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 歯を失う原因は、むし歯だと考えている人は多いでしょう。しかし日本人が歯を抜かなければならなくなる原因のトップは、歯周病です。日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会の共著として発刊した書籍『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)から、歯周病の正しい知識を紹介します。

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 歯周病とはいったいどのような病気なのでしょうか。ひとことで説明するならば、歯そのものではなく、歯を支えている歯槽骨や歯肉などの歯周組織が細菌に侵され、破壊される感染症です。歯周病の原因になる細菌はわかっているだけでも100種類以上あり、これらをまとめて「歯周病菌」と呼んでいますが、このうちよく見られるポピュラーなものは10種類ほど。人それぞれ原因となる歯周病菌は異なり、一人1種類ではなく、いくつかの歯周病菌がかかわっているといわれています。

 歯周病菌の最大の特徴は、空気が大嫌いな「嫌気性(けんきせい)菌」だということです。むし歯も歯周病と同じ感染症ですが、むし歯の主な原因となるミュータンス菌は空気が好きなので、歯の表面など表立ったところで活動しています。一方、歯周病菌は、空気が届きにくい歯と歯肉のわずかなすき間を好み、ここから奥に入り込んでジワジワと勢いを増していきます。

■歯周病はこうして発症・進行する!

<感染から発症まで>

 私たちの口の中には、一般的に培養できるものだけでも400~500種類ほど、培養できない細菌を入れれば700種類ともいわれるさまざまな細菌が棲みついています。これらの細菌のうち、むし歯の原因菌は口の中に残った糖分などをエサに、一方、歯周病菌はタンパク質やアミノ酸をエサにして、歯の周囲にプラーク(歯垢)と呼ばれる、白くてネバネバした物質を作り出します。

 歯の表面を爪でなぞってみると、爪には白っぽい、いわゆる「歯くそ」が付いてきます。これがプラークです。ブラッシングを怠けたり、磨き残しがあったりすると歯に付着したプラークの層はどんどん厚くなり、歯周病菌がくっつきやすくなってしまうのです。

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症状はこうやって進行する