「この間、世界には4回の金融・経済危機がありました。日本のバブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、昨年のコロナ・ショックです。日経平均株価やニューヨークダウなど国内外の代表的な株式インデックスを選んで、四つの危機の直前に100万円をそれらに一括投資した場合、今(今年9月末)の価格がどうなっているのかを計算してみました」

 結果は、米国株や先進国株式、全世界株式への投資は、四つの期間ですべて利回りは6%を超えた。例えば、先進国株式の場合、日本のバブル崩壊直前に投資した100万円は今、13倍の1365万円になっていて、利回りは8.6%だ。ITバブル崩壊前では409万円で同6.8%、リーマン・ショック前だと256万円で同7%だった。

「下落直前の株価が高いときに買った一括投資でさえこの結果ですから、一括でなく定期的に、しかも株価が下落したときにも買う積み立て投資なら、なおさら有利になります」(研究員)

 預金金利がほぼゼロで、債券投資も魅力的ではない状況を考えると、長期の資産形成では株式インデックス投資がメインで良いと熊研究員は言う。

 もちろん、過去は将来を約束するものではないことは確認しておきたい。日本の株式市場のように、1990年のバブル崩壊から20年以上、低迷し続けたマーケットもある。

 とはいえ世界経済は着実に成長を続けている。積み立て投資はいつ始めてもいいので、自分で納得できたらチャレンジしてみるのも手だ。

 50代で高年収の人は、税メリットだけでもお得かもしれない。先に説明したiDeCo掛け金の全額所得控除である。例えばiDeCoに月2.3万円掛けられる人だと、所得税率10%でも2万7600円、同20%なら倍の5万5200円が年末調整で戻ってくる。そして、その翌年の住民税が、これも税率10%だから2万7600円低くなる。所得税率20%の人だと税メリットは年間8万円を超す。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2021年11月19日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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