「大切なのは、自分がその大学に行きたい意思を、どれだけ面接担当者に熱意をもって伝えられるか。その意味では、入学後のビジョンを明確に持っている人が強いと思います」

 私大の場合、一般選抜には各大学が独自に試験をする「一般方式」と、共通テストの成績を利用して合否を決める「共通テスト利用方式」がある。近藤さん、谷本さんともに、来年は後者を採用する大学への志願者が増えると予想している。

 河合塾がこの夏に行った模擬試験の結果では、一般方式での志望者数は私大全体で前年比91%だったのに対し、共通テスト利用方式では109%に増えた。

「共通テストは原則、受験生が住んでいる地区で受験でき、入試直前にコロナの感染が再拡大しても、各大学の試験会場まで足を運ぶ必要はありません。都心部で試験を受けるのをためらう地方の生徒からすれば、『負担感が少なく受けやすい』と意識されています」(近藤さん)

(週刊朝日2021年11月12日号より)
(週刊朝日2021年11月12日号より)

◆躊躇(ちゅうちょ)をしないで第1志望受けて

 谷本さんも「模試の動向を見ると、特に地方の受験生の間で共通テストを採用する1都3県(東京・埼玉・千葉・神奈川)の大学を志望する割合が高まっている」と分析している。

「コロナ禍で、受験で県外に行くことは家族も巻き込んだ話になっていました。子どもが受験を希望しても、親の仕事の都合で県外に出るのを止められたケースがあったと聞いています。また、導入初年度で過去問がないことなどから、共通テスト利用方式は受験生に敬遠される傾向がありましたが、来年はチャレンジしやすくなります」

 共通テストの導入やコロナの感染拡大など、初めて尽くしだった今年と比べれば、来年の入試は落ち着いた環境で臨めそうだ。とはいえ、最後まで何があるのかわからないのが受験でもある。受験生に向けたアドバイスを最後に聞いた。

 まず近藤さんは、「図らずもコロナ禍のさなかに受験生になってしまった皆さんは、非常に気の毒だと思います。ただ、コロナはこの先何十年も続くものではありません。それよりもはるかに長いのが皆さんの人生です。10年後、20年後に自分がどうなっていたいかを思い浮かべ、躊躇せず第1志望の大学を受けてほしい」。

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