史・動物編】
多摩川に突如現れたアゴヒゲアザラシのタマちゃん (c)朝日新聞社 「子、丑、寅、卯……」と、指を折りながら干支を数え始めてみたものの、なかなか最後までたどり着かない……。実は、そんな人もいるのでは? そう、12番目に数えられる「亥年」になりました。そう考えると、十二支が何かと話題に上る年末年始は一年で一番“動物”を意識する季節かもしれない。  そういえば、東京・多摩川に出没したアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」はどこへ行ったのだろう。フィギュアスケートのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬「マサル」が贈られたが、7年前にプーチン大統領にプレゼントされた「ゆめ」はどうしているのだろう。二本脚で立ち上がるレッサーパンダ「風太」は今いくつ? イケメンゴリラ「シャバーニ」はまだ女性を魅了しているの? 平成をともに生きる動物たちを振り返る。 ■アザラシブームの立役者 タマちゃんの今 お気に入りのボートのデッキでくつろぐタマちゃん(c)朝日新聞社  ボートにこてんと横たわったり、川面からひょっこり顔を出したり。真ん丸の瞳に柔らかく垂れたヒゲがあまりに愛らしく、一気に“国民的アイドル”のスターダムを駆け上がったのが、2002年8月7日、多摩川に突如現れた「タマちゃん」だ。野生のアゴヒゲアザラシにもかかわらず、都市部を流れる川に現れたことで話題騒然。同年の流行語大賞に選ばれ、2003年には横浜市西区から「特別住民票」が与えられるなど、一大ブームを巻き起こした。  当時、体長約1メートルで、1歳前後だったタマちゃん。アザラシの本来の生息地域は北極付近だが、東京湾に迷いついたとみられている。  タマちゃんが最後に姿を見せたのは2004年4月、荒川だった。当時、タマちゃんを観察するために発足した「タマちゃんを見守る会」は、15年経った今も変わらず活動を続けている。昨年10月には横浜で写真展を開催。たった2日間で200人ほど集めた。 2002年秋、再び姿を現したタマちゃんと見られるアゴヒゲアザラシ (c)朝日新聞社  最盛期には約200人いた「見守る会」の登録者も、10数人になった。タマちゃんが消えた今も、全国のアザラシ目撃情報や趣味の野鳥観察の報告会などを定期的に開いているという。  タマちゃんは今、どこで何をしているのだろうか。 「アザラシの目撃情報は年2、3件ありますが、大人のアザラシが東京湾などに寄り付く可能性は低いです。仮に現れたとしても、タマちゃんだと特定するのは難しい。今は東京湾を出て、オホーツク海のほうにいるのではないでしょうか」(同会の藤田智明さん)  再びタマちゃんに会える可能性は限りなく低そうだ。でも、きっとどこかでひょっこり顔を出しているよね。 ■わずか3日で姿をくらませたワモンアザラシ「ウタちゃん」 わずか3日で姿をくらませたワモンアザラシのウタちゃんはいずこ… (c)朝日新聞社  多摩川のタマちゃんが話題になった1カ月後、今度は宮城県本吉郡歌津町(現・南三陸町)の伊里前川にワモンアザラシが現れた。歌津町にちなんで「ウタちゃん」と名付けられ、タマちゃん同様に全国で話題となったが、わずか3日で姿をくらませてしまった。 ■SNSで大ブレイク! イケメンゴリラ「シャバーニ」 「イケメン顔」で女性を魅了した東山動植物園のシャバーニ(同園提供)  ゴリラとイケメン。一見相いれないように思える組み合わせで見事にブレイクを果たしたのが東山動植物園のニシローランドゴリラ「シャバーニ」だ。2015年春ごろ、SNSに投稿された写真に「イケメンすぎる」の声が殺到。昭和の銀幕スターを彷彿とさせる鋭い流し目が女子のハートをわしづかみにした。 “シャバーニブレイク”がきっかけで、来園者数は増加。2014年度の年間来園者数227万人から、翌年は258万人に。鳥インフルエンザ発症年の2016年は240万人にとどまったが、2017年には260万人を突破した。県外からの来園者も増え、同園はゴリラ効果でウホウホならぬウハウハだ。 ケーキを食べようと背を向けるシャバーニ (c)朝日新聞社  同園ではシャバーニの貢献に敬意を表し、ブレイク年から2年連続で誕生日会を実施している。20歳を迎えた2016年度は平日にも関わらず600人のファンや報道陣が詰めかけ、同園担当者も「ゴリラ舎前は足の踏み場がなくなるほどの大渋滞」と言い、さらに、 「シャバーニ本人は人気が出たことは分からないと思いますが、昨年9月にオープンした新ゴリラ舎は3カ月経った今も女性を中心にたくさんの人で混雑する人気ぶりです。のびのびと暮らすシャバーニのイケメンたる所以を、ぜひ生で見て感じてください!」  と鼻息が荒い。2018年に発表された同園の人気投票では「ゾウ」「コアラ」を押しのけ、「ゴリラ」が46年ぶりに首位を奪還した。平成きってのイケメンゴリラはまだまだ話題を呼びそうだ。 ■二本の後ろ脚で立つと話題の「風太」も15歳に! 雪がちらつく中にひょっこり顔を出す風太(千葉市動物公園提供)  2005年ごろ、二本の後ろ脚で立ち上がり、動物園職員からご飯をもらう姿がキュートすぎると話題になったレッサーパンダの「風太」は今も千葉市動物公園で元気に過ごしている。昨年7月15日には15歳の誕生日を迎えた。同日には「風太15歳誕生祭」も開かれ、多くのファンに囲まれ祝福を受けた。  レッサーパンダの15歳は人間に換算すると、70歳ほど。話題を呼んだ当時はまだ2歳だった風太にも今や10頭の子ども、39頭の孫、17頭のひ孫、4頭の玄孫がいるという。昨年6月には右目の白内障を発症したものの、それ以外の健康状態は良好。朝昼晩3食をしっかり摂り、眠ったり毛づくろいをしたりとのんびり暮らしている。 「70代と聞くと、年を取った感じがして『あと数年でいなくなるのか』と尋ねられることも。ですが、最近のレッサーパンダの寿命は延びていて、20年過ぎても元気に過ごす事例も複数あります」(飼育担当の濱田昌平さん) 15歳になっても変わらず健脚の風太 (c)朝日新聞社  エサにつられてすっくと立ちあがる健脚は変わらない。平成が終わっても、まだまだ元気でね。 ■日露交渉の“キードッグ”? 秋田犬の「マサル」と「ゆめ」 甘えたさん? ザギトワ選手を舐めるマサル (c)朝日新聞社  平成最後に話題をさらった犬といえば、ロシアを代表するフィギュアスケートの女王、アリーナ・ザギトワ選手に贈られた秋田犬「マサル」だろう。2018年平昌五輪前の合宿中、雑誌で見た秋田犬に一目ぼれ。母親におねだりしたことがきっかけでプレゼントが決まった。2018年5月にロシアへ旅立ったマサルはザギトワ選手のインスタグラムにも登場。昨年9月2日には「ベスト-デイ-オフ」と日本語で書かれたマサルとの2ショット写真が投稿され、大自然をバックに嬉しそうに舌を出すマサルの姿をお披露目。「まさるちゃん嬉しそう\(^o^)/」「信頼と親愛が見える写真」といったコメントが殺到した。 2014年2月 ソチ郊外の大統領公邸で秋田犬「ゆめ」と安倍首相を出迎えるプーチン大統領 (c)朝日新聞社  ロシアと秋田犬といえば、プーチン大統領に贈られた「ゆめ」(雌)の存在感も大きい。2012年に東日本大震災支援へのお礼としてプレゼントされたゆめ。日露友好の懸け橋になるようにという願いを背負い、遠く離れたロシアへと旅立った。2014年2月の日露首脳会談ではプーチン大統領とともに安倍晋三首相を出迎え、2017年に発売されたプーチン大統領のグラビアカレンダーにも登場した。日本政府がゆめのお婿さんを贈呈したいとロシアに打診したが、断られて以降、動向は明らかになっていないが、元気に走り回っていると信じたい。 ■猫ブームの火付け役? スーパー駅長「たま」 駅帽をかぶるたま駅長 (c)朝日新聞社  和歌山電鉄貴志川線で猫が駅長に就任したのは今からおよそ12年前の2007年。無人駅で不在だった駅長にメス猫「たま」が抜擢された。同駅の売店で飼われていた「たま」の駅長就任は絶大なPRにもつながり、たま効果で利用客も増加。功績が評価されわずか1年で「駅長」から「スーパー駅長」に昇進した。その後、2010年には執行役員に昇格。2013年には「社長代理」へと大出世を果たした。