歯肉はさらに下がって、歯と歯のすき間も目立つようになります。歯槽骨もだいぶ吸収されてなくなっているため、レントゲンでは歯が細く長く見えます。歯肉からは膿や血が出て口臭は一層強くなり、歯はぐらつきます。歯が不安定になるので、本来の位置から動いて歯並びが悪くなったり、十分に噛めなかったり、発音しづらくなることもあります。
ブラッシング、プラークや歯石の除去、手術などさまざまな方法を総動員して治療しますが、歯を救えずに抜歯になり、入れ歯やインプラント治療が加わることも少なくありません。
終末期 骨が溶け、土台を失った歯は抜け落ちます。抜けたあとを入れ歯やインプラントで補う治療をします。
■1割は急速に進行するタイプ
歯周病はゆっくりジワジワと進行していくことが多く、歯肉炎から歯が失われるまでの期間は15~30年程度といわれています。しかし喫煙や糖尿病にかかっているといったリスク因子があると、進行が早まります。
またこうしたリスク因子に関係なく、歯周病の約1割は「侵襲性歯周炎」という5~10年で急速に進行するタイプであることがわかっています。侵襲性歯周炎には「若年性歯周炎」という別名があり、その名の通り10代20代という若い頃に発症し、そのままにしておくと歯がグラグラになって、40代ですべての歯を失ってしまったというケースも少なくありません。
侵襲性歯周炎でも、早い段階で発見し治療を開始すれば進行を止めることができます。ところが若い世代には歯周病という自覚がなく、歯肉が腫れる、出血しているという症状が出ていても見過ごしてしまうことが多いのです。また、一般の歯科医師もあまりこの病気の認識がなく、早期発見の機会を逃してしまうことがあります。
侵襲性歯周炎の人が家族にいる場合は、遺伝的な素因や生活習慣も似ているため、発症する確率が高く、より注意することが必要です。また一般的な歯周治療では治らないことも多いので、異常に気づいたらできるだけ早く「歯周病専門医」を受診してください。