
永久脱毛、介護脱毛、増える子どもの脱毛ニーズ──。ボディーポジティブという言葉が広まる一方で、「ムダ毛」を気にする人はいまだ多い。だが、脱毛には一定のリスクもある。AERA2022年10月3日号の記事を紹介する。
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メノポーズカウンセラーで、デリケートゾーンの商品を扱う「うるおいヘルスケア」代表の小林ひろみさんは、中学生くらいから、人より毛深いのではないかと悩んでいた。
誰に指摘されたわけでもない。しかし、視界に毛深い腕が入ってくるのがたまらなく嫌だった。わき毛は放置するとかゆくて不快。きれいにするには抜いた方がいいが、30分はかかる。わき毛が皮膚下で埋まった状態で伸び、炎症が起こって膿むこともあった。
起業した2008年、わきを永久脱毛した。小林さんは言う。
「QOL(生活の質)、爆上がりです」
小林さんのように、体毛がQOLにかかわることは確かにある。
■痛みやリスクを説明
一般に脱毛には医療機関とエステティックサロンの施術があり、レーザー照射か光照射かの違いがある。半永久的な脱毛を望むなら医療機関、除毛や減毛で手入れが楽になればいいというならエステ。ただ、施術時の痛み、火傷(やけど)や赤み、毛嚢炎(毛穴の奥の毛根を包む部分の炎症)のリスクは、医療機関、エステどちらにもある。医療機関には、肌トラブルが生じた際、すぐに対応できるというメリットがある。
高梨医院(さいたま市)の吉岡容子院長が言う。
「痛みは部位や機械によって程度の差はあれ必ずありますし、赤みや湿疹は正常な反応で、誰にでも出ます。繰り返せば毛嚢炎が起こる部位もある。作用があるから副作用がある。これらをきちんと説明してくれるところを選ぶことがトラブル回避になります」
痛みは麻酔クリームや笑気麻酔で対処する手もあると聞く。
「麻酔を効かせすぎて、痛い、熱いといった感覚がわからなくなるのは危険と考えています。患者さんの訴えがあれば、レーザーの出力を抑えるなど速やかに対処ができますから」(吉岡院長)
皮膚の疾患を抱えている場合はどうだろうか。難治性のアトピー性皮膚炎患者も多く診る巣鴨千石皮ふ科(東京都)の小西真絢院長のもとには、「脱毛の契約後、その肌の状態では脱毛できないと言われた」という相談が時々寄せられる。