普段は駅長帽がトレードマークだが、クリスマスにはサンタ帽をかぶったり、「犯罪撲滅1日大使」任命時には警察の制服と帽子を着こなした。 点灯スイッチを押すたま駅長(右)とニタマ駅長 (c)朝日新聞社  駅長に就任して8年が経った2015年、たまの訃報が届く。急性心不全だった。駅には献花台が置かれ、社葬には3000人のファンが集まりその死を悼んだ。今もたまは「名誉永久駅長」として名を残し、同駅ではたまの“部下”だった「ニタマ」が2世駅長として活躍している。 ■シャンシャン見たさに長蛇の列! 写真集も多数発売  2017年6月、東京・上野動物園でパンダの赤ちゃん「シャンシャン」が誕生。昨年6月12日の誕生日には、1歳になったシャンシャンを祝おうと大勢のファンが詰めかけ、150分以上待ちの長蛇の列をつくった。 ジャイアントパンダの赤ちゃん、シャンシャン(左)と母親のシンシン (c)朝日新聞社  関連書籍やカレンダーも続々発売され、『こんにちは! シャンシャン』(宝島社)、『あそぼ! シャンシャン』(朝日新聞出版)、『こっちむいてシャンシャン!』(エイ出版社)など呼びかけるようなタイトルが印象的だ。  2018年12月10日からは母親のシンシンと離れ、“一人暮らし”が始まった。25日のクリスマスも一人で笹の葉を食べて過ごし、「クリぼっち満喫」報道が出るなどまだまだ注目を集めている。まるくてふわふわした愛らしい姿から、少しずつ大人に近づくシャンシャンから目が離せない。 (文/AERA dot.編集部・福井しほ)
平成史
dot. 2019/01/04 11:30
紀平梨花VSザギトワ、4回転の新星たち続々でフィギュア女子は戦国時代
紀平梨花VSザギトワ、4回転の新星たち続々でフィギュア女子は戦国時代
笑顔の紀平梨花とアリーナ・ザギトワ (c)朝日新聞社 期待の新人、三原舞依 (c)朝日新聞社  2018年のフィギュアスケート女子は、平昌オリンピックでロシアのアリーナ・ザギトワの15歳(当時)で優勝という衝撃に始まり、その後は「日本vsロシア」の争いとなった1年だった。2019年もフィギュア女子界は続々と新星が出てくる「日本vsロシア」の構図の戦国時代となっていきそうだ。  日本、ロシア、2018年末の同時期に行われたフィギュアスケートの国内選手権で、女子シングルスの結果が驚きを呼んだ。  日本では、坂本花織(18)が、紀平梨花(16)や宮原知子(20)を破って優勝した。特に、紀平は直前にあったグランプリ(GP)ファイナルで優勝して勢いに乗っていただけに、坂本の優勝は意外と見られた。  一方、ロシアでは恐るべき結果が。平昌五輪の金メダリスト、アリーナ・ザギトワ(16)が5位に沈み、ジュニア世代が表彰台を独占した。さらに今シーズン不調とはいえ、エフゲニア・メドベージェワは7位の結果に終わり、衝撃が走った。  表彰台に上がったのは、1位アンナ・シェルバコワ、2位アレクサンドラ・トルソワ、3位アリョーナ・コストルナヤ。それぞれ14歳、14歳、15歳とジュニア世代の選手たち。シェルバコワやトルソワは4回転ジャンプが跳べることで注目はされるなど、いずれシニアで活躍すると見られていた。しかしながら、いきなり女王ザギトワをやぶり、それも3人と、ロシアの選手層の厚さを見せつけた。  日本でもロシアでも、次々と有力選手が現れており、2018年12月のGPファイナルでは出場6選手のを日本とロシアで占めた。19年3月に埼玉で行われる世界選手権でも同じく「日本vsロシア」の構図になるのではないかと言われている。ただ、年齢制限もあり、ロシアの新星シェルバコワとトルソワは出てこないが、ザギトワは出場の見込み。さらに、ロシア選手権を肺炎で欠場したが、GPファイナル3位の実力者エリザベータ・トゥクタミシェワ(22)も選ばれるのではと現地で報道されている。  スポーツライターの折山淑美さんは、全日本選手権の結果に驚いたという。 「紀平はGPファイナルの優勝という結果とか、トリプルアクセル(3A)という武器を持っているから、優勝の可能性はあるなとは思いましたが、坂本の優勝にはびっくりしました。点数も228まで伸ばすとは。今までよりも大きなジャンプをしていましたし、堂々と滑っていたので加点も多かった。そういうのもジャッジに定着してきたなと思います」  坂本や紀平に次いで3位となった宮原についても評価する。 「まだジャンプを変えている段階。平昌五輪を終えてから始めたから、そうそう簡単に変えられる訳ではない中でも、きっちり結果を出している」(折山さん)  一方で、元フィギュアスケート日本代表の渡部絵美さんは、4位の三原舞依(19)の演技を評価する。 「三原選手は残念ながら4位でしたが、非常に上手かった。彼女のような、ノーミスで綺麗に最後まで演じきれる方が、私個人としては好きですので、上位選手がジャンプの失敗とかあった中で、4位という結果は少し可哀想ですね。彼女はオールラウンドに、綺麗に滑ることができます」  地元開催の世界選手権で日本勢が表彰台を独占できるか。ロシア国内の1位、2位は不出場であり、ザギトワもやや不調。大いにチャンスはあると期待したいところ。しかし、折山さんは、ザギトワが再び這い上がってくると見る。 「五輪の翌シーズンで休養する選手もいたり、日本とロシア以外に有力選手はおらず、確かにチャンスはあるかもしれません。しかし、(不調と言われる)ザギトワは身長も伸びた影響や、今シーズン(2018・19年シーズン)から(演技する)プログラムを新しくし、まだ完成していないだけ。これまでと違った構成に慣れていないだけではないでしょうか。ジャンプなど一つ一つを見れば、きっちり跳べています。世界選手権まで復調する可能性は高いです。あと、本来みっちりトレーニングすべき夏とかに、五輪チャンピオンとしてバラエティ番組とか出ていて、練習する時間がなかったのでしょう」  折山さんはもう一つ、興味深い見解を示した。 「もしかしたら、(19年3月の)世界選手権が、紀平が世界女王になる最後のチャンスかもしれません。(台頭してきている)ロシアのジュニア世代の選手たちが来シーズン(19・20年シーズン)からシニアに上がってきて、4回転ジャンプをバンバン跳び、さらに現時点ではまだ高くはない演技のファイブコンポーネンツ(構成点)を高めたら、日本の選手たちにとって難しくなるでしょう。彼女たちの4回転ジャンプは本数が違います。もはや男子並みの構成になっています」  紀平もすでに練習では4回転ジャンプに取り組み始めているという。ロシア選手たちの4回転ジャンプだけでなく、紀平の3Aでの躍進もあり、「他の選手たちも4回転や3Aをやらなくちゃ、世界のトップに立てないという意識に変わっているはず」(折山さん)という。  だが、女子選手には成長期に伴う体型変化への対応も、重要な要素だ。元フィギュアスケート日本代表の安藤美姫さんは15歳の頃は4回転ジャンプを跳んでいたが、成長期による体型変化の影響からか、17、8歳になってジャンプに苦しんだ。また、ロシアのトゥクタミシェワが、過去に同様の経験をし、今シーズン数年ぶりに復活を見せたところだ。 「ロシアのジュニアの子たちが来年も飛べるかというと、やはり体の変化はこれからあるでしょうし、比較的不確定要素です。ただし、あれだけジャンプが跳べていますし、日本の選手たちはやっていかないといけないでしょう」  男子はすでに20年以上前から4回転ジャンプ時代に突入していたが、その波がついに押し寄せてくる。紀平たち日本の選手たちも挑戦していかざるをえないのか。渡部さんは心配する。 「大技が本当にこのスケート界にとって必要なのでしょうか。他のところで差をつけるとかにしていかないと選手がつぶれてしまう。良い選手たちが消えていきます。個人的な意見ですが、紀平や阪本がそこを無理して挑戦する必要はないと思います。大技を挑戦する前に、今持ってるものを磨いて、スピンやステップを磨いていき、点数を稼げますし勝てる可能性があると思います」  それでも一度上がってしまったハードルが、下がることはないだろう。紀平たちにとっては大変な時代である。(本誌・大塚淳史) ※週刊朝日オンライン限定記事
フィギュアスケート
週刊朝日 2019/01/02 11:30
風疹流行、五輪ボランティア募集、秋篠宮さまの発言が話題に…11月のニュースをおさらい!
風疹流行、五輪ボランティア募集、秋篠宮さまの発言が話題に…11月のニュースをおさらい!
