写真:gettyimages
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 近年、40~50代を中心に広がっているのが「介護脱毛」だ。将来、介護される立場になった際、排泄後の拭き取りや清拭で介護者らに迷惑をかけないようにデリケートゾーンの毛を脱毛する。大地院長は新傾向として「『迷惑をかけないため』ではなく、シニア期を快適に衛生的に過ごしたいなど、『自分のため』に介護脱毛を希望する人が増えてきている」と指摘する。

 冒頭の小林さんは、ある勉強会で、看護職の人が「排泄処理は速やかさを優先にしており、じっくり見ない。高齢者は毛が少ない。毛で迷惑に感じたことはない」と発言していたのが強く印象に残っているという。「同様の話は介護職員からも聞いたことがあり、『迷惑をかけないための介護脱毛』には違和感があった。しかし、『自分のために』というのであれば理解できる」(小林さん)

 ただし、注意したいのは、更年期以降の介護脱毛だ。女性ホルモンの減少で皮膚が乾燥しやすくなっているため、肌トラブルが生じる可能性がある。小林さん自身も以前は問題なかったのに、更年期を迎えたいま、デリケートゾーンの毛を処理すると下着が当たるだけでも刺激を感じるようになった。

「いきなり脱毛ではなく、剃ったり電熱カッターで処理したりするところから始めてはどうでしょう。メノポーズカウンセラーの立場としては、将来の介護を考えるなら、脱毛より、寝たきりの大きな要因となる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)対策に力を入れてほしいですね」(小林さん)

 毛をなくしたい人がいる一方で、毛を必要とする人もいる。

「こんなに需要があるとは思っていませんでした」

■ウィッグにリピーター

 アンダーヘアのウィッグ「ヴィーナスベール」を14年から販売する「クレイジーバンプ」の担当者は言う。ヴィーナスベールは特殊加工のシールでピタッと貼り付き、水に濡れても剥がれず、1週間ほど持続する。日本人にとって自然な毛量、色、質感が人気で、使い切りで1個2万円近くするが、一度に複数個購入する人や定期購入するリピーターがいる。

「『永久脱毛したが、親と温泉に行くときに使いたい』『年を取り薄くなってきて人目が気になる』などの声をいただいています。開発当時は女性をターゲットにしていたのですが、男性からの要望もあり、その後、男性用も作りました」(担当者)

 なくしたいけど、あってほしいときもある。あなたは体毛とどう付き合う?(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年10月3日号

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