ワクチン接種用に準備された注射器 (c)朝日新聞社
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(週刊朝日2021年7月30日号より)
(週刊朝日2021年7月30日号より)

 シニアへのコロナワクチンの接種が進んでいることもあり、地域活動も復活の兆しを見せている。

【ポイント】コロナ禍での「通いの場」に参加するための留意点はこちら

前編/きっかけはコロナ禍のSOS 住民の暮らし変えたラジオ体操と花壇】より続く

 厚生労働省は昨年9月、コロナ禍での高齢者の元気を支える取り組みの一環として、「地域がいきいき 集まろう! 通いの場」というホームページを開設。高齢者が家の中でできる体操など、健康に気を付けられるような情報とともに、感染対策をとりながら通いの場を再開している地域を取り上げている。

 例えば、愛知県蒲郡市にある街は、町内会に「お助け隊」と「まめだ会」を結成。公園や道路の除草や清掃、「花まちづくり(町内にサルビアのプランターを設置)」活動などを行っている。大阪市の郊外の街では、60歳以上の男性限定のグループ「シニアボランティアアグリ」が、畑で野菜を育て子ども食堂に提供している。コロナ禍で参加を控える仲間には、手紙や野菜配布などでつながりを保っているそうだ。

 ほかにも新潟市や静岡県袋井市、栃木県那須烏山市などの活動も紹介されている。

「自治体にもよりますが、介護予防などの課題意識を持って熱心に取り組んでいるところは、コロナを踏まえた新たな通いの場を始めています。そういう情報はこれからも発信していく予定です」(老健局老人保健課)

 同省は今年1月、感染対策に配慮した介護予防や見守りの取り組みについて、各都道府県に事例を交えて通知。地域の活動を後押ししている。

「昨年1年間は、コロナに感染したり、させたりするのが怖いと、外出を躊躇(ちゅうちょ)したり、周りから止められたりしているシニアが多かった。もちろん今もその傾向はありますが、少しずつ変化の兆しが出てきています」

 こう話すのは、高齢者の社会的孤立と居場所について研究する東京都立大学健康福祉学部准教授の藺牟田(いむた)洋美さん。東京都荒川区のシニアを中心としたボランティア組織のいくつかに関わっているが、そのなかには活動を再開したところもあるという。

 その一つが、高齢者の足腰が弱って寝たきりのリスクが高まるフレイルや、認知症を予防する地域活動だ。

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