ボランティア募集を告知するチラシが配布された (c)朝日新聞社 秋篠宮さま (c)朝日新聞社  毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で、11月のニュースをおさらい! あなたはいくつ覚えてますか? *  *  * ■1日(木) <日本の核廃絶決議案、国連で160カ国賛成し採択>  国連総会の第1委員会(軍縮・安全保障)は、日本が主導して25年連続で提出した核兵器廃絶決議案を採決し、160カ国の賛成で採択した。ただ、2017年7月採択の核兵器禁止条約には昨年に続いて言及しなかったため、多くの条約推進国が棄権。 <辺野古工事を再開>  米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、防衛省沖縄防衛局は、辺野古沿岸部の埋め立てに向けた工事を再開した。県が8月末に埋め立て承認を撤回し工事は止まっていたが、10月31日に国が撤回の効力を停止し、翌日、再開に踏み切った。 ■2日(金) <入管法改正案、閣議決定>  政府は閣議で、外国人労働者の受け入れを拡大するため、新在留資格「特定技能」の創設を盛り込んだ出入国管理法の改正案を決定した。これまで医師や弁護士など「高度な専門人材」に限ってきた外国人の就労資格を単純労働にも広げる政策転換になる。改正案は衆院を通過し、28日に参院審議入り。野党が反対する中、政府は2019年4月の施行を目指す。 ■3日(土) <ホークス日本一 2年連続>  プロ野球の日本シリーズは、パ・リーグ2位のソフトバンクがセ・リーグ覇者の広島に4勝1敗1分けとなり、2年連続の日本一に輝いた。 ■4日(日) <村上春樹さん、資料を母校早大へ>  作家の村上春樹さんは、自筆の原稿や書簡、レコードなどの所蔵資料を母校の早稲田大学に寄贈すると発表した。早大は将来的に、村上文学の研究センターをキャンパス内につくることを目指す。 ■5日(月) <スバル、国に報告後も不正 10万台リコール>  スバルはブレーキなど安全性能の出荷前検査で見つかった不正について、2018年1~10月に国内向けに製造した全乗用車約10万台のリコールを、国土交通省に追加で届け出ると発表。不正報告以降も不正が続いていた。 ■6日(火) <対立激化か 米中間選挙で下院は民主党勝利>  トランプ米大統領の任期前半の信任が問われた中間選挙が投開票され、連邦議会下院では野党・民主党が票を伸ばし、8年ぶりに過半数を奪還した。一方で、上院は与党・共和党が現有よりも議席を伸ばし、上下院で多数派が異なる「ねじれ議会」となる。トランプ氏と下院の対立は激化する見通し。 <風疹、2020年まで流行の恐れ>  首都圏を中心に風疹が流行している。国立感染症研究所がこの日発表した、直近1週間(10月22~28日)の患者数は8週連続で100人を超え、2018年に入り1692人に上った。専門家は、「対策をうたないと、東京五輪の20年まで感染が続くことも」と懸念する。 ■7日(水) <アメリカで銃撃、12人死亡>  この日の午後11時20分ごろ、米ロサンゼルス市北西にあるサウザンドオークス市のバーで銃による襲撃があり、12人が死亡した。地元警察の発表によると、銃を撃った28歳の元海兵隊員の男も、現場で死亡した。 <東京医大、「本来は合格」101人>  東京医科大学の不正入試問題で、林由起子学長は記者会見し、2017年度と18年度で計101人(男子34人、女子67人)を、本来は合格ラインに達していたのに不合格としていたと発表した。 ■8日(木) <山火事、アメリカで25万人が避難>  米カリフォルニア州の3カ所で大規模な山火事が発生し、これまでに25万人が避難を余儀なくされた。州当局は、北部と南部で緊急事態を宣言し、米政府にも緊急援助を要請した。25日には、発生から2週間余りでようやく鎮火。山火事全体で死者は91人に上った。 ■9日(金) <iPS細胞による移植 脳へは初めて>  京都大学はヒトのiPS細胞からつくった神経細胞を、パーキンソン病の患者の脳に移植したと発表した。第三者のiPS細胞からつくった細胞を患者に移植したのは目の難病に続くものだが、脳への移植は世界で初めて。 ■10日(土) <16歳紀平梨花選手、初GPでV>  フィギュアスケートのGPシリーズ第4戦のNHK杯女子フリーで、16歳の紀平梨花選手がSP5位からの逆転優勝を果たした。日本勢のGPシリーズデビュー戦での優勝は初めて。フランス杯でも連続優勝した。 <大学共通テスト、試行調査2回目>  大学入試センター試験に代わり、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の2回目の試行調査が始まった。2年後の「本番」を想定し2日間行われ、1回目の試行調査で問題となった正答率の低さなどの解消を目指す。 ■12日(月) <スーチー氏への授賞取り消し>  国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問に授与した「良心の大使賞」を取り消すと発表した。ロヒンギャへの迫害や、言論の自由の弾圧などを許しているのが理由のようだ。 <大谷翔平選手、二刀流で新人王>  大リーグの新人王が発表され、ア・リーグでは投打「二刀流」の大谷翔平選手(エンゼルス)が選ばれた。日本選手としては、イチロー選手(マリナーズ)以来、17年ぶり4人目。 ■14日(水) <北方領土返還交渉は「2島先行」軸に>  安倍晋三首相はシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意した。56年宣言は平和条約締結後にソ連が歯舞群島、色丹島の2島を日本に引き渡すと明記している。日本政府は従来、国後、択捉の2島も含めた北方四島の一括返還を求めていたが、今後は2島先行返還を軸に進める方針。ロシア側が懸念する、返還後の2島に米軍基地を置かないことも会談で伝えた。 ■18日(日) <APEC、首脳宣言断念>  日本や米国、中国など21カ国・地域が参加し、17日からパプアニューギニアで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議がこの日、閉幕。米中が互いの通商政策をめぐって対立し、首脳宣言の採択を初めて断念する異例の事態となった。 ■19日(月) <学童保育、国の基準撤廃へ>  共働き家庭などの小学生が放課後を過ごす「学童保育」(放課後児童クラブ)について、政府は2019年度から職員の配置や資格の基準を事実上、撤廃することを決めた。 <日産ゴーン会長逮捕>  東京地検特捜部は、日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者と同社代表取締役グレッグ・ケリー容疑者を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。22日に、日産は横浜市の本社で臨時取締役会を開き、ゴーン容疑者の会長職を解任し、代表権を外すことを全会一致で決めた。 <自衛隊に「宇宙部隊」 宇宙ゴミ・衛星監視>  防衛省は、「宇宙部隊」を新たに設ける方針を固めた。部隊は「宇宙ゴミ」(スペースデブリ)と呼ばれる人工衛星やロケットの残骸のほか、他国の不審な衛星などを監視。 ■21日(水) <ボランティア応募、募集の8万人突破 東京五輪・パラ>  2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、競技会場や選手村などで活動する大会ボランティアへの応募者が、募集していた8万人を突破したと発表した。日本国籍を持つ人の応募が56%で、日本国籍以外の人の応募も44%あった。 ■23日(金) <2025年、大阪万博>  2025年国際博覧会(万博)が大阪市で開催されることが決まった。博覧会国際事務局(BIE)の総会がパリで開かれ、BIE加盟国(170カ国)の代表による2度の投票で、日本がロシアとアゼルバイジャンを抑えた。 ■25日(日) <EU、英離脱協定合意>  欧州連合(EU)は、臨時の首脳会議を開き、2019年3月に英国がEUを離脱する条件を定めた協定などで正式合意した。EU史上、加盟国の離脱が正式に認められるのは初めてで、第2次世界大戦後に政治、経済的な統合を深めた欧州には大きな節目となる。 <貴景勝、初V>  大相撲九州場所千秋楽、東小結貴景勝(本名・佐藤貴信)が13勝2敗で初優勝した。消滅した貴乃花部屋に所属していたが、千賀ノ浦部屋に移籍して最初の場所での初優勝となった。 ■30日金 <秋篠宮さま「大嘗祭への公費支出」に疑義>  秋篠宮さまがこの日53歳の誕生日を迎えるのを前に記者会見し、天皇の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭」について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と述べ、政府は公費支出すべきではないとの考えを示した。また、婚約が「内定」している長女の眞子さまについて、相手家族の金銭トラブルが報じられたことで結婚準備が暗礁に乗り上げていることを認め、現状では婚約はできないと語った。 【キーワード:出入国管理法】 正式名称は、出入国管理及び難民認定法。日本に出入国するすべての人の公正な管理、外国人の在留手続き、難民の認定などについて定める法律。介護分野の人材不足解消のため、外国人の受け入れを拡大する目的などで、これまでも同法は改正を重ねてきた。 【キーワード:中間選挙】 4年ごとにある米国の大統領選挙の中間の年に、米議会の下院議員(任期2年)の全員と上院議員(任期6年)の3分の1を改選する選挙。現職大統領の2年間の政治に対する国民の評価を意味し、次の大統領選挙の動向を予測することでも注目される。 【キーワード:ロヒンギャ】 仏教徒が9割近いミャンマーで少数派のイスラム教徒。西部ラカイン州を中心に約100万人が暮らすとされる。隣国バングラデシュ南東部の方言に似た言語を話すことや宗教から、ミャンマー政府や国民は「バングラデシュ移民」とみなし、多くは国籍を持てないなど差別されてきた。 【キーワード:大嘗祭】 新たに即位した天皇が1代に1度限り行う重要な儀式。稲作農業を中心とした古代社会の収穫儀礼に根ざしたもので、7世紀の天武天皇の大嘗祭が最初とされる。今回は2019年11月14、15日に予定。このために皇居・東御苑に大嘗宮(前回は建設費約14億円)が新設され、儀式後に解体・撤去される。 ※月刊ジュニアエラ 2019年1月号より
ジュニアエラ朝日新聞出版の本皇室読書
AERA with Kids+ 2018/12/31 11:30
週刊誌AERAの名物企画「一行コピー」 2018年の名作・迷作を一挙公開!
週刊誌AERAの名物企画「一行コピー」 2018年の名作・迷作を一挙公開!
