これまで日本の各地で地震にともなう家屋の破損や倒壊のため、多くの人命や財産が失われてきた。それに対応して、各自治体では地震による建物の破損や倒壊などを未然に防ぐために、耐震補強工事費の一部助成を実施している
これまで日本の各地で地震にともなう家屋の破損や倒壊のため、多くの人命や財産が失われてきた。それに対応して、各自治体では地震による建物の破損や倒壊などを未然に防ぐために、耐震補強工事費の一部助成を実施している
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小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー
小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

 社会保険労務士の小泉正典さんが「今後いかにして、自分や家族を守っていけばいいのか」、主に社会保障の面から知っておくべき重要なお金の話をわかりやすくお伝えしてきましたが、「3.11」から10年を迎え、今回は防災のための社会保障などについてのお話です。

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■マグニチュード8~9クラスの地震の発生確率は70~80%

 2011年3月11日から、今年でもう10年が経ちました。ニュース番組や新聞の特集などで、当時を思い出した人も多いと思います。これを読んでいる人の中にも、あの大災害についてあまり振り返りたくないという人もいるかもしれません。ただ日本に暮らす以上、この先、地震から逃れることはとても難しいことです。

 政府の地震調査研究推進本部が、東海・近畿・四国地方を中心に関東から九州まで甚大な被害が予想される南海トラフで発生する地震についての予測を発表していますが、それによるとマグニチュード8~9クラスの地震が30年以内に発生する確率は70~80%。

 それ以外にも北海道から九州まで、30年以内に80%前後の確率でマグニチュード7~8以上の地震が予想される地域が何カ所もあります。
 
 災害に関する社会保障などについて、基本的なことを知っておくことは、自分や家族のために必須といえます。

 前回のこの連載では、地震や水害などの災害被害にあった場合の社会保障について解説しました。今回は、「地震に備える」ための社会保障などについて、基本的な知識をお知らせしてみようと思います。

■自治体ごとに異なる耐震補強工事の助成

 日本の防災に関する支援は、阪神・淡路大震災や東日本大震災のような大規模な災害を経験して新たに創設されたり、支援の内容が拡充されたりしてきました。その中で、まず家屋についての地震に備える助成を紹介します。

 東日本大震災のような極めて広い地域に被害をもたらす巨大地震に限らず、これまで日本の各地で地震にともなう家屋の破損や倒壊のため、多くの人命や財産が失われてきました。それに対応して、各自治体では地震による建物の破損や倒壊などを未然に防ぐために、耐震補強工事費の一部助成を実施しています。

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