プラークに取り付いた歯周病菌は心地よい住環境を求め、空気が届きにくい歯と歯肉間に向かって移動を始めます。ここにはもともと「歯肉溝(しにくこう)」といわれる1~2ミリのすき間があり、歯周病菌はこの歯肉溝から奥へ奥へと潜り込んでいきます。
<第1段階:歯肉炎>
歯周病菌が歯と歯肉のすき間に侵入すると、歯肉は炎症を起こし、赤く腫れて出血します。これは、異物である歯周病菌を追い出そうとする防御反応です。同時に、健康なときは1~2ミリだった歯肉溝は、歯肉が腫れることによって、見かけ上、歯と歯肉の境い目が深くなる「仮性ポケット」と呼ばれる溝を形成します。この「歯肉炎」の段階ならブラッシングや、歯科医師によるプラークと歯石(プラークが固まって取りにくくなったもの)の除去など適切なケアをすれば、歯肉の炎症はおさまり、仮性ポケットをもとの浅い状態に戻すことができます。
<第2段階:軽度の歯周炎>
歯肉の炎症は深いところまで達し、歯肉溝は仮性ポケットから「歯周ポケット」といわれる状態に進行します。歯肉はむずがゆかったり、触るとぷよぷよしますが、この段階では異変に気づかない人がほとんどです。
この状態でも、第1段階と同じように、ブラッシングと、プラークや歯石の除去など適切なケアで回復が可能です。
<第3段階:中等度の歯周炎>
炎症はさらに強く広がって、歯肉の色はピンク、赤、紫が混在した状態に。また歯肉は本来歯を覆っていた位置から下がり、歯の根元付近が徐々に露出してくるので、歯が長くなったように見えます。歯肉の内側では歯を支える歯槽骨が溶け始め、レントゲンで見ると高さが低くなっています。歯の違和感や揺れ、口の中の粘つき、口臭などかなり症状も現れますが、まだ気づかない人もたくさんいます。また、歯と歯のすき間が広がり、そこから息が漏れることによって「サ行」が発音しにくくなるなど、発音への影響も出始めます。
第3段階以降はプラーク除去などの治療だけでは改善されないことも多く、手術(をおこなうこともあります。