AERA 2018年12月31日-1月7日合併号の一行コピー  2018年に創刊30周年を迎えたアエラにとって一行コピーは「看板」の一つ。4月から伝統のたすきを引き継ぎ、日々その重みをかみ締めながら……。って、ダジャレ考えてるだけですけど。肩の力抜いて、行きましょう! 昨年1年間の一行コピーを一挙紹介する。 *  *  * シャンシャン紹介。 ●2018年1月1・8日合併号/上野動物園でパンダの赤ちゃんシャンシャンがお披露目。その愛らしさに日本中が熱狂 宇野に結弦ん刑っ事。 ●1月15日号/平昌五輪の男子フィギュア代表は羽生結弦、宇野昌磨、田中刑事の3選手。羽生と宇野のワンツーフィニッシュに期待が高まった ユウシもこれまで。 ●1月22日号/メガバンクが相次いでリストラ策を発表。フィンテックの急成長で従来のビジネスモデルは限界か、とささやかれ始めた サイキン怖いよね。 ●1月29日号/抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が話題に。抗菌薬がトイレから下水に流れ、下水処理場で多くの耐性菌が生まれるという シンヤまでご苦労様です。 ●2月5日号/京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長が、研究所の助教がデータを捏造していたと発表。信憑性に疑義があるとの情報を受け徹底的に内部調査し、公表した NEMれぬ日々。 ●2月12日号/仮想通貨取引所のコインチェックから、時価総額580億円分の仮想通貨「NEM」が不正流出。様々な仮想通貨が暴落するなどパニックに 金はユヅれない。 ●2月19日号/平昌五輪の男子フィギュアの本番直前。「ぶっつけ本番」でケガからの復帰を目指す羽生結弦選手に注目が集まった ピョン(チ)ャン五輪? ●2月26日号/熱戦が続いた平昌(ピョンチャン)五輪では、女子アイスホッケーで韓国と北朝鮮が合同チームを結成するなど平壌(ピョンヤン)の影も目立った すべらない五輪。 ●3月5日号/誰が聞いても、何度聞いても面白いのがすべらない話。誰が見ても、何度見ても感動するのが羽生結弦の五輪連覇 サイリョーの結末。 ●3月12日号/特集で西郷隆盛、坂本龍馬らの子孫が座談会。「西郷隆盛の命日にみんなで鹿児島へ」と意気投合 強いぞカミラ。 ●3月19日号/チャールズ皇太子のカミラ夫人が、ハリー王子の婚約者メーガンさんをランチに招待。行っても行かなくても、おっかなそう 罪務完了。 ●3月26日号/森友学園問題で、財務省が公文書を改竄。「安倍政権崩壊の序章」「総裁選3選はなくなった」と言われたものの…… 承認関門。 ●4月2日号/森友学園問題を巡る財務省の公文書改竄で、キーパーソンとみられた財務省の佐川宣寿・前国税庁長官。安倍政権にとって大きな関門とも思われたが、佐川氏はほとんどの質問に答えず 背反地検? ●4月9日号/公文書改竄問題で逃げ切りを図る財務省。地検は政権の意向を忖度せず立件に動くのか、それとも 日報再発見。 ●4月16日号/廃棄した、と公表していた南スーダンPKOの実態を記録した防衛省の日報が省内で「発見」。当時政権が否定した宿営地への攻撃などもしっかり記載 首相の気持ちを計算省? ●4月23日号/経産省出身の柳瀬唯夫・元首相秘書官が「(加計学園は)首相案件だ」と発言していたと愛媛県職員が記録。本人は否定し、「究極のヒラメ官僚」と呼ばれた エロばれし官僚。 ●4月30日・5月7日合併号/福田淳一事務次官が、会食の席で女性記者に卑猥な発言をしたことが、録音でばれてしまう。「おっぱい触っていい?」「手を縛っていい?」 仙台に凱旋だい。 ●5月14日号/平昌五輪金メダルの羽生結弦選手が、仙台市中心部で凱旋パレード。詰めかけた10万人超が「SEIMEIポーズ」に熱狂 よっ、会ってました! ●5月21日号/安倍首相が頑として認めなかった加計学園理事長との面会が、愛媛県の文書に記録されていた。その場で「獣医大学の考えはいいね」と発言した、とも きっとキムは来ない? ●5月28日号/トランプ大統領と金正恩委員長の会談に向けた協議は一進一退の展開。金委員長、ほんとは来る気がないのでは、という声も 日大フットぶ。 ●6月4日号/日本大学アメフト部のタックル問題で、選手に責任を押しつける内田正人前監督に批判殺到。表舞台に出ない理事長の態度もあって日大全体への批判が高まった ボク知らない閣。 ●6月11日号/「記憶にございません」であらゆる疑惑をやり過ごす安倍内閣。「朝ご飯食べた?」「食べてない……パンは食べたけど」の「ご飯論法」も話題に カンヌ無量。 ●6月18日号/是枝裕和監督の「万引き家族」がカンヌ国際映画祭でパルムドール獲得。樹木希林さんはアエラに「ヌードより恥ずかしい姿を世界にさらしたの」と裏話を語った キム・ドナの名演技。 ●6月25日号/ドナルド・トランプ大統領と金正恩委員長が世紀の会談。数カ月前まで鋭く対立していた二人が手を取り合い、仲むつまじく語り合う姿に世界が驚いた 勝つってシンジてた? ●7月2日号/サッカーW杯が開幕。下馬評はイマイチだった日本代表は、新エース香川真司の活躍などでコロンビアから金星を挙げ列島が興奮の渦に 負けるが価値。 ●7月9日号/1次リーグ最後のポーランド戦、勝利を捨てて0-1で敗れ、決勝トーナメントを勝ち取った。賛否は分かれたが、日本のスポーツ史に残る一戦に 復活の大スケーター。 ●7月16日号/ソチ五輪銅メダリストの?橋大輔が4年のブランク、32歳の年齢を乗り越え現役復帰。羽生結弦との新旧エース対決の実現に期待が高まった 「骨」肉の争い。 ●7月23日号/オウム真理教元代表・松本智津夫元死刑囚の遺骨を巡り、四女と「妻・三女陣営」が激しく対立。上祐史浩氏がアエラ誌上でその内幕を解説した 日本「熱」島。 ●7月30日号/全国で40度超が頻発する記録的な猛暑の中、西日本豪雨の被災地ではボランティア活動が本格化。アエラ記者も住宅から土砂を取り除いた しっかりおまモリヤス。 ●8月6日号/サッカー日本代表の新監督は「ポイチ」こと森保一氏に。組織的で堅実な守備を重視するタイプだが、J1広島時代にその守備が崩壊したのは気になるところ そして誰も出なくなった? ●8月13・20日合併号/自民党総裁選、岸田文雄氏は出馬見送り、野田聖子氏はスキャンダルで断念。えっ、結局ポスト安倍は安倍さんだけだったりして? 女性蔑試。 ●8月27日号/女性受験者を一律減点していた東京医大。卒業生の香山リカさんが独占インタビューで母校が抱える深すぎる病巣を厳しく指摘した カナアシまないで。 ●9月3日号/吉田輝星率いる金足農業が夏の甲子園で準優勝。最後は力尽きたけれど、その雄姿は忘れない。だから悲しむな、胸を張れ! さンキューらももこ。 ●9月10日号/「まるちゃん」が逝った。いくら何でも早すぎた。でも、あなたの作品はずっと残ってる。だからさよならじゃなく、ありがとう 大学行くヒマないってー。 ●9月17日号/経団連会長が就活ルール廃止に言及。いい会社の内定取るには大学2年生から、いや1年生から就活しなきゃ。それってなんか変じゃない? We can celebrate! ●9月24日号/安室奈美恵さんが引退、そしてテニスの大坂なおみ選手が全米オープン初優勝の快挙。Can you celebrate? イエス、オフコース!! 最期までキリんッと。 ●10月1日号/死の直前まで女優業を貫いた樹木希林さん。6月のアエラインタビューでは最新作について「その話はまた今度ね」と話していた 羽New! ●10月8日号/羽生結弦が黒を基調にした新コスチューム、憧れのプルシェンコも使った曲による新プログラムを披露。新生・羽生が降臨! おっさんず内閣。 ●10月15日号/女性閣僚が1人だけって、ウソでしょ? とあの人気ドラマの春田さんも驚いたとか、驚かなかったとか Ready, ボウゲン。 ●10月22日号/第4次安倍改造内閣が発足。アエラは片山さつき氏、桜田義孝氏ら「問題閣僚」の暴言、失言をいち早く予測。改めて振り返ると、ほぼ予言です 消費ゼイゼイ。 ●10月29日号/安倍内閣が19年10月に消費税を10%に引き上げると正式決定。高い買い物は早めにしとかなきゃ。でも先立つものが…… 選び方は、あなた私大。 ●11月5日号/有名私立大学の偏差値に表れない実力を読み解く特集。学生を育てる独自の手法、教員1人あたりの学生数など最新データを紹介 逆転しちゃウノ。 ●11月12日号/宇野昌磨のGPシリーズ初戦、ショートプログラムで3回転半を転倒したものの「頭から落ちてもいいから絶対回る」と闘争本能に火がつき優勝 就職戦線仁義なし。 ●11月19日号/就活の協定がなくなったら、新卒と中途組がライバルに? 学生時代からビジネスセンスを問われる近未来の就活を特集 乗り遅れ、ゲンキン? ●11月26日号/電子マネーを使えば消費増税時にポイント還元と政府はあおるけど、「怖いから現金がいい」という声も。キャッシュレスのお得と怖さを特集 む!ゴーン、 クロっぽい。 ●12月3日号/目と目で通じ合う。そういう仲に見えたゴーン氏と日産。だが事件発覚の裏には内通者の存在があったという。蜜月だったはずの両者に何が? 別れルノー? ●12月10日号/ゴーン会長逮捕の背景に、ルノーによる支配を嫌う日産側の意向が働いたとの見方が強まる。三菱を含む3社の関係に秋風の気配が フレディかっくいーン! ●12月17日号/伝説のロックバンドQUEENの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」にかつてのロック少年・少女たちが熱狂。武勇伝、満載です 怒り、仏仏と。 ●12月24日号/反政府デモがフランス全土に拡大。富裕層を優遇するマクロン政権に対し、黄色いベストを着た市民たちの怒りが爆発した (編集部・上栗崇) ※AERA 2018年12月31日-2019年1月7日合併号
AERA 2018/12/30 10:00
張本智和が急成長 最年少Vに導いた「新しい指導スタイル」とは?
