※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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日常生活で親の行動に頼りなさが現れ始めたら、要介護認定の申請を考えるタイミングです。しかし、当の親は「まだ自分たちだけで大丈夫」「私もおとうさんもしっかりしているのに、なぜ申請するの?」などと言って、申請をしぶるケースも少なくありません。さらに、要支援・要介護認定されたのに、サービスを受けたがらないケースも。親の気持ちを尊重しながら上手に介護サービスを受けていくコツを、介護アドバイザーの高口光子氏に教えていただきました。

【教えてくれた元気がでる介護研究所代表の高口光子さんはこちら】

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■認定申請や、デイケアに行くことをしぶる親たち

 介護の現場にいて、よく聞こえてくるのが、介護サービスを受けさせたいのに、「親がいやがって話が進まない」「決定のタイミングで必ずしぶる」「わかったと言いながらこちらの意見を聞き流す」といった訴えです。

元気がでる介護研究所代表の高口光子
元気がでる介護研究所代表の高口光子

 たとえば、いざというときに困らないように、早めの要介護認定の申請をしようと親に相談すると、「俺はまだ元気だから、他人様の世話にはならないよ」「家事はちゃんとできているから、必要ないでしょ」などと、思わぬ抵抗にあいます。

 さらに、ようやく要介護・要支援認定が下りて、サービスが受けられるようになったとたん、「デイケアなんか行かない、行きたくない」「家に人が来て手伝ってもらうのはイヤだ」などと言って、家族をがっかりさせることもあります。

 こうなると、親のかたくなな姿勢と、焦るあなたの気持ちがぶつかって、険悪なムードになってしまいます。もちろん、親の気持ちを無視して進めるのは論外です。納得を得られないままに進めてしまうと、親もあなたも、この先、気持ちにしこりを残したままの介護生活になってしまいます。

 どうすれば、親はあなたの思いを素直に受け止めて、介護サービスを受けることを前向きに考えくれるのでしょうか。

 それぞれの場面で、私が体験を踏まえて得た、「親をその気にさせる」ためのヒントをお教えしましょう。

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高口光子

高口光子

高知医療学院卒業。理学療法士として病院勤務ののち、特別養護老人ホームに介護職として勤務。2002年から医療法人財団百葉の会で法人事務局企画教育推進室室長、生活リハビリ推進室室長を務めるとともに、介護アドバイザーとして活動。介護老人保健施設・鶴舞乃城、星のしずくの立ち上げに参加。22年、理想の介護の追求と実現を考える「髙口光子の元気がでる介護研究所」を設立。介護アドバイザー、理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員。『介護施設で死ぬということ』『認知症介護びっくり日記』『リーダーのためのケア技術論』『介護の毒(ドク)はコドク(孤独)です。』など著書多数。https://genki-kaigo.net/ (元気がでる介護研究所)

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元気さゆえに、抵抗する親も多い