新型コロナウイルスの感染拡大とそれに続く経済的な打撃は、学びのあり方も変え、受験生の大学や学部選びに大きな影響を与えた。「コロナ2年目」となる来年の入試はどうなるのか。18歳人口の減少や大学の定員増加も加わり、理論上は「全入時代」も到来するなか、模試の志望動向などから最新の情勢を専門家が読み解いた。
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「全入時代」は、えり好みさえしなければ、どこかの大学には必ず入れることを意味する。「誰でも入れる」と聞き、勉強の手がつい止まりかける受験生もいるかもしれない。だが、ぬか喜びは禁物だ。
今年9月に行われたベネッセと駿台予備学校の模試で、国公立の「難関10大学」(北海道大・東北大・東京大・東京工業大・一橋大・名古屋大・京都大・大阪大・神戸大・九州大)と「ブロック大」(筑波大・千葉大・横浜国立大・新潟大・広島大など)、「その他の国公立大学」をグループ分けし、「志望者指数」を算出した。
この指数は、前年同時期の模擬試験で各大学の志望者数を100としたときの今年の志望者数の割合を示す。それによると、難関10大学が103、ブロック大が101、その他の国公立大が99で、上位の大学ほど指数が高まっている傾向がみられたという。
指数の高さイコール志望者数の増加を意味するので、「本番の入試でも高倍率が予想されます。難関大学を目指す生徒は、共通テストやコロナの感染拡大といった変化に振り回されることなく、自分の意志を貫く傾向にあると言えるでしょう」(ベネッセ教育情報センター長の谷本祐一郎さん)。
いっぽう私大は、今年の反動もあり、全体的に志願者数が増えると見られている。
特に増加が顕著だったのがMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)だ。
先述のベネッセと駿台の9月模試の志望者指数は107。日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)は102、大東亜帝国(大東文化・東海・亜細亜・帝京・国士舘)は100だった。