島沢優子 島沢優子
張本智和が急成長 最年少Vに導いた「新しい指導スタイル」とは?
写真:gettyimages  卓球男子シングルスの張本智和が、格上の中国選手を倒し15歳で世界を制した。彼を急成長させたのは、両親の教えと卓球界全体の改革だ。 *  *  *  韓国・仁川(インチョン)で12月16日に開催された卓球のワールドツアー年間王者を決めるグランドファイナル男子シングルス決勝。世界ランキング5位の張本智和(15)が、同4位の林高遠(リンガオユエン=中国)を撃破し大会史上最年少で優勝した。張本は、自信に満ちた顔で、さらなる先を見つめた。 「東京五輪は世界ランク1位で迎えたいです」  2017年6月の世界選手権は当時ランク69位ながら8強入り。準々決勝で中国のトップ選手に敗れ「あと1、2年あれば勝てる」と悔しがった。その言葉通り有言実行の成長を見せ、19年1月には世界ランク3位に浮上する見通しだ。日本男子としては水谷隼(29)の4位を上回り、過去最高位となる。  このように、わずか1年半でスピード成長した源は何なのか。多くの卓球関係者が口を揃えるのはこれだ。 「両親が素晴らしい」  かつて世界選手権中国代表だった母・凌(りん)と、中国の国体男子ダブルスで3位になったことのある父・宇(ゆ)。ともに元選手で指導者のため、厳しい英才教育を想像しがちだが、子どもを追い込むようなスパルタではない。  母親は少し前まで智和について、こう話していた。 「卓球で生きていかなくていい。とにかく勉強してほしい」  小学1年生から学習塾、3年生から英語塾へ。勉強ができた智和は楽しそうに通った。 「お母さんは僕が卓球で勝つより、テストで100点のほうが喜ぶ」  父親によれば、中国も学歴社会。一人っ子政策は終わったが、子どもは両親と祖父母6人から愛情を注がれる「六つの財布を持つ小皇帝」と言われ、親の過保護は社会問題だ。  それゆえなのか、張本家ではわが子を卓球選手にする以上に「自分で物事を考えられる自立した大人にする」という大局的な見地に立つことを優先してきた。週末に大会で賞状やトロフィーを持ち帰ってきても、慢心しないよう気を配った。週明けに学校へ行く智和に向かって父親はこう戒めたという。 「威張ってはいけない。小学校ではチャンピオンじゃないよ」  練習環境を整え、知性を磨く。15歳の大躍進を支える二つの柱は、実はニッポン卓球界全体が目指してきたものでもある。  01年から12歳以下のナショナルチームを結成し育成改革に着手した。一番の目的はバックハンドの強化だ。長くフォアハンドを武器にしてきた日本の弱点であり、中国に追い付くには小学生から強化する必要があった。  さらに大会や合宿のたびに、指導者や保護者が子どもとペアで参加する講習会を実施。内容は体罰問題や栄養指導にまで及んだ。これらをメール通達やサイトにアップして終わらせる競技団体が多いなか、日本卓球協会はそうしなかった。「自立させる」「主体性を育む」といった新しい指導スタイルも浸透させた。JOCの関係者も評価する。 「どの競技も指導者教育に苦労しているが、卓球界は早くから指導者や保護者の研修に着手した。そこが画期的」  とはいえ、育成に注力すれば、成人チームに投入される予算が減る。01年の世界選手権で男子団体は13位と低迷していたが、卓球協会は目先の勝利より未来を優先。この1期生に水谷がいた。彼らに託したバトンが選手の底上げへとつながった。今回のグランドファイナルでは、女子でもダブルスで早田ひな(18)・伊藤美誠(18)組が優勝した。  卓球界の改革が始まった後の03年に生まれた張本は、バックハンドの技術を両親から直伝で教えられた。試合中のタイム時もコーチの話を聞くだけでなく「こうしたい」と意見を述べるなど、自立心も強い。  東京五輪の時、張本は17歳。世界ランク1位で追われる姿を見てみたい。(文中敬称略)(ライター・島沢優子) ※AERA 2018年12月31日号-2019年1月7日合併号
AERA 2018/12/26 17:00
安室、タッキーの引退にお騒がせ事件も 2018年芸能界を振り返り!
安室、タッキーの引退にお騒がせ事件も 2018年芸能界を振り返り!
日本テレビ系「news zero」のメインキャスターに就任した有働由美子さん(左)、ドラマ「おっさんずラブ」に主演した田中圭さん (c)朝日新聞社 2018年に注目された人 【芸能】 (週刊朝日 2018年12月28日号より) 2018年に注目された人 【芸能】 (週刊朝日 2018年12月28日号より)  2018年は芸能界では転機をむかえた人が多かった。  有働由美子アナはNHKを退局し、日本テレビ系「news zero」のメインキャスターに。ビートたけしや小泉今日子は事務所から独立した。たけしのオフィス北野からの独立は、たけし軍団にも大きく影響を与え、水道橋博士は過労と蓄積疲労のため当面の休養を発表した。 「博士はいろんなことを多面的に考える人ですから。本当は敬愛するたけしさんについていきたかったかもしれませんが、そうもいかない。様々な葛藤はあったでしょう」  と、芸能ジャーナリストの佐々木博之さんは言う。  小室哲哉や小林麻耶の引退に加え、タッキー&翼の解散と滝沢秀明の年内での芸能活動からの引退も衝撃だった。  引退と言えばやはり安室奈美恵。ラストドームツアーを収録したDVD&ブルーレイは、音楽映像作品初の100万枚を超える売り上げに。ラストライブのチケットはプレミア化し入手困難に。「ダサかっこいい」という言葉とともに、再ブレークしたのは「DA PUMP」。16年ぶりの紅白歌合戦出場も果たし、リーダーのISSAは「自分以外のメンバーにとっては初めての紅白」と語った。  音楽ではデビュー曲が80万枚超の大ヒットになった「King & Prince」、ダウンロード数170万超の米津玄師が台風の目。ベテランの沢田研二はコンサートのドタキャンで改めて注目された。韓国の男性7人組グループ「BTS(防弾少年団)」は、メンバーが過去に原爆投下のTシャツを着ていたことなどで批判され、11月の東京ドームのステージでメンバーが謝罪した。  テレビドラマでは、「おっさんずラブ」の注目度が高かった。出演した田中圭と林遣都はともに本誌の表紙に登場。映画化も決まり、人気はいまも続く。  お騒がせだったのが、強制わいせつ容疑で書類送検されたTOKIO元メンバーの山口達也と、飲酒ひき逃げ事故を起こし逮捕された「モーニング娘。」元メンバーの吉澤ひとみ。どちらも国民的人気アイドルグループに所属したメンバーだったが、芸能界を引退した。  お笑い界ではブレークしたくっきーや、「チコちゃん」の中の人として知名度を上げた木村祐一がいる。  両親から受け継いだオーラをまとい鮮烈にデビューしたKoki,。来年春には第1子が生まれる予定の前田敦子・勝地涼夫妻ら、2019年も注目されそうな人たちも下記の一覧に入っている。 ・安室奈美恵……惜しまれながら9月に引退。喪失感に襲われるファンが続出し、「安室ロス」という言葉も出現。 ・ビートたけし……3月末でオフィス北野から独立。事務所社長との確執や、たけし軍団の処遇などが大きな話題に。 ・小泉今日子……2月、1982年のデビュー以来所属したバーニングから独立。同時に俳優の豊原功補との恋愛関係も公表した。 ・舘ひろし……主演作「終わった人」により国際映画祭の最優秀男優賞を受賞。「ハズキルーペ」のCMも話題に。 ・菊川怜……「ハズキルーペ」のCMで渡辺謙と共演。そのパロディーとしてソフトバンクのCMにも起用された。 ・田中圭……テレビ朝日系ドラマ「おっさんずラブ」の主人公で人気上昇。ドラマ「獣になれない私たち」や映画「スマホを落としただけなのに」でも熱演。 ・林遣都……「おっさんずラブ」の主人公の後輩役で注目された。田中圭とのキスシーンも。ドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」では若手弁護士を演じた。 ・小室哲哉……不倫報道を受け、会見により音楽活動からの引退を発表した。「おわびと同時に、僕なりにこの騒動のけじめとして引退を決意した」 ・タッキー&翼……滝沢秀明は表舞台から退き後進の指導やプロデュース活動へ。今井翼は事務所を退所しメニエール病の治療に専念。 ・DA PUMP……最新曲「U.S.A.」が“ダサかっこいい”と大ヒット。再ブレークを果たし、レコード大賞ノミネートや久しぶりの紅白歌合戦出場も。 ・米津玄師……3月リリースの「Lemon」は、累計ダウンロード数が170万を突破し、今年最大のヒット曲のひとつに。MTV音楽アワードで最優秀ビデオ賞も受賞。 ・King & Prince……ジャニーズ事務所から4年ぶりとなるCDデビュー。デビュー曲「シンデレラガール」は初週で57万枚を突破する大ヒットに。紅白歌合戦初出場。 ・松井珠理奈……今年のAKB48選抜総選挙で念願の1位を獲得。しかしその直後、「体調不良」により活動を休止。総選挙の結果を受けたシングルは、センター不在でのリリースという異例の事態に。 ・前田敦子……俳優の勝地涼と7月に交際半年足らずでスピード婚。9月には第1子の妊娠を発表。 ・石原さとみ……エンタメ系のウェブサービス「SHOWROOM」の前田裕二社長との交際が発覚。 ・Koki, ……木村拓哉と工藤静香の次女。「ELLE JAPON」でのモデルデビューが大きな話題に。11月には映画出演未経験にもかかわらず映画賞を受賞。 ・有働由美子……3月にNHKを退局後、10月から日本テレビ系「news zero」のメインキャスターに。「私、世の中がいろいろ動いていて、何が正しいのか、それからどういう価値観でニュースを見ていったらいいのかに、正直、自信がありません」。視聴率で苦戦が伝えられるが巻き返しなるか。 ・小林麻耶……フリーアナウンサーで、妹は昨年亡くなった小林麻央さん。結婚し8月に芸能界を引退したが、オフィシャルブログは現在も継続中で夫との画像も公開。 ・木村祐一……NHKのクイズバラエティー「チコちゃんに叱られる!」で、着ぐるみとCGを融合させた5歳の女の子キャラの声を演じる。毒舌と突っ込みが持ち味。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」 ・くっきー……お笑いコンビ野性爆弾・くっきー。白塗りモノマネや、怪物的な存在感で茶の間の人気者に。こわもてな雰囲気だが、芸術面での才能も評価される。 ・ガンバレルーヤ……よしことまひるの女性お笑いコンビ。体当たり芸などで人気を拡大、群雄割拠の女性芸人界で一躍売れっ子の仲間入り。よしこが病気療養のため一時休養し、復帰。 ・久保田かずのぶ……お笑いコンビ「とろサーモン」を村田秀亮と結成。若手漫才の日本一決定戦「M-1グランプリ2017」で優勝している。18年のM-1審査員を務めたタレントの上沼恵美子に対し、お笑いコンビ「スーパーマラドーナ」の武智とともに批判。後に謝罪した。 ・沢田研二……10月のさいたまスーパーアリーナでのコンサートを、集客不足を理由にドタキャン。賛否両論を呼んだが、70歳を超えても衰えぬ歌手としての意気込みには評価する声も。 ・三山ひろし……演歌歌手。「いごっそ魂」が大ヒット。「2018 年間 USEN HITランキング」の「演歌/歌謡曲」部門1位に。紅白歌合戦に4年連続出場。コンサートの余興で始めたけん玉が特技で、指導員の資格を持つ。 ・吉澤ひとみ……「モーニング娘。」元メンバーで、9月に都内で起こした飲酒ひき逃げ事故により逮捕。懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けた。芸能界からの引退表明。 ・山口達也……アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー。女子高校生に対する強制わいせつの疑いで4月に書類送検(不起訴処分)。所属するジャニーズ事務所は契約を解除。TOKIOは4人で活動継続。 ・BTS(防弾少年団)……韓国の男性7人組ヒップホップグループ。米ニューヨークの国連本部で世界の若者に向けスピーチをした。メンバーが過去に原爆投下時の様子を印刷したTシャツを着ていたことや、ナチス親衛隊を想起させる服装でライブをしたことでは謝罪。 ※週刊朝日  2018年12月28日号より抜粋
週刊朝日 2018/12/25 06:30
2018年は良くも悪くも“当たり年” スポーツ界33人を総ざらい
2018年は良くも悪くも“当たり年” スポーツ界33人を総ざらい
平昌冬季五輪カーリング女子で銅メダルを獲得したLS北見の選手たち (c)朝日新聞社 2018年に注目された人 【スポーツ】 (週刊朝日 2018年12月28日号より) 2018年に注目された人 【スポーツ】 (週刊朝日 2018年12月28日号より)  2018年はスポーツの当たり年だった。時計の針を2月に戻してみよう。  1点リードの第10エンド。藤澤五月の一投がはずれる。もうダメか──。  カーリング女子のメンバー5人はもちろん、日本の多くのファンが、英国の最後の一投を見守った。2点取られたら負けだ。だがここで、英国がまさかの失投。歓喜と落胆が交じる大きなどよめきが響いた。  日本の銅メダルが確定した瞬間だ。日本勢のカーリングでのメダルは男女を通じて初めてだった。LS北見の5人は国民的な人気者になり、「そだねー」「もぐもぐタイム」といった流行語も生まれた。  平昌五輪は「盛り上がりそうにない」という前評判をはね返し、お茶の間でも注目された。フィギュアスケートでは、羽生結弦が五輪2連覇、初出場の宇野昌磨も銀。女子はスピードスケートでメダルを量産した。小平奈緒、高木菜那・美帆の姉妹が個人で計5メダル。団体追い抜きで金。ノルディックスキー・ジャンプ女子でも高梨沙羅が念願の初メダルを獲得した。  6~7月のサッカーW杯ロシア大会。こちらも前評判を覆し、日本代表は1次リーグを突破した。決勝トーナメントのベルギー戦でも2点を先行。逆転負けを喫したものの、世界に一目置かれる戦いぶりだった。「大迫、半端ないって」が流行語になった大迫勇也ら次世代のヒーローも誕生した。  今年の夏は例年以上に“熱かった”。甲子園100回記念大会。総入場者数は史上最多の101万5千人を記録した。 「東北初の優勝旗を取りたい。公立高校、農業高校の代表として、勇気づけられるような戦いをしたい」  秋田・金足農のエース吉田輝星は勝つたびにそう語った。逆転3点本塁打やサヨナラ2点スクイズなどで「金農旋風」を巻き起こし、決勝へ。頂点に立ったのは大阪桐蔭。史上初となる2度目の春夏連覇で、このチームからは4人がドラフト指名を受けた。  プロとして世界の大舞台で輝いた選手も。  野球では、米大リーグで大谷翔平(エンゼルス)が「二刀流」のすごみを見せつけた。登板10試合で4勝、打撃では22本塁打を放ち、アメリカン・リーグの新人王となった。テニスでは、大坂なおみが4大大会で日本選手初のシングルス優勝。天真爛漫(てんしんらんまん)なキャラクターで、多くの人に愛された。  ほかにも、マラソンの大迫傑や設楽悠太、水泳の池江璃花子らが日本記録を相次いで更新。東京五輪に向けて期待が高まる選手がたくさん現れた。  輝かしさの半面、スポーツの負の面もクローズアップされた。  大相撲は大荒れ。とくに耳目を集めたのは元貴乃花親方だ。日本相撲協会との対立が深まり、10月に退職。12月には、弟子だった貴ノ岩が、付け人に暴行した問題で引退を届け出た。 「自分の気持ちの弱さ。自覚が足りなかった。反省の気持ちしかありません」(貴ノ岩)  日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題では、宮川泰介選手が前監督の内田正人氏や前コーチから指示されたと証言。大学側の口止め工作も発覚した。  日本レスリング協会や日本体操協会では選手がパワハラ被害を訴え、日本ボクシング連盟では助成金の流用や不正判定の問題が浮上。東京五輪を前に、続々と膿(うみ)が出ている様相だ。 ・大谷翔平……米大リーグでも「二刀流」として活躍。打者では打率2割8分5厘、22本塁打。投手では4勝2敗、防御率3.31。アメリカン・リーグの新人王に。日本選手では野茂英雄、佐々木主浩、イチロー(マリナーズ)に続く4人目。「素晴らしい選手の名前のなかに並ぶことができるのは光栄」 ・吉田輝星……金足農(秋田)の投手として夏の甲子園で準優勝。最速150キロの直球を武器に、秋田大会から甲子園の準決勝まで一人で投げ抜いた。プロ野球・日本ハムからドラフト1位で指名され入団。 ・根尾昂……大阪桐蔭の選手として今年の甲子園で春夏連覇。本業は遊撃手だが投手としても力を発揮。投打でチームを牽引した。プロ野球・中日に入団。 ・西野朗……サッカー日本代表前監督。バヒド・ハリルホジッチ元監督の解任を受けて、W杯ロシア大会直前の4月に就任。見事グループリーグを突破した。7月に退任し21歳以下(U21)男子日本代表の森保一監督にバトンタッチ。 ・本田圭佑……W杯ロシア大会のグループリーグ第1戦で決勝ゴールをアシスト。第2戦では同点ゴールを決めて、決勝トーナメント進出の立役者となった。サッカーのカンボジア代表の実質的な監督にも就いた。 ・大迫勇也……W杯ロシア大会で16強進出にFWとして貢献。「大迫、半端ないって」が流行語に。 ・設楽悠太……2月の東京マラソンで2時間6分11秒。高岡寿成の日本記録を16年ぶりに更新した。褒賞金1億円が贈られ贈呈式では、「まずは応援してくれた友人においしいごはんをおごります」。 ・大迫傑……10月の米シカゴ・マラソンで2時間5分50秒で3位。設楽の記録を破って、こちらも褒賞金1億円。「まず、コーチに10万ドル(約1100万円)くらい渡したい」 ・池江璃花子……高校3年の女子競泳選手。8月にジャカルタであったアジア競技大会で6冠。女子選手初の大会最優秀選手(MVP)に。「ほとんどの目標を有言実行できた夏だった」(帰国後の会見) ・大坂なおみ……テニスの全米オープン女子シングルスで優勝(9月)。日本選手で初となる4大大会シングルス制覇。決勝では元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズ(米)を倒した。 ・桃田賢斗……バドミントンで、9月に日本男子初の世界ランク1位に。4月のアジア選手権はリオ五輪王者を破って優勝。8月の世界選手権でも優勝した。