写真はイメージ(c)GettyImages
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 コロナ禍でも受験者数が増加している中学受験。いざ「受験しよう」と決めて準備を始めてみると、志望校選びから日々の子どもとのかかわり方まで、親の悩みは尽きない。新著『なぜ中学受験するのか?』で「中学受験はやり方次第で良薬にも毒にもなる」と指摘するおおたとしまささんが、受験に向き合う親の心構えを考える。

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 巷では、中学受験に「向いている子」と「向いていない子」がいると、まことしやかに言われている。たしかに努力が偏差値に結びつきやすい子とそうでない子はいる。しかしそれは高い偏差値をとることに向いているか向いていないかの違いであり、中学受験そのものに向いているかどうかはまた別の話である。

「中学受験そのものに向いている」とはどういうことか。偏差値的にはそこそこでも、仮に第一志望校には合格できなかったとしても、中学受験という機会を通して人生において大切なことをより多く学べたのなら、その子は中学受験に向いていたといえる。

 ズルをしたくなる気持ち、自分さえよければライバルを蹴落としたっていいと思ってしまう気持ち、たまたまうまくいっていないひとを見下してしまう気持ち、まわりから「すごい」と言われたい承認欲求の底なし沼……。

 そういうときに、テストの点数や塾のクラス分けなどのわかりやすい目先の成果よりも、ひととして正しい道を選ぶ勇気を示すのが、中学受験の親の役割だ。目先の損得勘定を超えたところの価値をつかむ。その経験が、子どもの人生を支える指針になる。親から子へと価値観が継承される。

■中学受験の親が言ってはいけない3つのセリフ

 勉強は塾の先生が教えてくれる。親の役割は人生を教えること。親がその役割をたくさん果たすことができれば、偏差値の高低にかかわらず、子どもは人生にとって大切なことをたくさん学ぶことができる。そうすれば、その子は中学受験に「向いていた」ことになる。

 つまり私に言わせれば、中学受験に「向いている子」や「向いていない子」がいるのではなく、中学受験に「向いている親」や「向いていない親」がいるだけだ。

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親と子はまったくの別人格