違法賭博問題で無期限の出場停止処分になったが2017年に復帰。 ・山根明……日本ボクシング連盟の前会長。助成金の不適切使用や、暴力団関係者との交際などが問題になり、8月に辞任に追い込まれた。特定の選手を優遇したとされる疑惑では、「奈良判定」のワードが流行語に。 ・井上尚弥……WBSSで対戦相手を70秒でノックアウトし、世界中を驚かせた「天才」ボクサー。 ・宮川泰介……日本大のアメリカンフットボール選手。関西学院大との定期戦(5月)で、相手選手に悪質なタックルをして負傷させた。謝罪会見では内田正人・前監督や井上奨(つとむ)前コーチから指示があったことを認め、「けがをさせろという意味だと認識していた」と証言。一時部を離れたが10月に復帰。 ・内田正人……日本大アメリカンフットボール部の前監督。悪質タックル問題で関東学生アメフト連盟から除名処分となり、大学からも懲戒解雇された。反則プレーを指示したと大学側から認定されたが、裁判で争う。 ・栄和人……日本レスリング協会の前選手強化本部長。レスリング女子の伊調馨へのパワハラが認定され辞任。協会の常務理事も解任された。「伊調選手と田南部力コーチに深くおわびいたしたい」 ・宮川紗江……リオデジャネイロ五輪体操女子代表で、パワハラを訴えた。訴えられた側の塚原光男・千恵子夫妻はパワハラを否定。日本体操協会の第三者委員会ではパワハラは認定されず。 ・村上茉愛……世界選手権で史上初の女子個人総合銀メダルを獲得。ゆかを得意とする“ゴムまり娘”。 ・元貴乃花親方……元横綱日馬富士による傷害事件をめぐって日本相撲協会と対立。弟子の暴行事件も重なり、協会との相互不信は解消されず、10月に退職届受理。弟子は千賀ノ浦部屋へ。 ・貴景勝……大相撲九州場所で13勝2敗で初優勝。初土俵から26場所目での初優勝は4番目の早さ。師匠の貴乃花親方の退職で、貴乃花部屋から千賀ノ浦部屋に移った。 ・稀勢の里……大相撲九州場所で、87年ぶりとなる横綱の初日からの4連敗。その後休場し、師匠の田子ノ浦親方に対し「このままでは終われない。チャンスをください」。引退せず再起を図るが、横綱審議委員会は成績不振を理由に事実上の「最後通告」となる「激励」を決議した。 ・貴ノ岩……大相撲の幕内力士だったが、付け人に暴行した責任を取って引退を表明。2017年10月に元横綱日馬富士に暴行された被害者だった。 ・渡邉雄太……米プロバスケットボール協会(NBA)のグリズリーズに所属。日本選手としては2004年にサンズでプレーした田臥勇太以来2人目のNBA出場。身長206センチで高さを生かし得点も。 ・福原愛……卓球女子代表として五輪に4大会連続で出場し、二つのメダルを獲得。「愛ちゃん」として卓球界の象徴だったが引退を表明。若手の活躍を見て、「選手として現場にいなくても大丈夫だと思った」。夫は台湾の卓球選手の江宏傑。第2子を妊娠。 ・張本智和……1月の全日本選手権男子シングルスで優勝。14歳、中学2年での優勝は男女を通じて史上最年少。雄叫びワードは「チョレイ!」。 ・清水希容……空手選手。演武を競う「形」で全日本選手権6連覇中。ルックスから“空手界の綾瀬はるか”とも。 ・羽生結弦……平昌冬季五輪(2月)のフィギュアスケート男子で金メダル。日本選手の冬季五輪連覇は初めて。「勝ったって思いました。自分に勝てたって」。7月には国民栄誉賞を受賞した。「期待に応えられるだけの努力、技術、芸術を持っていなくてはいけないので、さらに身を引き締めて頑張っていきたい」。次の目標は4回転半を決めること。 ・宇野昌磨……羽生の背中を追いかけ、フィギュアスケート男子で銀メダル。冬季五輪での日本勢の1、2位独占は、1972年札幌大会のスキー70メートル級ジャンプ以来2度目。「本当に完璧な演技をしたら1位になれるとわかっていたけれど、一つ目のジャンプを失敗した時点で笑えてきた」 ・小平奈緒……平昌冬季五輪のスピードスケート女子500メートルで金メダル。敗れて銀メダルとなった韓国の李相花(イ・サンファ)を抱き寄せた場面には、両国民が感動。 ・高木美帆……平昌冬季五輪のスピードスケート女子団体追い抜きで金、1500メートルで銀、1000で銅メダル。 ・LS北見……平昌冬季五輪のカーリング女子代表で、男女通じて初の銅メダル。本橋麻里、藤澤五月、吉田知那美、吉田夕梨花、鈴木夕湖のメンバー。「ナイスー」や「もぐもぐタイム」などの言葉が話題になり、「そだねー」は「2018ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に。 ・平野歩夢……平昌冬季五輪スノーボード男子ハーフパイプで、2大会連続の銀メダル。「絶対王者」ショーン・ホワイト(米)には惜しくも届かず。スケートボードで東京五輪出場を目指す。 ・成田緑夢……平昌冬季パラリンピックの男子スノーボード(下肢障害)2種目で金と銅メダル。大阪府民栄誉賞にあたる「感動大阪大賞」が贈られた。東京パラリンピックには走り高跳びで出場を目指す。 ※週刊朝日  2018年12月28日号より抜粋
週刊朝日 2018/12/25 06:30
静かに動き出した「早稲田稲門会」 “医学部設置”への布石?
吉崎洋夫 吉崎洋夫
静かに動き出した「早稲田稲門会」 “医学部設置”への布石?
早稲田大学 (c)朝日新聞社 早稲田校友会 組織図  早稲田大の同窓会と言えば「校友会」だ。慶應大の連合三田会と異なり、大学職員が事務局を担い、会長は大学総長。会員数は約63万人にも上る。校友会のもとには稲門会と呼ばれる卒業生組織がある。地域稲門会、海外稲門会、職域稲門会、年次稲門会、体育各部の稲門会など、登録されているのは1376団体に上る。この早稲田OB・OGたちが動き始めている。  今年の3月、早大本部キャンパスに歴史館が開館したが、数多くの稲門会の中で唯一紹介されたのが稲門医師会だ。関係者は「医学部設置に向けた布石」と見ている。  早大に医学部はないが、卒業・中退し、医学部に進学する学生は意外に多い。そして2016年が稲門医師会結成された。会員交流や大学との学術連携などが目的で、医師190人のほか、歯科医師、薬剤師、看護師など計323人の会員で構成されている。  慶應大との「差」は医学部の存在だと思いを巡らす卒業生は多く、「早稲田の病院で死にたい」という声もある。11月に就任した田中愛治総長が「単科医科大学を吸収合併する戦略に絞って考えていく」と述べており、その期待が高まっているのだ。  稲門医師会幹事長の中山久徳さんは、統一見解ではないと断りながら、こう語った。 「法律を変える必要があるが、米国のように大学を卒業後に医師になる人のためのメディカルスクールがあってもいい。その場合には早大出身のOBに協力してもらって……なんて話題は、高田馬場で開く飲み会でよくあります」  早大生が集う東京・高田馬場。あるレストランで11月下旬、「どうすれば成功できるか」「将来の夢は何か」といった議論が交わされていた。ベンチャー稲門会の会合だ。早大卒の若手起業家や1部上場企業の役員など30人が集まった。  14年にスタートし、会員は約100人。会員向けの定期的な交流会やセミナーの開催に取り組んでいる。 「有名な起業家から助言をもらえ、満足する会員も増えた。交流から新しい商談や契約につながることもある」(平野哲也事務局長)  金融業界では巨大なネットワークがある。会員1200人のファイナンス稲門会だ。人気は会の運営委員である大企業役員などを囲んでの食事会で、例えば昼食1200円、夕食6千円。他の稲門会を交えた名刺交換会も盛んで、毎回100人以上の参加がある。 「運営委員の推薦をもらい、転職した会員もいる。知り合った2人が香港でおむすび専門店を開業し、成功した例もある」(阿部多恵副代表幹事)  現役生支援の動きも活発になっている。  応援部稲門会幹事長の生駒健一郎さんには就活中の現役部員からこんなメールが舞い込んでくる。 「商社の卒業生を紹介してもらえませんでしょうか」  生駒さんは卒業生名簿の電子ファイルを開き、商社に勤める卒業生を探し、連絡する。卒業生がいない場合は、他の稲門会をたどる。 「個人情報の取り扱いが厳しく、卒業生情報の入手も難しくなったことで、部員が就職活動に苦労していると聞き、支援に乗り出しました」(生駒さん)  12年から組織的に就職支援に取り組み、1200人の会員のうち90人が主体的に支援に関わる。今年から現役世代と近い年齢のOBを窓口に置き、部員が相談しやすい環境を整えた。  支援はまさに手取り足取りだ。夏に3年生部員を対象に参加必須の就活ガイダンスを開催し、各企業で働く卒業生を招き、業界や企業の説明会などを月に1回開く。卒業生の紹介だけでなく、エントリーシートの添削まで引き受ける。 「支援前は就活の実績が厳しいと感じましたが、最近はエントリーシートの通過率も上がり、マスコミ、商社など大手企業の内定もかなり増えました」(同)  応援部チアリーダーズの鈴木凜さんは、第1志望のマスコミから内定をもらった。毎回出欠を取る講義は休めない。土日は部活動の応援参加で、就活に時間を割くことすら難しかったが、こう振り返る。 「説明会では本音の話を聞け、OB訪問では具体的なアドバイスがもらえ、効率が良かった。自信をもって面接に臨めた」  大学のキャリアセンターはIT業界や旅行業界、ホテル業界などの稲門会と就職セミナーを開くなど連携を強めている。稲門女性ネットワークもその一つだ。  会員は約190人。奨学金支援のほか、05年から女子学生向けのセミナーを大学と開催し、今年は広告、航空、ITなど各業界から30歳前後のOGを招き、“ぶっちゃけトーク”が実現。「会に所属しないOGでもセミナーへの協力を依頼すると、快く受けてくれる。後輩に何かしてあげたい母校愛あふれたワセジョが多い」(河野宏子幹事長)  稲門会の上部組織である校友会だが、力を入れるのは会費収入の確保と在学生支援だ。06年度から「10年会費」(4万円)を卒業年次の最終学期に学費とともに徴収。クレジットカード会社と連携して卒業生向けに「早稲田カード」をつくり、会費が自動的に引き落とされる仕組みもある。こうした仕組みなどを通じて年間約10億円を集める。  このうち約2億4千万円は在学生支援に充てられる。その一つが返済不要の奨学金。授業料半期分の奨学金が4年間支給される「めざせ!都の西北奨学金」などがあり、約1千人の学生が支援を受ける。期間限定のハンバーグ定食やサバの塩焼き定食などの「100円朝食」は、学生のお財布に優しい。 「こうした支援は校友の支援があってこそ。大学の近況やOB・OGの活躍を紹介する『早稲田学報』を校友に送り、つながりを維持しながら、継続して会費を納めてもらえるよう取り組んでいる」(佐々木豊校友会事務局長)  学生の獲得に向けた取り組みも出てきている。  今年から校友会は地域稲門会などと連携して、「早稲田大学演奏旅行」を開始。応援部や音楽サークルを地方に派遣し、演奏会と進学相談交流会を実施。今年は沼津、浜松、名古屋で行った。早稲田大では一都三県の出身の学生の割合が7割を超えており、地方学生の獲得が課題になっている。応援部の小谷太郎さんは当日の様子こう振り返る。 「高校生から早稲田に受かるための勉強法や部活と勉強の両立などについて具体的な質問が多く出た。最後は円陣を組んで校歌を一緒に歌うなど盛り上がった」  じわりと動き出した早稲田卒業生たち。巨大なネットワークの影響力が、大学や学生に浸透していることは間違いない。(本誌・吉崎洋夫) ※週刊朝日  2018年12月28日号より加筆
週刊朝日 2018/12/20 06:30
紀平梨花、自信喪失していたジュニア時代 躍進の背景に“粘り”
紀平梨花、自信喪失していたジュニア時代 躍進の背景に“粘り”
紀平梨花はシニアデビュー1年目。スケートに集中するため、通信制のN高校に通い、移動中にパソコンで勉強して練習時間を確保する (c)朝日新聞社  フィギュアスケート女子の紀平梨花が、GPファイナルで日本勢としては浅田真央以来となる初出場初優勝を果たした。北京五輪に向けたニューヒロイン誕生に、世界中が沸いた。 *  *  *  グランプリ(GP)ファイナルは12月6日、カナダ・バンクーバー郊外のスタジアムで開幕した。女子は、ともに16歳の平昌五輪女王アリーナ・ザギトワと紀平梨花の一騎打ちが予想され、会場にはトリプルアクセルを期待する熱気が渦巻いていた。  そんな中、紀平は落ち着いていた。ショートの冒頭で雄大なトリプルアクセルを降りると、3回転+3回転も成功。82.51点の世界最高点で首位に立った。ザギトワもミスはなかったが、紀平が上回った。 「想像もしていない点数でびっくりしました。ショートで自分が想像していたジャンプを跳べて、やっとできたという気持ちです」  翌日のフリーも圧巻だった。トリプルアクセルを2本予定しており、1本目は手をついてしまったが、すぐに切り替えて2本目で成功。その後は勢いのあるノーミスの演技を見せた。150.61点のスコアが表示され、完全優勝だった。 「一つミスがあっても切り替えて集中することができて、演技を終えた瞬間に嬉しさが込み上げました。試合は(6分間練習後)、身体が冷えた状態なので1本目は跳べる確率が少なくなるというのを自分に言いきかせておいたのが良かったです」  ザギトワは一つミスがあり2位。しかし紀平が何よりすごかったのは、相手のミスによってではなく、自身が高評価を得たことで優勝をつかみ取ったことだった。演技構成点は9点台を連発し、ザギトワとほぼ同格の評価。 「トリプルアクセルが決まるようになって、演技の安定感が出たことで演技構成点も上がったと思います。アクセル以外の練習も忘れず、しっかり振り付けとかもやってきて良かったです」  紀平は、何年も前から関係者の間では注目されていた。試合でのトリプルアクセル成功は2年前。しかしジュニアの国際大会では、ほとんど表彰台に上がることがなかった。今季、何が紀平を変えたのか。 「ここ2年は、トリプルアクセルをすることで他の選手よりもミスが多くなっていて、そこで自信をなくして、自分が弱いとまで思っていました」  浅田真央の引退以降、国際大会でトリプルアクセルに挑んでいる女子は、世界でも紀平だけだった。無理なアクセルをしないほうが勝てるのが、女子のセオリー。実際に紀平は、タイトルがかかる試合になるとアクセルをミスし、ジュニアGPファイナルは2016年、17年とも4位、18 年世界ジュニアも8位。しかし、粘った。 「アクセルという大技をしないという選択もあったけど、やり続けてきました。やらないほうが良かった、という思いをしたくなかったので。その苦労を今シーズンに晴らしたいと思っていました」  技術的には練習で8割を超える成功率にまで完成していたが試合だけミスをする。緊張のコントロールを探った。 「この2シーズンたくさん失敗をして、そこから学びました。自分がどんな状態になるとミスをするのか。試合でしか経験できないことでした」  試合でしか、特有の心理状態は経験できない。ミスを重ねながら経験を得ていった。 「私の場合は、とにかく緊張しすぎるとダメ。だから試合前はなるべく緊張しすぎないように笑顔で過ごします。周りの人に話しかけてもらってリラックスして待つことにしています」  リラックスして待つことで、うまくいく試合もあった。しかし本番前までは笑顔でいても、スタートポーズをとった瞬間に緊張する試合もあった。 「ポーズをとった瞬間に『この試合のために練習してきたんだ』とかいろいろ考えてしまって、一気に緊張していました」  今夏にはアイスショーにたくさん出演し、本番の空気を体験した。 「ショーはいつも完璧な演技ができなくて苦手でした。暗い状態で照らされてどこまでがリンクかわからない状況だと、集中が欠けていたんです。そのことに気づきました。それにショーでは、お客さんの前に出た瞬間からその空気に慣れて、ジャンプを跳ばなきゃいけない。そういう環境を学べました」  2年間の試行錯誤から精神面のコントロールのコツをつかんだ今季、11月のNHK杯フリーでトリプルアクセル2本を降りた。 「NHK杯の時はまだ、『自分はできない人、私にできるかな』と思っていて、すごく緊張しました。でも集中できたことで、自信がつきました。『NHK杯の緊張のなかで、集中できたんだから』と思うと、フランス杯もGPファイナルも自分を信じることに慣れてきました」  ニューヒロインの活躍は、一夜だけの偶然ではない。何年もかけて、確実に積み増してきた技術と精神力が勝因なのだ。 「子どもの頃から、4年に1度の決戦というオリンピックで金メダルを取りたいと思って、睡眠時間を削って早朝練習にも行って頑張ってきました」  そう言い切る瞳に、本気の炎が宿っていた。(ライター・野口美恵) ※AERA 2018年12月24日号より抜粋
AERA 2018/12/19 11:30
学校現場の大問題

学校現場の大問題

クレーム対応や夜間見回りなど、雑務で疲弊する先生たち。休職や早期退職も増え、現場は常に綱渡り状態です。一方、PTAは過渡期にあり、従来型の活動を行う”保守派”と改革を推進する”改革派”がぶつかることもあるようです。現場での新たな取り組みを取材しました。AERAとAERA dot.の合同企画。AERAでは9月24日発売号(9月30日号)で特集します。

学校の大問題
働く価値観格差

働く価値観格差

職場にはびこる世代間ギャップ。上司世代からすると、なんでもハラスメントになる時代、若手は職場の飲み会なんていやだろうし……と、若者と距離を取りがちですが、実は若手たちは「もっと上司や先輩とコミュニケーションを取りたい」と思っている(!) AERA9月23日号では、コミュニケーション不足が招く誤解の実態と、世代間ギャップを解消するための職場の工夫を取材。「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に対する世代間の感じ方の違いも取り上げています。

職場の価値観格差
ロシアから見える世界

ロシアから見える世界

プーチン大統領の出現は世界の様相を一変させた。 ウクライナ侵攻、子どもの拉致と洗脳、核攻撃による脅し…世界の常識を覆し、蛮行を働くロシアの背景には何があるのか。 ロシア国民、ロシア社会はなぜそれを許しているのか。その驚きの内情を解き明かす。

ロシアから見える世界
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